カテゴリ:考えごと・所感
10月1日は中国の誕生日、国慶節で、
今7連休中です。 その話題も書きたいのですが、 どうしても尖閣諸島が頭から離れないので、 続けて書くことにします。 米国務省のクローリー次官補は24日の記者会見で、 日本政府が中国人船長を釈放したことについて 「適切な決定だ」 「問題が解決したことに満足している」 と述べたらしい。 それを聞いたつばめの感想は、 「よく言うよ」。 尖閣諸島は沖縄県の一部であり、 戦後長らくアメリカの管理下に置かれ、 1972年にアメリカから日本に返還された。 米管理下にある際に、米軍が軍事訓練場として 使用したこともあるというこの島が 日本固有の領土であることは、 アメリカが一番よく知っているはずである。 それなのに、である。 今回の事件発生後、日本がアメリカに助けを求めたら、 アメリカは、尖閣諸島が日米安全保障条約の対象で あることは認めたが、日本を助けてはくれなかった。 「尖閣諸島は日本の領土であることは明白であり、 日米安全保障条約の適用対象である。 有事の際には、米軍はいつでも出動する用意がある」 と声高らかに中国と世界に対して宣言してくれる ことを期待したのに、アメリカの声のトーンは そうではなかった。 「尖閣諸島は日米安全保障条約の適用対象ではある。 だけどそんなことより、早く船長を釈放して 事態を収拾したらどうだ」 と、逆に日本側に折れることを迫ったのである。 (アメリカは認めていないが) 日本と中国、どちらが正しいかは明白であるのに、 日本のほうに譲歩を迫るとは、 正義の国アメリカのすることだろうか。 アメリカは正義の国でも世界の警察でも何でもない。 もし世界の警察だったら、今回の中国の違法な行動に 厳しくレッドカードを示し、被害者日本を助けに 飛んでくるべきではないだろうか。 結局、アメリカの口から出るセリフはすべて 自国の利害に基づいて発せられているのだ。 「船長の釈放は適切な決定だった」というのは、 背後に「アメリカにとって」という言葉が 省略されているのだ。 だいたい日本は、主権があってないような国だ。 中国にこづかれればすぐにひざを屈し、 アメリカにこうしろと迫られれば、 ああそうかとその通りにしてしまう。 いったい日本自身の考えはどこにあるのだろう、と 海外各国は不思議に思っているに違いない。 それは日本という国の持つ文化に 関係しているところもあるように思う。 日本人は、 「自分だけの利害を考えて物を言うのは図々しいことだ」 と考える人が多い。 だから自分の考えばかり押し出す人は嫌われる傾向にあり、 周りの人みんなのことを考えながら公平な視点で 発言する人は歓迎される。 そういう文化背景を持っているので、 日本は外交面でも、相手国に対して自国の利害を 声高に主張することがなんとなくためらわれ、 ついあいまいな態度になりがちなのではないだろうか。 そして自国がそういう文化を持っているものだから、 例えばアメリカのセリフでも、まさか相手が 自分の利害のみを考えて発言しているとは思えず、 公平な目で状況を考えてアドバイスしてくれているのだと つい善意に考えてしまう傾向があるのではないだろうか。 そういう日本の和を重んじ、相手の立場を考えながら 発言する文化はおくゆかしくてよいと思うが、 外交でそれは通用しないことを肝に銘ずるべきだ。 どの国も自国の利害を考えないで発言することはありえなく、 たとえ日本が公平や正義を重んじようとする態度で接しても、 「日本のこの態度・発言には何か裏があるのか」 と逆に勘ぐられたり、 「日本はいったい何を考えているのか分からない」 と思われるのが落ちなのである。 自国の利害を主張し、態度を明確にするところから 対話と交流が始まる。 それが世界のスタンダードであると思う。 お人よしの日本よ、どの国も自分勝手に自国の利害を 主張するのが当たり前なのだという現実を受け入れ、 他人(他国)のセリフをあまり素直に 受けすぎないように気をつけよう。 人の言うことに耳を貸さないといえば聞こえは悪いが、 他国に何を言われようが、 自国は自国の利害に基づいてその立場をしっかり主張し、 守るべき権利はしっかり守るべきだ。 それが主権国家のあるべき姿だろう。 日本は自国の権利を守ることすらおぼつかなく、 他国の権利を奪おうなどとは考えもしないと思うが、 世界にはそういうことを考える国もあるのだから、 気をつけなければならない。 やさしい国、日本。 あなたのそのつつましさを愛するがゆえに、 これ以上国際社会でやられっぱなしにならないように、 もっと強くなって、と祈るような気持ちなのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/10/03 08:45:40 AM
コメント(0) | コメントを書く
[考えごと・所感] カテゴリの最新記事
|
|