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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
昨日、新沢さんたちと話をしたときも
「今、佐伯さんの『親子再生』読んでるのよー」 なんて話が出たんだけど、そこに、重要な一文がある。 「子どもの育ちを保障するためには、親を支えなくては ダメなのだ」 そんな当たり前のことを、(佐伯さんから)具体的なかたちで みせつけられたのです。 (三鷹市立保育園 元園長の話) 佐伯さんが、いかに「具体的に」それができるのかは、 本書を読んでいただくとして、まさしく「子育て支援」 の本質はそこにあると思う。 「支援とは、その人の本来ある力を発揮できるように 支えること」 「援助とは不足しているものを補い助けること」 誰でも必ず「内なる力」を持っています。でも、何かがゆ がんてしまったことで、うまく発揮できなくなったその力を 取り戻し、再生するまでを支えることが「支援」だと 思っています。だからこそ、もう一度いいたい。 「ひとりじゃないよ。必ずあなたを支えてくれる誰かが そばにいるよ」と。 「どんな子どもでも守ってみせる」 「どんな親でも寄り添ってみせる」 これが、プロのしごとだ。 そんな、本物の「プロ」に「プロ」の仕事をさせている のが、三鷹市だ。 以前、三鷹市の財政事情について講師を依頼したこともある 元三鷹市子育て支援室の竹内さんの 「組織は個人を超えなければならない」というコメントも ふるっていた。 いま、新宿の基本構想づくりの参考にと、三鷹市の市民プラ ン21会議の提案書を読んでいる。一部を抜粋してみよう。 こんなまちにくらしたい こんな三鷹をつくりたい 心から願うたいせつなこと さまざまな立場の すべてのわたしたちは 子ども 高齢者 障害のある人 女性も 男性も 国籍もかかわりなく 生き生きと 安らかに 朗らかにくらせるまちにしたい まちは人のくらしの すべてに応える舞台 それぞれの人生や生活にあわせて いのち しごと くらしが輝く 調和のとれた自立的なまちにしたい わたしたちが くらしたいまちを実現するために わたしたちは 責任を持ち 力を尽くしたい わたしたちは市民として 行政と共に力をあわせて まちづくりを 進めたい そのために このまちにくらす人が出会い 市民として参加し 行政とも協働して 自分のまちをつくり出すための 持続的なしくみを持つまちに したい 375人の市民を集めて、上記のような前文を掲げた市民プラ ンを作ったのが6年前というのだから、やっぱ三鷹市は すげーやって思う。 言ったからできるってものじゃないというのもわかるし、 「ちょっとキレイ過ぎない?」と、 後追いの新宿区の基本構想に関わっているわたしなどは、 やっかみ半分言ったりするけど、それは、「やられた」 「参りました」という気持ち半分だからだ。 6年前に、「協働」とか「自立した市民」とか「継続的な しくみ」とか、市民レベルにまできちんと落ちていて、前文に 盛り込むセンスは、すごいと思う。 それを、了解する三鷹市の懐の深さも、すごいと思う。 (いまだに、住民がよけいなことを言うのも、するのも嫌う 自治体は多いからね) ことばは、あなどれないから。 6年後の今、さて、新宿区はどんな基本構想が出せるだろうか。 三鷹が出てきてしまった以上、高らかに理想を宣言するのは、 二番煎じみたいで、避けたい。 じゃあ、どうしようか? もちろん、強みはある。 構想づくりに参画した新宿区民が 「絵に描いた餅はいやだ」 と、言っていることだ。 「仏つくって魂入れず」には、ならないはずだ。 (もしなったら、それは、区とアドバイザーのわたしたちの 責任だ) 参画したひとりひとりが「魂」だから。 市民が、6年前にあんなプランを打ち出してくるような三鷹市 だから、日本中のどこよりも早く、家庭支援ネットワークが 構築され、佐伯裕子さんのような卓越した専門性を持った人を 輩出できたんじゃないか。 そんなことまで勝手に思いを巡らせ、GW最後の一日を新宿区の ために使おうと思っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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