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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
昨日、今日と、連続で全然タイプは違うのだけど、
本当に重量級の体験をさせてもらった。 今日は、18日に行われたこども未来財団と、日本 フィランソロピー協会の「企業とNPOの子育て 支援協働推進セミナー」についてご紹介したい。 「企業とNPOの子育て支援協働推進セミナー」とは、 そのままずばりのセミナーで、特筆すべきは参加 企業の多さだった(さすが日本フィランソロピー協会)。 厚生労働省雇用均等児童家庭局の元局長で、今は 資生堂の取締役執行役員の岩田喜美枝さんの基調 講演は、目の前で聴かせてもらったのだけど、 本当に、すばらしかった。 女性も自分の持っている能力を生かして働いて いくんだという信念のもと、自身も二人の娘さんを 育てながら、両方の母親に助けられながら(その二人 のお母さんを今は介護されているそう)、旧労働省で 女性労働施策に携わってこられ、局長をされたあと、 早期退職して、自分から資生堂に「わたしを雇ってく れませんか」と売り込みに行かれたという岩田さん。 そんな人だからこそ、できる話ばかりだった。 資生堂は、学生が選ぶ女性が働きやすい企業1位に 選ばれ、100数十人の求人枠に対し、 何万人という女子大生が応募してくるのだという (それだけで、ワークライフバランス推進を旗印に 掲げる意味があるね)。 企業はこんなふうにワークライフバランスに取り組む べきだという話をされる姿は、まるで厚生労働省の 人みたい。なんだけど、企業の人だから、説得力が まるで違う。 言う岩田さんもすごいけれど、それを言わせる資生堂 もすごいなあ。時代は変わったなあ。 岩田さんの話もよかったのだけど、それは、おいおい ご紹介するとして、 後半、わたしがコーディネートさせてもらった分科会が 本当に楽しかったので、ちょっとそのお礼を。 4つ葉の勉強会でもお世話になった富士通総研の渥美 さんと、事業所内保育所はじめ認可保育所などを 手がけるパソナフォスターの佐藤敦子さんと、ブログ でも時々顔を出してくれるのしぱぱさん こと古野さんというメンバーでのシンポだった。 「どこから攻めても大丈夫」という安定感抜群の メンバーだったので、地域や家庭での個人としての 子育ての話から、スウェーデン、韓国などの子育て支援 策の実態、日本では7割の女性が妊娠や出産でやめる のはコスト大だという話、かと思えば、事業所内託児 所の是非論争などなど、濃い内容の話が飛び交い、 コーディネートがとても楽しかった。 古野さんは、日記に書かれていた、子どもの3間を 奪ったのは企業だという話をされ、 「その言い方はないんじゃない?」と会場から 反論が出、 かなり緊張した雰囲気にもなったりして、 それを、 「古野さんのご意見は、たぶん、多くの母親が思っている ことでもあると思います」 と、子育て生活応援団の橘さんがナイスフォロー。 わたしは、 「時間となりましたので、みなさん、もやもやしている ものを持ち帰って、いろいろ考えてくださいね」 と、まとめにならないまとめをした。 それにしても、わたしが「和田中の藤原さんが、中学卒業 するまでは携帯は必要ないとおっしゃった」といったとき の古野さんの、「よしっ」という顔は、忘れられない(笑)。 古野さんとは、MLやブログで論争することはあるんだけど、 お目にかかって、じっくり話をするのは、あれが初めてで、 子どもの環境についての考え方やめざす方向については、 そんなに違いはないのだと思うけれど、その方法論は 少し違う気がする(ぶらさげるにんじんの大きさとか)。 別にいっしょじゃなきゃダメってこともないし。 あと、女性の生き方についても、違うかも。 古野さんは、女性が働くと経済活動に巻き込まれて、 今よりもっと悪くなるんじゃないかと危惧されているん だと思うけれど、わたしは女性はそんなにアホじゃない と思っていて、 現に、お子さんを小児がんで亡くされて、それがきっかけで 会社を興し、プライベートでも難病の子どもたちの支援や カンボジアの学校設立の支援をされている佐藤さんなどは、 男性とは違う価値観、生き方で、企業の人としても やってこられていると思う。岩田さんも同様だ。 本音と建前をじょうずに使い分けて生きていくってこと、 女の人は、苦手なんだと思う。 岩田さんや佐藤さんたちの時代は、女性が生き残って働く ということは今よりもずっと難しかったと思う。 選択肢も少なかったと思う。 でも、これからは、選択肢はたくさんあるし、 あれほどがんばらなくても、容易に手に入るぐらい社会は 変わってきていると思う。 本人のやる気さえあれば、いい風が吹いてくると思う。 それでも、古野さんは、すごいなと思いながら進行 していた。 「ボク、妻に迫られて、育休とりました。会社に 言われて、今日はパネラーやってます」みたいな 育休パパじゃないもんね。 企業相手にあそこまで言うのは、並大抵じゃないなと 思った。 古野さんのような男性が、ごろごろ現れてくれば、 かなり手ごたえを感じられるようになると思う。 追記: 懇親会で、古野さんに異論をとなえた男性と名刺交換 した。 彼は、「あんなふうに企業が主犯だって言われてしまう と、じゃあどうしたらいいんだってなってしまう。 せっかく差し出した手を握り返してもらえないような」 と、話してくれた。 「そうですね。こちらも企業とはこんなふうに 協働したいんだという具体的な提案が見せられるよう にならないとダメだし、企業の要望に応えられるような 専門性がないとダメですね」 とお答えした。 きちんと考えようとされている、誠実な方だなあと、 思った。 あの場に、ひとりもいなかった、「子ども」の ことを、大勢の大人たちが、考える。 つまりは、子どもたちに誠実であることから 始まるのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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