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我思う、ゆえに我あり

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yukie_yo

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November 6, 2010
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カテゴリ:雑考あれこれ
最近「モルガン家」を読んでます。長編なので、なかなか読後感想文が書けないのですが、とりあえずJPモルガンが死んで二代目JPモルガン、ことジャック・モルガンの時代の途中まで読み進めたので、ここらで一つJPモルガン時代について書いてみたい。

JPモルガンといえば、その名がそのまま投資銀行になっている。ま、今はJPモルガン商会そのものよりも、モルガン・グレンフェルとか、モルガン・スタンレーとかの方が馴染みがあるかもしれない。

けれど、19世紀から押しも押されぬ一大金融帝国を確立したのが、このジョン・ピアモント・モルガンである。

彼一代で築いた身上かと思っていたら、お父さんの代に後継者のいないイギリスの銀行のパートナーになって、そのまま引き継いでから、大きくしていった。お父さんはロンドンで、JPモルガンはNYでと親子が大西洋を股にかけて会社を大きくしていった。

このモルガン帝国が、ロンドンのシティ(金融街)で外債引き受けの注文を少しずつとるようになって、大きくなっていく。

最初はアメリカ人だから、といわれて馬鹿にされていたが、そのうち大英帝国が斜陽になる一方、アメリカが新興国として大きくなっていくその過渡期にちょうどJPモルガンが、アメリカの力をそのまま反映して大きくなって、活躍する。

当時の銀行家はまだ紳士なところがあって、まだ政府の産業政策などない時代に、銀行は、顧客の面倒をよく見た。名門なほど銀行は広告など出さず、成り上がり者など相手にせずに、顧客の経営状態もよく把握して、経営危機に陥れば、資金注入を含め支援を惜しまず、顧客を見捨てるなど信義違反に思っていたという。

そうした古きよき銀行家を体現していたのが、JPモルガンであった。

さらに、銀行は子会社を通じて企業の株主の委任状を集めることができた。これが、モルガンの持ち株以上に大きな力を発揮して企業に対し大きな影響力を発揮できた。この影響力を利用してモルガンから役員を送り込み、取引銀行や金融サービスをモルガン系に全部持っていかせるとか。例えば、新株発行、債券発行の手数料だけでも、モルガンには大きな収入源だ。

また、JPモルガンが繁栄した時代は、アメリカそのものに産業が生まれていくタイミングでもあった。なので、モルガン帝国もどんどん大きくなっていった。

なので、鉄道事業にモルガンが資金を提供していたが、中小鉄道会社の乱立により共倒れにならないように関係会社の社長を自宅の一室に閉じ込めて2,3日缶詰にして、妥協策を決めさせるとか、荒療治もやった。

また、鉄鋼会社も会社の乱立を受けて共倒れになりそうになると、例によって社長たちを缶詰にして、複数会社を合併させてUSスチールを作らせた。

万事そんな感じだから、かなり強引で、政府に邪魔すんなといえても、人々に信用もされた。

そういう件を読むと、納得できることがある。

1920年代、渋沢栄一が貿易摩擦で渡米して、政府介入なくUSスチール社長と話し合って、摩擦を解消したいきさつがある。

日米の大物同士が話し合って、貿易摩擦にけりをつけるって、今考えたらすごいじゃない?

現代なら政府に何とかしろと押し付けて、それでも解決できないとWTOに行って交渉して、白黒つける。つい最近でも鉄鋼はWTOにいってようやく解決した。

政府に頼らない。そうした企業の矜持が昔はあったと思う。未だにアメリカでは、小さな政府を謳う共和党が近いことを言うけれど、そしてモルガンも共和党寄りだけれど、(外交面ではイギリスとの親密な関係から、国際協調を支持するため、民主党とでも組めるのだが)もっと、小さな政府というからにはそれ相応に自らが汗をかくという覚悟があった、と思うんだ。今の共和党のいう小さな政府は、規制をできるだけかけない、監視機関も要らない、というだけで、大企業がその分自分で何とかするぞ、といえる姿勢があまり見られない。

破綻すれば、助けてくれ、というし、けど規制反対というし。オバマが金融規制法を通したのは、サブプライムなど法律の穴をふさいで、不況を作らないように規制をかけるためなのに、(そして、それは金融機関にも破綻にいかないためのブレーキでもあるのだが)怒り頂点だ。

産業が勃興しているときに最初から規制があるはずもないが、モルガンのように小さな政府で企業が自己責任をそれなりに認識していたという背景もあるから、渋沢とナシをつけられるし、規制がかかるのも時間がかかったのだろう。けれど、規制はやはりかかってはいくが。

例えば、不況が起きて国が破産しそうだというときになると、アメリカ政府やNY市はモルガンに頼って、債券を買ってもらって事なきを得た。しかし、いつまでもモルガンという一企業に頼るのはよくない、という考えから、連邦銀行制度が出来上がった。

そうやって見ていくと、アメリカの経済史を読んでいるような感じになれるから面白い。

そして、子供のジャック・モルガンの時代になると、ドル外交時代がやってくる。けれど、それはそこを読み終わってからまた書きます。





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Last updated  November 6, 2010 01:34:21 PM
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