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カテゴリ:杉山千佳(子育て環境研究所)
わたしたちの活動のちょっと(ってゆーか、かなり)
先を行く人に、地域創造ネットワークの 田中尚輝さんがいる。 欧米のように個人のボランティア活動を事業化して 公共の担い手にまで引き上げるには、NPO法が必要だ ということで、NPO法の制定に尽力し、 NPO法ができたら今度は、高齢者福祉の充実には、 介護保険制度が必要だってことで、制度づくりにも 力を尽くした人だ。 で、介護保険制度ができたら今度は、全国の介護事業を 行っているNPO団体を組織化して、市民協という団体 まで作ってしまった。 その田中さんが、先週の毎日新聞でコムスンの問題に ついてコラムを寄せていた。 詳細はここに掲載されているので じっくり読んでいただくとして、興味深かった箇所を抜粋 してみよう。 * * * 介護保険制度は画期的なもので、企業やNPOもサービ ス事業者としての参入を認め、その競争を促し、よいサ ービス提供ができるようにしています。 これを形式からだけみれば、「自由な市場」に似ています。 しかし、保険料と税によって運営されているために、サー ビス料金を勝手に決めることはできず、報酬の上限が設定 されており、その他にもさまざまな規制があります。 これを順守しようとすれば十分な利益をあげることは不可 能なことなのです。ですから、コムスンのようにこの事業 によって自社株の値上げを図り、企業価値を高めるなどと いうビジネスモデルはあり得ないのであって、それを追求 したコムスンは「準市場」を理解していないのです。 また、この準市場の特徴は規模のメリットを発揮できな いという特徴をもっています。人件費比率が八割前後にも 達する事業において、事業所数をいくら増やしても利益率 に反映することはないのです。 わたしは、子育て支援もひとつの市場になってほしい ということを、このブログでも書いている。 でも、純然たる市場ではなく、国から税なり保険なりで 財源の確保をしてほしいという以上、自由競争の 市場にはなりえず、「準市場」になるわけなのだなーと いうことを知った。 それどころか、本社から全国一律の指揮によって、末端の 要介護者に満足いくサービス提供ができるかということも 疑問です。要介護者が住む地域は千差万別であり、地域事 情、たとえば、市民協のようなボランティア団体があるの かどうなのかによってもケアプランが異なってくるはずです。 このサービスは地域密着型のものであり、地域の市民の支 え合いが不可欠であり、逆にいえば、夜逃げのできない サービスなのです。 これも同感。介護の現状は、子育て支援の現状にも 通じるものがあるなと、思う。 ですから、介護保険事業に参入する企業は、お金の 計算ばかりではなく、人間を大切にする倫理観が前提 になければならないわけです。 見落としてはならないのは、「準市場」であることは規 制をしている行政の責任があるということです。 現状の介護報酬がきわめて低く抑えられ、主力のサービス を担っている登録ヘルパーの月給が十万円前後、中間管理者 の年収が三百万円前後という劣悪な労働条件をどう考えるの か、という「問」を行政側には発しなければならないでしょう。 介護報酬を極端に抑えている現状を続ければ「保険あって サービスなし」という制度の崩壊を早晩に迎えることにな ります。事実、都市においてはヘルパーを募集しても全く応 募者がないのです。 (以上、転載終わり) 中間管理職でフルタイムで働く人で、300万円の年収では・・・。 例えば、子育て支援に税か保険かわからないけれど、財源 をもってきて、「準市場」化した場合、わたしは、たぶん 介護の3分の2ぐらいの報酬の制定で出てくるのではないか? と予測している。 では、フルで働いても年収200万円?? ううーん・・・・。 そんなのでは、新卒の学生に「子育て支援で食っていけ」 とは言えない。子育て支援の継続性も危ういし、何より 質があがらない。 スウェーデンもフランスも、充実した家族政策の反対側には、 日本よりもはるかに高い税なり保険の負担がある。 日本ほど増税が嫌いで、でも、公的サービスの充実を求める 国民はほかにはいない・・・ という話を思い出す。 フランスでは、24時間営業のコンビニやファミレスはそん なにはやらないそうだ。 そもそもあまり出店されてないという。 バカンスの国だからね。 バカンスで町がお休みしてしまっても、不満は言わない。 だって自分もバカンスを楽しみたいから。 相手もほかの人の休日も認めるわけだ。 24時間、若いフリーターに働かせて、便利ばかり追求して 「でもわたしはワークライフバランスがいいのよ」 なんて、エゴ丸出しの発言はしないのだ。 一昨日のわたしのブログともつながってくるのだけど、 カネの流れをもう一度よく考えてみたほうがよいよう に思う。 わたしのお金の使い方は、 わたしの生き方そのものなのだ 国のお金の使い方は、 国の方針そのものなのだ 全然話は違うけれど、国にお金がない時期、絶対増 えないのが、教育予算なんだそうだ。 で、そういうとき、政治家は何を言うかというと、 カネのかからないスローガンなんだそうだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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