ニーハオ中国

日本滞在中の１月のある日、
日本の実家に妹が子供二人を連れて
遊びに来ました。

妹達がくると家はとたんににぎやかに。
数だけでも家の主のおじいちゃんおばあちゃんの他に
大人が２人、子供が４人の総勢９人の
大所帯になります。

さて、この日の夕食は巻き寿司とカレー。
巻き寿司の材料はちょっと少なめのよう。

「カレーは味が濃いから、先に巻き寿司を食べてから
　カレーだね」

とつばめが言うと、

「何言ってるの！子供達には先にカレー食べさせて
　おなか太らせてから巻き寿司に決まってるじゃん！」

と妹。

「そうなの？でもせっかく巻き寿司あるんだし、
　少なくてもみんなで分けて食べてなくなったら
　カレーでもいいんじゃない？」

とつばめが言うと、

「ダメダメ！あんたは主婦したことないんじゃない？
　そんなの常識じゃないの」

と母。

たかだかカレーと巻き寿司どっちを先に食べるかという
つまらないことなのだけれど、
母と妹の強い口調に、

「あんたはみんながおなかいっぱいになるかとか
　毎日考えてご飯作ったこともないんでしょ」

「あんたは主婦失格！」

と言われた気がして、悲しくなったつばめ。
人に言われなくても、「私ちゃんと主婦していないよなあ」
と負い目を感じているのに、
その痛いところをつかれて、ショックなつばめ。

「なによ、あんたたちだって、舅姑と暮らす苦労も
　したことないくせに」

と母と妹に言い返したくなりましたが、
「私達ちゃんと主婦してるよねえ！」と
一致団結したふたりの口調に、
何も言い返せなかったつばめなのでした。

母にも妹にも、口には出さないけど、
つばめが中国で三度の食事を作る苦労もせず、
のうのうと暮らしていることを
暗に責める気持ちがあるのかな、と
感じました。

中国では、夫の友人などに
「姑さんにご飯作ってもらっていて･･･仕事もしてないんだけどね」
と言うと、
「子供見てるんだから、そんなの当たり前じゃん！」
と言われるのにびっくりしたりするのですが、
日本の常識からすると、ご飯も作らず
子育てだけしている主婦なんて、確かに失格かもしれません。

だけどこっちにはこっちの事情もあるのだし、
そんなにふたり団結してつばめを責めなくても･･･、
とその日一日傷ついた気持ちで過ごした
つばめなのでした。