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KenYaN   KYN SPACE

KenYaN KYN SPACE

青と黄色の旅

              「青と黄色の旅」



僕は毎日何をしているんだろう・・・

そうだ、旅に出よう。

自分探しの旅に......

高校卒業して、適当にバイトやって家に引き篭もって・・もう19歳。

10代最後の夏だっていうのに・・いつものように寝て起きて、何も変わらない毎日。特に仕事をしようとも思わない。

飯食って、適当に寝転んで、意味の無い24時間が過ぎていく。

ある時、僕が持っている超ネガティブなHPにコンナ書き込みがあった。

「自分探しの旅に出ませんか?メール待っています。」

てか、顔も見た事無いし話した事もない奴と旅ですか?って、ちと不思議に思った。

その時は別に自分探しなんて、なんの思い入れもなかったけどね。

とりあえず暇だったし書き込みのあった相手にメールをしてみた。

「自分探しの旅って、どこに行くんですか?」

すると、返事が返ってきた。

「場所なんて決めてないよ、自分探しの場所を知ってるのであれば旅になんて出ないし。」

と、返事が返ってきた。

僕は、なんて妄想の激しい人なんだと思った。

その後、何度かメールのやり取りをしている間に会う約束をした。

まぁ、暇だから会うんだけどね。

メールの相手の名前は・・確か・・フライパンって名前だったかな?

いつも通り昼前後に起きて「はっ!?」とした。

そういえば、今日フライパンと15:00に渋谷で会う約束だった事を思い出した。

慌てて服を着てキャップをかぶって家を出た。

駅に着いて、電車の待ち時間に一服。

「まもなく~1番線に急行渋谷行きが参ります....」

どのくらいだったろう・・このアナウンスを最後に聞いたのは。

電車が動き出してからまもなく、多摩川が見えてきた。

川辺に映る太陽がやけに眩しく思えた。

電車の中で、待ち合わせのメールの確認をしてみた。

「渋谷の映画館の横のエクセシオールで待ってます。格好はAPEのニットかぶってます。」だってさ・・

そんだけじゃわからねーし。

男か女かも聞いてない事にココで気づいた。

頭の中で「ちょーキモかったらどしよ・・とか・・・男だったらマジでヤダなーとか。。。」

そんな妄想してる間に渋谷に到着。

「急行はえー!」って思ったわ。

改札を抜けると 人!人!人!の群れ・・・

待ち合わせ場所のエクセシオールカフェに行くとメールが来た。

「奥の禁煙席に座ってます」だってさ。

「タバコ吸えないじゃん」なんて思いつつフライパンを探した。

と、店内を見回していると奥にAPEのニットかぶった女が座っていた。

普通に「フライパンさんですか?」と聞くと、やはりそうだった。

見た感じ普通の10代の女の子だった。

まぁ、とりあえず自分達の自己紹介からしてみた。

「あ、」  

「あ、」

互いに言葉が重なってしまった、お互い赤面・・・

ちょーはずかしいわ。

そんなこんなで、今日の目的である「自分探しの旅」について話してみた。

この旅には他にも仲間がいるようだ。

旅のプランを聞いたところ。「はぁ?ばかじゃねーの」って思った。

てっきり旅行感覚だと思っていたからスゴイ衝撃だった。

要するに、目的地無し 移動は車 自分探せるまで旅は永続・・何て無計画な..って思った。

とにもかくにも、予定日が今週末って言うんだ。

どうしよオレ。その場では答えは保留にしてもらった。

その後、暇だったし居酒屋で飲む事にした。

てか、オレ10代だよ!?まぁいいかな。

そんなこんなで、生1杯....5杯.....7杯...

フライパンはとうとう潰れてしまった。

そんなこんなで店を出て時計を見ると23:50だった。

どうするかな・・・終電は0:00くらいだったな。。。急げば間に合うがフライパンが・・・

メンドクセーと思いつつ、フライパンを支え夜の渋谷を歩く。

野外オールですか?いやいや、満喫にも運べないし。

どうしよ。

仕方がなくラブホテルにチェックインしてしまった。

フライパンをベッドに寝かしてテレビを見ていたら、フライパンの腕がベッドから落ちた。

仕方ねーなと思いつつ布団の中に手を入れてあげようとした時、赤い衝撃が走った。

手首には無数の傷跡。

何も言えなかった。

と、言うより言葉が出なかった。

何かわからないけど考えてしまって朝まで眠れなかった。

チェックアウト30分前にフライパン起床。

「は!?ここどこ?」

何て言われたし。てかセックスしてねーし。何て思いつつ境遇を説明した。

一応はわかってもらい、割り勘分の金を貰ってラブホをあとにした。

そんで、朝マックして解散した。

フライパンはマックでこんな事言ってた。

「他人には嘘をつけても、自分には正直なんだよね」

何かその言葉が耳から離れなくなった。

むしろ、フライパンとの一日で自分のアイデンティティを知りたくなった。

何故イキナリそんな気持ちになったのかはワカラナイ。

何で人を好きになるのって思う事と同じくらいワカラナイ。

帰宅して携帯充電してフライパンにメールを打ってみた。

「何で、自分探しの旅に出るの?」

今更かよ!・・とか思いつつ。

メールが返ってきた。

「自分は地球人であって、人間であって、自分自身である。それを認識する為には自分自身を再確認したい日常では起こりえない事で自分の思ってる事を全て消化していきたい」

だってさ。

オレには到底理解できない事だった。

オレも自分の気持ちを言い旅への参加を申し出た。

今週土曜夜22:00代々木公園入り口だとよ。

他にも仲間があと2人いるらしく当日まではメンバーがわからないらしい。

この時、子供の旅だし2・3日で終わるでしょって思った。

旅に対する期待と不安でイッパイだった。

全員10代ってね・・・。

「自分探しの旅」当日

何故か珍しく午前に起床した。

旅行だし・・・いやいや「自分探しの旅」だしと思ってドンキーに買い出しに行った。

菓子に飲み物に雑貨・・・・

旅行気分かよ。

買物も済ませ、準備万端。

時計を見ると21:00だった。

そろそろ家を出るかな。

渋谷から山手線に乗って原宿まで行った。

やけに大きいポーターのトートが目立つ・・・・

代々木公園に着き時計を見ると21:48だった。

フライパンにメールっと思った時に道路の方でクラクションが鳴った。

うるせーなと思っていると携帯が鳴った。

フライパンからのメールだった。

「今クラクション鳴らした車へ来て」だってさ。

自販機でジョージア買って車へ向かった。

車は俺の大好きな黄色のFITだった。

すると、助手席から背のデカイ男が出てきた。

コエーって思ってしまった。

男が口を開いた。

「名前はキナコっす、19歳っす、よろしくっす」だってさ。

こいつが何で旅に参加したのかは今の時点では不明。

てか、長身で名前がキナコなのは心で笑ったわ。

で、あと一人が来てないみたいだった。

フライパンに聞くと仕事上の都合で明日から参加らしい。名前は確かメグミだったかな?

てか、某アイドルと同じな前やんけ!仕事って社会人なのか?って思った。

とりあえず車に荷物を積んだ。

代々木公園で野宿するわけにもいかないから、行き先は?って聞いてみた。

すると、フライパンは言った。

「とりあえず鵠沼に向かう。」

は?湘南?海水浴かよって思った。

とりあえず運転は車の持ち主であるキナコが運転するみたいだった。

今、車は環七から国道134を走っている。

てか、車内は無言だし。

思いきって切り出してみた。

「メグミって何で旅に参加するの?」

するとフライパンは、あるメールを見せてくれた。

メグミからのメールだ。

「今の生活に満足感が無いし自分の存在価値が何かわからない。旅に参加させて下さい。」

典型的に病んでいる子かと思った。

すると、フライパンが切り出した。

「今まで言わなかったけど、この子は芸能人でアイドルなのよ」

!?

あのメグミだって!?

オレってばヤンジャンの切り抜き持ってるし!

ちと赤面。

フライパンはこう言った。

「この子を仲間に入れるには鵠沼でドラマの撮影している最中に連れ出すから。」

はい?

それより、もしそれが本当なら・・フライパン助手席行け!と思った。

作戦はこうだ。撮影中に車を横付けしてそのまま、車に乗せて逃亡。

犯罪じゃねーのかよ!!

てか、相変わらず無口なキナコ。

本当にこの作戦を実行するとは本心思ってなかった。

とりあえずキナコの境遇も聞く事にした。

元ギャングで16の時に人刺して少年院に行って先月出てきたばっからしい。

で、自分はなんの為に生きているのかわからないそーだ。

ってか、コエーよ。

とりあえず、ドンキーで買ったドリトス食っとけ。

そして車は走り、鎌倉に到着。

もうちょいで鵠沼だなーと思いつつ朝6時。

とりあえず、由比ガ浜のフリー駐車場に駐車し車で仮眠をする事に。

車から外を見ると太陽が顔を出していた。

由比ガ浜に映った朝日が世界の始まりみたいに思えた。

カバンからMP3プレーヤーを取り出し曲をイヤホンを耳に当てた。

「この時代に~この国に生れ落ちたオレ達・・・・」

GOING STEADYってさ今の俺達にピッタリの曲だと思った。

やっぱ湘南ではサザンを聞くのだろうがね。

そうこうしてるうちに、ロケバスなんかがよく通過するようになってきた。

フライパンが起きた。

「そろそろ行こうか。」

車は更に国道134を走る。

すると、海岸沿いの小さなレストランに撮影陣とメグミがいた。

「 シーン102」 とか言ってるし。。。

マジやんのかよ。。。どうする?なんて思っていた。

するとフライパンが、メグミにメールを送信していた。

内容はこうだ。

「今、通った黄色い車がそうだから乗ってね」

なーんだ自分から乗るんだぁ安心安心なんて思っていると。

フライパンが言った。

「行くよ!キナコ、車寄せて!」

「キキキー」

撮影陣をかき分け車はメグミの横に急停車。

あたりは騒然としている

ガラス越しからおとな達の唖然とした顔が伺えた。

フライパンが「早くドア開けて!」と叫ぶ。

オレは動揺しつつドアを開けた。

「バンッ!」

近寄るメグミの片腕を掴み車に乗せようとするが。メグミのマネージャーが近寄りメグミの片腕を掴み怒鳴る。

「どうゆう事だ!」

オレは力強くメグミの腕を引っ張った。

「ドン!」

勢い余って二人とも車の中に飛ばされた。

「キナコ!早く車出して!」と言った。

「キキー」

ドア閉め忘れてるやんけ。

ドアを閉めた。

「ドン」

てか、オレまずい事したんじゃねーの?って思いつつ顔を横にやるとメグミがいた。

オレが乗せたんだしいないわけないか・・・

動揺しているオレを見てメグミはこう言った。

「ありがとう、そしてゴメンナサイ」

礼と謝罪されても・・・・ね。

4人で自己紹介とかしてひたすら車は国道134を走る。

もう、お昼だな・・・・・

一方その頃。

メグミのマネージャーと事務所は警察に通報しようか否かの状況だった。

しかし、マネージャーはわかっていた。

以前携帯を見てしまった時に見た「自分探しの内容のメール」の内容。

仕事を強要し、無理な事をさせていた会社のせいで限界が来てしまった事を。

旅に出ようとしてる事も全部知っていたのであった。

そして、4人はどこへ向かっているのだろうか・・・今後の運命、自分探しとは何なのだろうか?

宛ての無い十代最後の青春の旅が今始まろうとしている。

2章へ続く。



































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