ニーハオ中国

ある晩、テレビをつけると、
中国国内の水泳大会を中継していました。

「わー、この中に日本人いる？
　いたら、中国と日本、どっちを応援する？」

とふたり目ちゃん。

「これは中国国内の大会だから、日本人はいないよ」

と夫。ふたり目ちゃん、

「そしたら、だれを応援する？」

「北京に決まってるだろ」

と兄のチビちゃんがすかさず答えます。

「じゃあ、みんな北京だったら？」

「東城区を応援する」

「じゃあ、みんな東城区だったら？」

「自分の町を応援する」

というようなやりとりがあった後、
ふたり目ちゃんがまた、
さっきの問題をぶりかえします。

「じゃあ、日本と中国やったら？」

チビちゃんが何と答えるか、
興味津々で聞いていたのですが、
チビちゃん、直接答えるのを避け、

「北京と大阪を応援するんだよ」

というような、答えになっていないような
答えを返したのが意外でした。

チビちゃんの中で、
中国と日本のどちらを応援するかということについて、
はっきりした答えがまだ出ていないのでしょう。
それにしても、ほんとにうまく核心を避けたので
感心しました。
実際チビちゃんは、
「自分は中国人だ」と明言したことは一度もありません。

逆に普段、「私は中国人！」と明言して
はばからないふたり目ちゃん、
「私は中国を応援する！」と宣言するのかと思いきや、
「中国と日本、どっちを応援する？」
という質問を繰り返したのが印象的でした。
どっちを応援すべきか、だれかに答えを聞きたい
気持ちがあるのでしょうか。
（もしかして、日本の幼稚園に2週間通ったことが
　影響しているのかも？）

子供のくったくないやりとりの中から
子供たちの微妙な心理を垣間見た気がしました。

（P.S.つばめの経験からいうと、
　スポーツの試合では、自分にとってなじみのある、
　心理的に近いほうの選手を応援します。
　つばめは、何もなければもちろん日本選手を応援するのですが、
　中国のテレビのドキュメンタリーなどで、
　中国選手の生い立ちや練習風景などを見て、
　この大会のためにその選手がどれだけ心血を注いできたか、
　その選手の恋人とのラブストーリーまでを
　知っている場合には、知らない日本選手よりも、
　よく知っているその中国人選手を応援したくなったりします。
　北京オリンピックでは、日々中国人選手の詳しい情報に
　接していたので、日本人選手と同様、時にはそれ以上に
　中国人選手を応援したい気持ちで試合を見ていました。

　それにしても、中国と日本、どちらを応援するかということは、
　本当に自分の立場表明なんですね。
　新婚の時、夫と、夫の同僚たちと、夜のバーの大画面スクリーンで、
　中国人のみんなと中国対日本のサッカーの試合を
　見たことがあるのですが、その時はさすがに、
　「絶対日本が点数入れた時に喜ぶな。みんなにボコボコにされるぞ！」
　と夫に注意されました。）