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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
今日は子どもの事故予防のビデオ撮影で、世田谷のIさん宅
に伺いました。 その前に、駒沢公園でベビーカー連れの母子4組に集まって もらい、子育て中で、「ひやっ」としたり「どきっ」とした 経験について語ってもらいました。 事前にお伝えしていなかったので、直前になって 「このビデオは、子どもの事故予防を考えるビデオであること」 「皆さんと同じぐらいの月齢の子どもを持つお母さんたちが 見ること」 だから 「できるだけ具体的に事例を紹介したいこと。 月齢、どこで、どんなときに、どんなことが起きたか、 目に浮かぶようにお話ください」 とお願いしました。 そのわずかの時間に、みなさんは過去の出来事を思い出してくれ、 本当にすらすらと、聞きたかったことをお話してくださいました。 (内容については、ビデオを見てのお楽しみ) わたしたちの仕事の目的をきちんと把握して、 過不足なく協力してくださる、賢いお母さんたちって、大好き その後、Iさん宅で室内のシーンごとに事故になりそうな 箇所、気をつける点の撮影に移ったのですが、 ハマオさんに紹介していただいたスタッフのみなさんは プロなので、当たり前ですが、安心して任せられ、モタモタ したところは、まったくなく「的確な仕事」というのを 間近で見せてもらった気がしました。 「この人たちは職人だから、多分なんでも番組にできる 人たちなんだろう」 と、思いました。 だからわたしの役割はここでも、何の目的でこのビデオを つくっているのかを明確にすること。 目的からずれた番組は、たとえどんなにデキがよくても ダメ。 (その意味では、先日山中先生の撮影で先生のお話を 聞いておけたのはみんなにとってもよかった。「あるある」 みたいな、「こちらが引き出したいコメント」を待つような ダメダメ取材は一切しなかったし) 一方で、こちらの投げかけた問いに、まったく答えられて いない、不思議な事態もままあります。 (その1) 「この分野について勉強しましたか?」 と聞かれたら、 「大学時代に勉強しました」 とは、答えんだろう、フツウ・・・。 「これと、これと、これについては学びました。 つまり、これは、こういうことですよね。 あれは、こういうことになると思いました」 でしょ、回答は。 この人は、いったい何を学んできたのか、 勉強した内容の要点を答えて欲しくて、 「勉強しましたか?」と聞くのだから。 (その2) 先日某区のNPO団体向けの助成事業の審査委員会で、 昨年度の助成団体の報告書を見せてもらったのだけど、 審査得点が一番高い団体の報告書ーーそれは、あるイベント をしたものーーのなかで、 「この事業を実施しての成果は?」と問われ、 「この日はお天気がよくてよかったです」 と書いてあった。 さすがに「これはまずいですよ!!」と申し上げさせて いただきましたが、 「この団体は、まじめできちんとお仕事してくださる 団体だと思います」 とか、行政の人がフォローするので、 「それでいいんですか? これは公開される資料でしょう? 住民から問い合わせがあるたびに、『この団体は・・・』 って説明するんですか?」 と聞きました。 なんとその団体の代表者がその委員会に参加していて (わたしはうっかり気づかなかったのだけど)、 すっごい目でこちらをにらんでらっしゃいました。 あ。ついでに、 「すみません、スタッフがうっかりこんなことを書いてしまっ たのだと思いますが、ここは『成果』を聞かれていますから、 イベントを通してどんなスキルが身についたかとか、活動に対 してどんなプラスになったかを書かなければならなかったです よね。帰ったら、みんなに注意しておきます」 みたいな、リーダーだったら当然するべき発言はもちろんのこと、 ひとことの発言もありませんでした。 (わたし、なにか、まずいことでも言ったのでしょうか?) (その3) スタッフのアシザワに「こういのどう思う?」と その1とその2について聞いたら、 「PTAじゃそういうことはしょっちゅうですよ。 これはどういうことですかと突っ込みを入れたら、 『ひどい、傷つきました』とか言われちゃいますからね」 というエピソードを教えてくれました。 恋人とか、そういう間柄で、鋭いつっ込みを入れられたら、 「そんな言い方しなくたって・・・ひどい、マーくん(仮名)」 とか言って、泣いたり、論点をずらす作戦に、 出たけりゃ出たらいいと思うけれど (わたしがマーくんだったらそういう女の人とは別れるけど)、 公の場でしょ。 シゴトも行政への報告書もPTAも。 なぜに、そうなる??? 直感的にわかることは、これはある意味センスの問題だという ことだ。 問いを投げかけられたら、 その問いの意図をまず汲む 問うた相手は何を聞きたがっているのか? 天気がよかった。人が集まってよかった。みなさん、熱心に話 を聞いてくださり、熱い思いを共有できました みたいな「作文」を聞きたがっていたのか? いやそうではないだろう。 もう一度、「問い」を読む。 相手のポジションを想像する。 相手の事業そのものの企画意図を再度確認する。 あの人は、この問いをして、いったい何を知りたいと 思っているんだろうか? を、考える。 問われた相手がこの課題について、どれぐらい真剣に考え ているかどうかがくっきり見えるポイントは、ここではないか。 いったいどれぐらい問いかけた相手や問われた状況に 思いを馳せ、「聞いた人が知りたいと思っているものを 届けよう」と、脳みそから汗を流せるか。 いまさら言わずもがななんだけど、 オトナの会話とは、そういうものだ。 こんな当たり前すぎること、こんなにくどくど 熱く語りたくはない。 当たり前なんだから。 そこから始めないと、建設的に前に進めないでしょう? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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