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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
昨日は、文化放送の番組にゲストで出演させてもらった。
司会はイルカさんだったのだけど、番組開始早々に子ども の居場所に関する自分の体験を書かれたファックスが 届いたりして、 「こんな硬いテーマでも、イルカさんにかかると、すごく 身近で、親しみやすいテーマになる。イルカさんってやっぱ りすごい・・・」 と、その影響力に感心した。 (おなじみ、息子の“冬馬くん”は、26歳。小学1年生の パパなんだそう。ってことは、イルカさんもおばあちゃんなのだ) わたしが「子どもの居場所は、大人から指導されるような 場所ではなく、『自分はここにいていいんだ』と自己肯定感 を持てるような場になることが大事と思う」と、たどたど しくいったら、 「安心して過ごせる場ってことですよね」 と、“自己肯定感”という堅苦しい言葉をその場でわかりや すく解説してくれたりして、そのプロの技にすっかり魅了されて しまった。 流暢なその語りに、昔深夜番組を聴きながら、勉強のような漫 画読みふけりのような時間を過ごしていたときのことを思い出 した。 ****** それにしても、人はいったいどういうときに、心を動かされる のだろう? 正論だけ熱く語っても、たぶんだめだろう。 同じことを言っても、言う人によって、伝わり方が違う場合も たくさんあるだろう。 今週号の「hanako」もそうだったけど、女性の体についての 特集がされるときがよくある。 30人に1人がかかるという乳がんは必ず紹介される。 体験談と医者の解説と記者の体験レポートをだいたい2~4 ページにまとめるのが「お約束」だ。 で、ページをめくると次は「子宮筋腫」とか「子宮内膜症」 とか、「骨粗しょう症」とかが並ぶ。 で、漢方やアロマ情報もお忘れなくーってことできちんと押さ えてくる。 が、「これじゃないのよねー」と、思う。 この記事は、体験してしまった人にも、これから検査を受けよ うかという人にも、たいしたことは訴えないんじゃないか?と 思う。 チェックするだけ時間の無駄だと思っているので、そんなに まじめに見てはいないが、育児情報誌にしても、あるいは他の 情報誌全般についても同じように感じるときがある。 でも、それを言っても、 「そんなこと言っているのは杉山さんだけよ。 たいがいの読者はこれで満足しているし、反響もある。 あなたが望むような記事を求めているのは、ごく一部よ」 といわれてしまうような気がする(現に言われたこともある)。 つまりそれは、マイノリティは相手にしないということなのだ。 それが、「お約束」なのだ。 (顔なんかもちろん見えない)マスを相手に情報を提供する 側になると、自分の考えや意図と、読者が読みたいと思っている だろうと、送り手側が勝手にイメージしている内容の、そのさじ 加減でうんうんうなることになる(要は自分の好きなことは、な かなか書いたり表現したりできないってことですな)。 んー、でも。 伝えたいことは何よ。 伝えたい人は誰よ。 何でもいいから、言われたことを書くというところから 距離を置いたわたしは、そんなことばかり考えて、いつも マイノリティを相手に実験めいたことばかりしている。 熱狂的なファンではないのに、 「汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる」 とか、 「サ、サ、サ。サラダの国から来た娘」 と、今でも歌えてしまう自分に、あるいは ラジオに耳を傾け、ついメールを 送る気にさせるイルカさんの影響力に 圧倒され、 それをきちんと認めつつ、一方で、これまで、当たり前だ と思っていたのとは違う、情報の送り出し方や表現方法が 生まれてもいいんじゃないか? とも思っている。 人の心を動かすものは何なんだろう。 本当に不思議だし、いくら考えても尽きない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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