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与乃登へご相談をされた方の中にはこんな方がおられました。
30代半ばとおぼしき男性が、旧家の玄関で与乃登を出迎えた。 男性 「先生、ようこそおいで下さいました。」 与乃登「お招き頂きましてありがとうございます。」 男性 「さ、中へどうぞ。」 与乃登「立派なお家ですねぇ。」 男性 「そうでしょう。こんな家が偶然とはいえ、手にはいるとは思っていませんでした。」 この男性は、元々この地方出身である。東京からUターンして、地元に戻ってきた。すでにご両親は亡くなりささやかな遺産で、偶然この家を手に入れた。 男性 「すでにお話の通り、この家に帰ってきてから、良くないことが続いています。やはり、この家の祟りでしょうか?」 与乃登「たしかに視線を感じますね。何かありますね。」 与乃登は大きな中庭を取り巻くように作られた廊下を歩きながら、悪意のある存在に気が付いていた。 さて、何者だ。この男性がこの家の主となったことが気に入らないのか?それとも邪悪な存在か。 男性 「先生、こちらの部屋です。」 一番奥の広い部屋に通された。男性が自分の居間として使っている部屋だ。 なるほど。ここにいるのか。 男性 「どうも此処にいると息苦しくて。やっぱり祟りですか。」 与乃登「おそらくはそうでしょう。何が居るのか視てみましょう。」 与乃登は祭壇を組み、守護神を降ろした。 男性は不安になってしゃべり出した。 男性 「この家に引き寄せられるように購入したのですが、それからというもの、仕事がことごとくうまく行きません。」 聞くところによるとこうだ。 男性は東京で、コンピュータの技術者をしていた。いくつか就職先をあたり、手応えを持って、帰ってきた。 しかし、採用の方向で進んでいた数社とも、理由は異なるがダメになった。まるで妨害が入ったのかの如くつぶれていった。 その間に、車が壊れた。事故にもあった。腱鞘炎になった。ここへ越してきてわずか半年の間にである。 そして、極めつけは夜中にうめき声が聞こえるというのだ。 男性 「何か居ますか?」 いる。 鋭い視線を感じる。 侍だな。 恨みを持つ者か。 この男性に恨みか? さて、前世での恨みか。 えいっ!出でませいっ! 男性の顔色が変わった。 男性 「何の用だっ。」 懸かったな。 与乃登「そなたは誰だ。」 男性 「われは栄之進と申す者。そなたこそ、何用だっ。」 与乃登「何故に祟っておる?」 男性 「判らぬか?われはこの者に殺されたのよっ。」 与乃登「そうか。殺された恨みか。」 男性 「おうよ。許さぬわ。」 なかなか強い恨みと視た。 さて、どうしたものか。 この続きは明日と言うことで。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年05月11日 16時42分13秒
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