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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
これまで生きてきて、一番の挫折は?と聞かれたら、
乳がんになったことだと、即答するだろう(島倉千代子 さんは、「これまでの苦労に比べたら、乳がんなんか どってことない」とおっしゃっていたので、まだまだ わたしの挫折なんぞ・・・ですが)。 電車の中吊りに「乳がん年齢」というのがあったが、 まさしく38歳のときに、乳がんがわかった。 術後は浅草橋にある乳がんの患者さん専門のワコール ショップに行ってブラジャーを買っていたのだが、 「もういいでしょう」と思い、一般のワコールショップ で商品を選ぶことにした。 試着されますか? と聞かれ、ちょっとやだなと思い、 「ワイヤーのついてないのがほしい」と言ったものだから (圧倒的に品数が減る)、あれこれ言われ、もういいやと 思い、「実は乳がんになって」と、言った。 温存手術で、かなりいい感じで残っているわたしのおっぱ いは、パットなど何も入れなくても、そのまま普通のブラ ジャーが装着できる。 幸い転移がなかったので、抗がん剤治療もしなくてすんだ。 それでも、精神的ダメージは大きかった。これで、全摘で 抗がん剤治療だったら・・・と思うと、へなちょこがん患者 のわたしは、めまいがしてしまう。 浅草橋の店員さんは、それこそいろーんなお客さんの 傷ついたおっぱいを見ているので、わたしのおっぱいを見て、 「よかったですね」と、 しみじみ言ってくださった。 そして、今日、ブラを選んだあと、店員さんに なぜ早期発見できたのか?と聞かれた。 わたしは、35歳過ぎから毎年自費で人間ドックに行っていた。 自営だもの、自分の健康は自分で守らなきゃと思っていたし。 そこで、しこりがみつかり、その後、知り合いの女性外来の主 治医にかかり、持ってた人脈のすべてを使って、そのつど最良の 医療を選んできた。 シャツの上からは左右ほとんど変わりのない胸をしげしげ見て、 店員さんは、 「よかったですね。やっぱり早期発見って大事なんですね」と、 言った。 正直、病気の話はあまりしたくない。 まだ、傷は癒えていないし、他人事だと思っている人には 聞いてほしくはないからだ。 ワコールの店員さんだったから、話す気になったのは間違いない。 意地悪のようだけど、早期発見できるかどうかは、自己責任 だと思っている。 日ごろから気をつけている人は、乳がん検診が婦人科では できないことを知っているし、触診だけではなく、定期的にマン モやエコーを受けたほうが絶対いいことを知っている。 授乳中でも乳がんになることも知っている。 知らないで、「まさかわたしがかかるはずない」とタカをく くって、おっくうがって検診にも行かず、手遅れになっても、 それは、その人の責任だと思う。 それよりもむしろ、闘病しながら、子育てをしている人たち のために何かできることがないかと、思っている。 闘病しながら、いつか、妊娠もしたいし、出産もしたいと、 時期を待って、希望を捨てずに生きている人たちに思いを 馳せる。 気が変わって、日記に書く気になったのは、たぶん、ワ コールと、店員さんの接客がよかったからだろう。 以前、新幹線で京都駅を過ぎたとき、ピンクリボン の大きな看板(?)が目に飛び込んできた。 ワコールの社屋に掲げられたものだった。 接客してくれた店員さんも、胸にピンクリボンをつけていた。 「うちは男性社員も全員ピンクリボンをつけています」と 言っていた。 いいなあと思った。 社をあげて、乳がんの早期発見を呼びかける。 その一端に、確実に触れた。 ワコールに免じて、わたしのしょぼい乳がん体験の一端も ちょっと披露しちゃえー。 そうだった。ピンクリボンの運動には、わたしのお世話に なった先生方もたくさん参加されているんだった。 すねたこと言ってちゃいかんね。 予防法がわからないから、なるときはなるんだと思うけれど、 早くみつかったほうが、ほんと、いいよ。 ピンクリボン活動は4つ葉プロジェクトを始めるにあたって、 参考にさせてもらった運動だ。 4つ葉もいつか、ピンクリボンみたいに大きくなったらいい なあと、思いつつ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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