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一期一会（ぼくの読書日記）

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[エッセイ] カテゴリの記事

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「ひとり旅」を読みました

終戦の年に空襲で避難した谷中墓地で見た、夜空一面から朱の光が降りそそいでいた情景。銀行の現金引出し専用機の前で、チャリンと出てきた十円硬貨一枚に一瞬頭が錯乱したこと。小説家を目指す少年からの手紙や、漂流記の魅力について・・・事実こそ小説である、という徹底した創作姿勢で知られる著者（故　吉村昭氏）が遺した、珠玉のエッセイです。平成１８年に著者は亡くなってしまったため、本書は著者が残した最後の著作物になります。研究家の書いた著書も、公的な文書も決してそのまま参考にせず、一人で現地に赴き、独自の方法により徹底的な調査をする執念。そして、余計なフィクションは加えず、あくまでも「事実こそ小説である」という創作姿勢がこの著者の作品には表れています。「学者の方というのは自分の書斎に籠もりきりで出掛けていかない」と著者が言い切っているように、まさに「百聞は一見にしかず」を著者は身にしみて感じていたんだと思います。例えば松があったといっても、それが赤松なのか黒松なのか、それがわからないと書けない。馬が駆けてゆく場面を書くとしても、巻き上がる土埃が茶色なのか、あるいは砂っぽいのか、実際に駆けていった場所を見ないと書けないではないかというこだわり。だから、わざわざ現地に行くことに意味があるのだそうです。この作家としての執着心は、凄いですよね。そんな「著者のこだわり」が本当かどうかは、物語の背景が事細かに表現されているこの著者の作品を読めばすぐに納得できると思います。本書は「史実というものはそのままがドラマなんだから、史実を忠実に書くだけで小説になってしまうんだよ。」という著者の声がたくさん詰まっているエッセイです。ひとりで旅をするからこそ、隠れた史実が見つけられたんでしょう。著者が書き残した、数々の史実に基づいた小説を書く際の苦労話も読み応えありますが、この著書は、著者が亡くなってから発刊されているので、エッセイで語っている著者の言葉と、途中途中で挿入されている対談形式での著者の言葉が二度三度ダブっているのがかなり残念でした。生前の著者だったらあり得ない編纂です。オススメ度：★★★☆☆（ということで、残念ながら普通かな）【送料無料】ひとり旅

2011年03月04日

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「東京ふつうの喫茶店」を読みました

通も唸る名店から、地元民の憩いの店まで。街歩きの名手（泉麻人氏）が歩いて見つけた、おじさんもホッとくつろげる５６軒を紹介してくれます。お洒落なカフェは増えたけど、昔ながらの「喫茶店」はめっきり減ってしまいましたよね。ぼくのような中年世代としては、かつて「サテン」と呼んでいたお店が妙に落ち着いてしまいます。（ドトールやカフェドクリエなど、レジで注文しその場で商品を受け取るお店は、商品を受け取る前から座る席があるのかないのか毎回ドキドキしてしまいます。たとえ座れたとしても、隣の人が近すぎ（笑））そんな昔ながらの喫茶店を、著者独自の基準で選定し取材したのが本書です。その基準とは、珈琲の味はもちろんのこと、お店の佇まい、店主の人柄や語り口、窓越しに見える町並みやそれとなく聞こえてくるお客の会話などなど。数あるお店の中でも、メニューの料金の端数がすべて５円という喫茶店がありました。なぜだかわかりますか？これは「ご縁」にあやかったもので、勘定を支払うとリボンを結んだ５円玉が一つ、おつりとして返ってくるという仕組みになっているそうです。粋な計らいですねー。ちなみにこのお店は、高円寺にある「珈琲亭　七つ森」。「東京ふつうの」という題名でありながらも、著者が仕事などで立ち寄った地方の素敵なお店もいくつか取り上げています。本書の最後には「気になるお店を見つけたら、定期入れにしのばせよう！」という著者の配慮から、本書で紹介されたお店の所在地や営業時間、定休日などが明記してある小さなカードが添付されているので、気になるお店があれば切り取って持っていると良いかもしれないですね。この著書を読み終わると、珈琲を飲みながら、バターがたっぷり塗ってあるトーストが食べたくなると思いますよ。オススメ度：★★★☆☆（普通かな）【送料無料】東京ふつうの喫茶店

2011年02月09日

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「銭湯の女神」を読みました

切なくも騒々しく、温かい街から戻ってみれば、異和感のなかに生きる私がいた。それは、自分の存在そのものが異物になってしまったようだった。現在の東京を象徴する両極、銭湯とファミリーレストランを周遊する暮らしから芽生えた思いを、著者（星野博美さん）の鋭い観察眼と端正な文体で描いた３９のエッセイです。香港で暮らしたことのある著者は、香港という比較の対象が一つできたことにより、日本において今まで当然だと思っていたことが当然でなくなり、それまで何の疑問も持たなかったことに疑問を抱くようになったそうです。著者が何よりも愛する銭湯とファミリーレストランでの出来事や、フラッと散歩しながらの出来事が、確かに言われてみればの疑問と謎のオンパレードで著者の鋭すぎる指摘がもの凄く新鮮に感じてしまいます。ほとんどが集団行動で、一人でいられないファミリーレストランの客に「あなたは一人になれないの？」と懸念を感じつつ、銭湯の個人主義者達に安堵する。いつまでもだらだらと携帯電話で喋り続ける人に「時間を無駄にするな！」と思いつつ、無駄の動きを見せない、まるで機械仕掛けの人形のように秒刻みで合理的に動く、銭湯のお客に職人芸の潔さを感じる。流行の服や最先端の携帯電話で武装する若者に「お金を大事に使いなさい！」と言いたくなりつつも、不必要な贅沢を一切排除した銭湯の客を見て安心する。単に銭湯好きなだけだろう。と言ったらそれまでです。生まれたままの姿になり、人間の本能として動いている銭湯の人々と比較しているところが面白いんです。またそんな著者の純粋な気持ちや苦悩がとてもよくわかるような気がします。人生全てがプラスとマイナスで成り立っている、と常日頃感じているぼくですが、電子メールや携帯電話といった便利な道具を手にするたびに、膨大な時間と手間を省けるというプラスがある反面で、相手の感情を読み取る能力を基礎としたコミュニケーション能力の欠如というマイナス作用も起きているのではないかと思います。それはまさに著者が断言しているような「鈍感な人達が増えている」現象に直結しているのかな？いつもの当たり前の風景（当たり前と思う様にしている風景）を、ちょっと異様に感じる人がいるということが、同じ日本人として嬉しかったですね。日本とたいして離れているわけでもなく、顔も妙に似ている超多忙都市に暮らす香港人の生活スタイルが「日本とそこまで違うの？」という意外な一面も参考になりますよ。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）銭湯の女神

2011年01月28日

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「おみごと手帖」を読みました

あっちでオバマ、こっちで鳩山政権誕生。でもやっぱり注目はＷＢＣ！事件、映画、演芸、本、スポーツの話題とともに激変の一年を振り返る、中野翠さんの痛快コラムです。本書は、２００８年１１月から２００９年１１月の１年間に著者が感じたこと、考えたことをまとめた「手帳」です。あらためて本書を読んでこの１年間を振り返ってみると、色々ありましたねぇ～。定額給付金から始まり、ＷＢＣ、北朝鮮のミサイル騒動、読み間違えの麻生政権、スマップメンバーの全裸泥酔騒動などなど。そしてこの著者の本を何冊か読んでまったく飽きないのはなぜか？ということにやっと気がつきました。不思議に思うことやムカつくことなど、ぼくと感性が同じなんです。また著者の言い回しが面白い！！　女性ならではの雰囲気を全面に出しながらもかなり鋭い視点で世の中の様々な事を見ています。本書で取り上げている内容も、メディアを騒がせたニュースや映画・本・落語などまさに様々です。その中で”特に”共感を持った話題を３つ程ご紹介します。まず一つ目は「定額給付金」。生活支援の一策として「お金あげるから何か買えよ！」と考案されたこの給付金ですが、給付金とは言いつつも、もともとはこっちが納めた税金じゃないかよ！！（コメントが短くてゴメンナサイ）二つ目は「落語」。落語と言えば「おやじ臭いなぁ～」と今まで感じていたぼくですが、真剣に聞いてみるとこれが面白い！あれだけの長い話を原稿も見ずにスラスラと喋る事にまず驚きます。まさに江戸から伝わる日本の文化ですからね。ＣＤで聞くだけでも面白いのか、ＤＶＤで観た方がより面白いのか、どちらを買うべきか悩んでます。（よくよく考えたら、自分がおやじになってたということです。はい）最後の３つ目「四角問題」。なんだかわかりますか？　ＴＶ番組の画面の隅にタレントたちの顔面リアクション映像が映し出されるあの小さな四角い小窓です。あの割り込み小窓、ウザくないですか？目障りじゃないですか？不快極まりないのについつい見てしまう自分に怒りを感じてしまいます。タレントの反応なんてどうでも良いでしょう・・・感じ方なんて人それぞれなんだから。著者と同じ愚痴でした。(^^;)オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）【送料無料】おみごと手帖

2011年01月11日

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「通販な生活　一生を１ギガで終えないための買い物学」を読みました

一生を１ギガで終えないためのヒガキ流買い物考現学。前書きより「なぜ通販なのか。正しい突っ込みである。よく考えてみれば了解されるとおり、現代人の生活は「生産と消費」で成り立ってきた。しかし同時に、私たちは最近「何かが大きく変わり始めている」ことにうすうす気がついている。ネット上のマーケットでは、ずいぶん前から「売る人と買う人」は分かれていない。もっと端的に言えば、結果や商品そのものではなくプロセスを楽しむ時代になった。」人はなぜ通販にハマるのだろうか！？メールマガジン「ガッキーファイター」好評配信中の著者が、テレビショッピング、ネット通販などを通して世の中を斬りまくります。みなさんはネットショッピングを活用してますか？ぼくはかなり活用してます。でも・・・結果は期待通りだったり、予想通りだったり。やっぱり他店で実物を見てから購入しないと、危険が危ないですね（笑）。一時期お気に入りだったタングステン。この金属はダイヤモンドに次ぐ硬さと言われているので、キズが気になる指輪やネックレスに良いかな？と、まずは店頭で指輪を購入しネックレスはネットで探したら、あったんですよ、適度な大きさのネックレスが。即購入してワクワクしながら届いた商品を開封したら、驚きました(>_

2010年12月16日

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「男の作法」を読みました

男のダンディズムを追求した著者、池波正太郎氏渾身の語りおろしです。本書は、生前の著者が編集部からの問いに答えるという対話形式の構成で、男の生き方や作法の教科書として語りおろされたものです。男というものがどのように生きて行くかという問題は、結局、その人が生きている時代そのものと切っても切れない関わりを持っているとも言えますが、その大前提をもとに、著者は「あくまでも自分が生きた時代の常識」として話すだけであって、今の若い人達に役に立つかどうかはわからないよ。と言っています。はたしてそうでしょうか？昔なじみのバーテンが自分で店を出した。そのお店は女の子がいないから安い。そこのカウンターの止まり木でカクテル二杯も飲んで、軽く食べてサッと帰る。いいですねぇ～。これはまさにぼくが常日頃、自分の中で理想としている飲み方です。その他、蕎麦屋や鮨屋でのエチケットなど、まさに粋なはからいが満載です。つまらないお店に毎日行くよりも、ちょっとでもお金を貯めていい店を一つずつ覚えて行くことが自分の身になるんだよ。う～ん、同感　m(_ _)m自分の人生が一つであると同時に、他人の人生も一つでるということ。だから他人との付き合いにおいては、時間がいかに貴重かということを常に意識していれば、約束の時間に遅れるなんて相手に迷惑をかけることはしないでしょ？って。またまた、同感　m(_ _)m「時は金なり」とも言いますからね。著者の一言一言が、とても味わい深いです。最近はこの方の生き方や著書がかなり注目されているようですが、亡くなってから人気が出るというのも、皮肉なものですね。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）男の作法

2010年12月13日

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「ひとりガサゴソ飲む夜は…」を読みました

熱帯の禁酒国でこっそり手に入れた、悶え苦しむ“秘密のビール”の味とは。南の無人島で食べた、ゼイタクな酒シャブシャブについて。初めて行った国で飲んだ酒に、破壊的ダメージを受けた痛恨の二日酔い。与那国島の巨大蜘蛛のようなヤシガニの絶品カニミソなどなど。一度は飲んでみたい幻のお酒の数々から、ちょっと遠慮しておきたいゲテモノオツマミまで、ありとあらゆる酒と肴を、縦横無尽に書き綴る椎名誠氏の極上エッセイです。人間が住んでいるところ、絶対に何かしらのお酒がある。この鉄よりも固い信念に基づき、著者が訪れた世界各地の食やお酒の文化をまとめたのが本書です。読んでいる最中に、必ずお酒が飲みたくなると思いますよ。その国に沢山ある食材からその国の代表的なお酒が造られているそうですが、考えてみれば当たり前のことだけど、改めて言われると納得してしまいますね。米が主食の日本は醸造酒、農業大国フランスはブドウからワイン、イギリスは大麦からウィスキー、サボテンの国メキシコはテキーラ、サトウキビの西ドイツはラム酒と。さらには日本人だけの確信として、モンゴル料理と思われている羊の焼き肉（ジンギスカン）はモンゴルには存在しないということ。中国には焼き餃子が無いということ。などなど。世界各国のお酒や食についての雑学も所々にサラッと入っているのがまたニクイですね。日本酒と言えば「おしゃく」がつきものですが、著者はこのおしゃくが面倒でしかたないそうです。ぼくもまったく同じ意見。それなりの理由でお猪口も小さくなっているんでしょうけど、接待などで日本酒になってしまったら最後、相手のお猪口に入ってる日本酒の量が気になって落ち着かなくなってしまいます。そして「どうぞどうぞ」と注ぐ・・・「そんなに飲むならもっとデカイコップで飲めよ！！」と心で叫びながらね（笑）。とりあえず、日本酒はおいしいけれど接待の時は非常に面倒くさいお酒だ、という話でした。この著者の本は初めて読みましたが、語り口は村上春樹氏のエッセイを思い出させてくれます。村上春樹氏のエッセイが好きな方には、このエッセイはまさに極上エッセイになるはずです。そして、週末は深夜までひとりガサゴソと飲んでいるぼくにぴったりのエッセイでした。【参考】本書より平均的な人間が１８歳ぐらいから７０代まで生きる中で、毎日ビールの大瓶を２本飲んだとしてその総量を計算すると、２５メートルプール１杯分になるそうです。この量が、かなり多いと驚きましたか？それとも意外に少ないと思いましたか？？オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）ひとりガサゴソ飲む夜は…

2010年11月17日

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「オーケンのめくるめく脱力旅の世界」を読みました

「何？それは一体どんなだ？んー、行けばわかるさ」ひなびた温泉街に伝説のロックミュージシャンを探し、熱海ではスイカ割り、そして中国拳法勢揃いを見ようと一路栃木へ。思わず全身の力が抜ける、旅の日々。はたしてその先に、何があるのか？！行ったらいったい、どうなるのか？！オーケンこと大槻ケンヂ氏の、笑えあり、ちょっとしんみりありのエッセイ集です。本書の内容は、まったくのタイトル通りが半分、残りの半分は脱力しているようなしてないような・・・それがまた味があって面白いのですが。ひなびた温泉にストリップを観に行ったり、失神すると言われている激辛カレーを食べに行ったり、女性と熱海秘宝館に行ったり、さらには男同士でマザー牧場でうたたねをしたりと、脱力系のダラ～ンとした超ゆるゆる旅を詰め込んでいます。この著書を書かれた時の著者は、タイで食べた「マジックマッシュルームオムレツ」が原因でパニック障害となり、数年間に渡るその発作の不安からようやく復活し、平穏な日々を取り戻そうと奮闘している時期だったそうです。でもその病状が本書に出ているかというと、まったく感じませんね。いきなり第二章では酔拳を見に行ってるくらいですから（笑）。オーケンならではのムフフ(^^)と笑える内容で、ゆるゆるとした心地よさによりサクサク読めますよ。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）

2010年11月15日

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「キム兄の人間設計図　相手を不快にさせない正しい間違え方」を読みました

人々の会話や行動の中にしばしば見られる、さまざまなコミュニケーションタブー。これらを決して見逃さず、「考えられへん！」「ありえへん！」の口癖とともに、痛快に一刀両断することで知られるのが、本書の著者であるキム兄こと木村祐一氏。そのキム兄が初めて語った、究極のマナー論は、上司への発言、接客の基本、後輩の育て方など、あらゆるビジネスシーンに即活用可能。この本を読めば、どうすれば相手を不快にさせることなく、スムーズな人間関係を築けるのかが、まるで一枚の設計図を目にしたかのように間違いなくわかります。電話をかけた相手に「今、大丈夫ですか？」と聞かないでおこう協会の副会長を務める著者ですが（ちなみに会長は松本人志さんだそうです）、この著書では、普段キム兄が感じている、人に不快感を与えてしまう５０の出来事を列挙することにより、「大人だったら人の気持ちをもう少し考えてあげて」という思いが入っています。見た目はゴッツイけど、意外と細やかな方なんですね。でも言っていることはかなりうなずけますよ。まさに「人の振り見て我が振り直せ」という感じです。他人の欠点というものは目に入りやすいものの、自分の欠点に気がつくのはなかなか難しいですからね。そんなキム兄も、いちばん身近な「社会」は、やはり家族だと断言しています。キム兄自身も、お父さんの存在にかなり影響を受けたとのことですが・・・子供の人格が形成される上で、一番重要なのはやはり家族であり、親のしつけだとぼくも思います。レストランで騒いでいる子供の親を見ると、「この親にしてこの子あり」と最近つくずく感じますね。甘やかすことが「愛情」と、勘違いしてるんでしょうか？言ってくれれば、ぼくがすぐにひっぱたいてあげるんですけどね（笑）話が逸れましたが、章毎に挿入されている「キム兄の写真館」も、街にある無駄な看板や案内表示などの写真に対するキム兄のツッコミがまたイイ味出してます。この写真館だけでもかなり面白いです。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）キム兄の人間設計図

2010年11月04日

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「やがて哀しき外国語」を読みました

初めてプリンストンを訪れたのは１９８４年の夏だった。Ｆ・スコット・フィッツジェラルドの母校を見ておきたかったからだが、その７年後、今度は大学に滞在することになった。プリンストン大学滞在中、異文化にかこまれて感じた日本、日本人であることの違和感、そして２編の長編小説（「国境の南、太陽の西」「ねじまき鳥クロニクル」）を書きあげることになった。そんなアメリカでの生活を綴った村上春樹氏のエッセイです。１９９１年から約２年半にわたってアメリカ・ニュージャージー州プリンストンに滞在した間、当時の著者の心情や著者の周りで起きた出来事を「心情の記念写真」として綴ったエッセイです。英語小説の翻訳もこなし、海外にもかなりの間住んでいた著者ですが、実は英語を使って人と喋るのがかなり苦手だそうです。ちょっと意外でした。要するに「自分の思っていることを日本語ですらすらと口語的に表現できない人は、外国語をいくら熱心に勉強したところで、その言葉でもやはりうまくは話せないだろう」と言っています。以前掲載した「不実な美女か貞淑な醜女か」の著書、米原万里さんも同じ事を言っていました。まったく無関係なお二人が同じ事を言うとは・・・かなり説得力がありますね。やはり、母国語をきちんと習得するというのは大切な事なんでよ。それから床屋の話。著者が数年間悩みに悩んだ事が、お気に入りの床屋を探すこと。またこれが簡単な悩みのようでかなりの試練。１週間から１０日程度の海外旅行しか経験のないぼくの様な短期旅行者は、今まで想像したこともなかったですね。旅先で髪を切るなんて。おそらく一生行くことのない他国の床屋ですが、そもそも日本人の頭の形というものが欧米人と違うということ、また、他国では日本人の様に器用なカット技術を持っている理容師が少ないそうで。う～ん、もしも床屋やヘアーサロンに行ったら、一体なんと注文すれば良いのだろう。そしてどんな髪型に生まれ変わってしまうのだろう。想像しただけでも恐ろしいですね。(>_

2010年10月12日

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「毎日一人はおもしろい人がいる　よりぬき」を読みました

街ですれ違った人からハリウッドスター、ニュースになった悪者まで、とにかく「人間大好き！」という著者が見た、驚きと感動の人々が続々登場。人気コラムニスト中野翠さんの鋭くも優しい眼を通して綴られた人間観察日記です。映画を見たり、本を読んだり、落語を聞いたりと、色々な事が好きな著者が一番関心のあること、それは何を隠そう人間観察だそうです。人間社会は、滑稽で、奇怪で、謎めいていて、興味深い。確かにそうかもしれませんね。この著書は２１世紀の最初の年でもある２００１年の１年間に、著者が出逢ったり「ん？」と感じた人々について日記形式にまとめています。実はぼく自信も（ちなみに妻も）「自称人間ウォッチャー」です。街を歩く人達をかなりの時間見ていることができます。せかせかと歩く人、季節外れの服装をしている人、見ていて不愉快なカップルやバリバリのカツラな人などなど、見ていて飽きないですね。もしかすると親愛する人が亡くなっていたり、離婚していたり、子供が不治の病だったりと、平然と歩いているように見えても人それぞれ色々な思いを胸にしているんだろうなぁ～、なんて思いながら見てしまう時もありますけど。本書でも取り上げていますが、その人独特の「話すクセ」も妙に気になりますね。「逆に・・・」「逆に・・・」と言いながら、内容的には全然逆になっていない人。「要は・・・」「要は・・・」と言いながら、ちっとも話を要約していない人。「変な話・・・」と言いながら、別に変な話ではない人。（←これはぼくが追加しました）「早い話・・・」と言いながら、特段早くもなっていない人などなど。いますよねぇ～（笑）そんな言葉のクセによって、そのクセが気になりだすと肝心な話の内容が耳から入らなくなってしまいます。こんな言葉のクセがある方、早急に改善しましょうね（笑）。街中の見ず知らずの人物から有名人まで、とにかくこの著者の着眼点はおもしろいです。しかし、観察している対象人物は多種多様なのですが、落語や歌舞伎に関する事柄が多かったので、残念ながらどちらもあまり興味の無いぼくとしては残念ながら★は３つ。オススメ度：★★★☆☆（普通かな。でも、映画や歌舞伎が好きな方にはオススメです。）毎日一人はおもしろい人がいるよりぬき

2010年09月29日

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「日本語八ツ当り」を読みました

新聞記事や広告コピー、役人の文章や若者の言葉などなど、意味不明な言語、大人になりきれない幼児化した物言い、思い上がった低劣卑俗な造語を次々に槍玉にあげ、乱れきった日本語を一刀両断する故江国滋氏の痛快エッセイです。食通ぶってうまいだとか、まずいだとか。そもそも極端にまずいもの以外は、その人個人の好みの問題に帰着する。同じことが言葉についても言えますね。好きな言葉に嫌いな言葉。自分の感性だけでことばの嗜好を述べるのは、自称グルメが自分の好みを振りまわすのと同じで見苦しいだけ・・・（なんか自分の事を言われている様な気がしないでもないですけど・・・（笑））その見苦しいことを承知の上で、著者はこのエッセイを執筆したそうです。でも内容は決して見苦しくないですよ。以前、当時の首相である麻生氏の読み間違いが随分と話題になりましたが、日本という国を動かす政治家とはいえ、昔から読み間違いはあったようですね。国会の場で発言したある政治家の言葉「オイカ予算」。何の予算だろう。と思いませんか？なんてことはないんです「追加予算」のことだったんですよ。読みながら笑ってしまいました。そうかと言えば、笑えない言い間違えもあります。以前このブログにも掲載した「三菱銀行事件」という歴史に残る事件の緊迫した現場にて、ある記者がカメラに向かったこう言ったそうです。「これで現場を終わります。なお、この後も新しい変化があり次第、随時、現場からお伝えします。ご期待下さい」確かに安全地帯にいる視聴者の一人としては、野次馬根性丸出しで見ていたけど、「ご期待下さいって・・・」監禁されている家族の気持ちをお察しすれば、大失言ですよね。日々言葉は進化する。でも文法の原点は変わらないはず。現代語が良いか悪いはかは別としても、きちんとした文章を書こうと思う人には本書をオススメします。と、言いつつも、この著書を読んだ後は言葉使いに気を遣ってしまいました。胃痛が痛い（笑）オススメ度：★★★☆☆（普通かな）

2010年09月15日

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「綿いっぱいの愛を！」を読みました

４０歳を目前に控え、忙しくものほほんと過ごしているオーケン。まあ若い頃はなんだかいろいろあったけど、最近は意外にいーじゃん人生って、なーんて思う毎日を送っている様子。ぶらりぬいぐるみと旅に出かけたり、女の子のいるお店に招待されたり、時にはロリコン殺人犯に怒ったり。勝ち組負け組みなんてくだらないモノサシをぶっ飛ばし、ひたすらロッカー（ぽくない）道をホテホテと突き進む、ププッと笑わせてくれるエッセイです。すっかりバンド活動よりエッセイ執筆収入の方が多くなってしまったオーケンですが、今回もいつもの通りサクサク読めてなかなか良い味を出してるライト・エッセイになっています。ちょっと古い話題になりますが「２０ドル紙幣に隠された９・１１テロの陰謀」と題した話題では、ぼくも実際に作ってみて驚きましたが、２０ドル紙幣をある法則で折り曲げていくと煙の立ち上るツインタワーが現れるのです。いかにも事件後のこじつけっぽい話題ですけど、実際に折ってみるとリアル過ぎてちょっと笑えないですね。しかし、全身入れ墨という有松くんの武勇伝にも笑わせてもらいましたよ。以下、「有」有松くん、「オ」著者　有「いやぁ～、凄い人数でのケンカもありましたよ～」　有「３対４０ぐらいでしたからね、あれはやばかった」　オ「え～！有松ちゃん、そりゃぁ危機一髪だったねー」　有「でもボコボコにしてやったっスよ」　オ「流石だねぇ～、４０人をぶちのめしちゃったんだ」　有「いや、こっちの人数が４０人」　オ「・・・・・・・」こういうのを一般的にはリンチと言うんですけど・・・(-_-)（笑）オススメ度：★★★☆☆（普通かな）綿いっぱいの愛を！

2010年08月30日

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「洋食や」を読みました

日本における洋食やの草分け泰明軒でコック修業ののち、独立して東京・日本橋に“たいめいけん”を持った著者（茂出木心護氏）が、失われゆく下町の「洋食の味」を懸命に残そうと努力した、江戸っ子の心意気で綴るエッセイ集です。はじめてこのお店に連れて行ってもらった時の第一印象は、料理の味云々より「た、たいめいけん？不思議な店名だなぁ～」でした。以来、ぼくの大好きな洋食屋の１軒となり、いつも食べている味の原点を知るような気持ちで読むことができました。泰明軒の暖簾分けということで店名を「たいめいけん」にしたということに納得し、洋食屋なのになぜかメニューにラーメンがある理由にも納得。江戸っ子ならではの気質と料理人としての心意気で、トーストの焼き方一つでも、読みながら食べたくなってきます。○芋の皮は、びんがよごれているとき細かく切って少量の水とまぜてびんの中に入れて動かせば、洗剤を使うより綺麗になる。○リンゴの皮は、こまかく切ってカレー汁の中に入れると、煮立った時は跡形もなく味もいい。と、老舗の料理人ならではの知恵とレシピも満載です。ご自分の死の用意をすかっり済ましているのに、笑いながら来年、再来年の約束をする優しいおやじさんの「心のこもった味」は、今も健在で、１階で目当ての料理に舌鼓を打つも良し、２階でワインでも飲みながら数々の洋食がのった小皿のコースをゆっくりと堪能するも良しです。「たいめいけん」　はこんなお店→http://www.taimeiken.co.jp/オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）洋食や改版

2010年08月18日

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「ありえなくない。」を読みました

新庄は大リーグに挑戦し、ディズニーシーが開園。女の子たちが「ありえない」を連発しはじめる前の２００１年～２００３年、「９・１１」同時多発テロを報じる大見出しの陰にかくれたイマドキ＆薀蓄を集めた泉麻人氏のコラムです本書が書き出された最初の内容は、政局がまだ森政権の頃で、小泉純一郎が売り出し中のネタが続きます。そしてディズニーシーが開園し、９・１１テロが起きる。２００２年初夏のＷ杯サッカーで日本中が浮かれ気分になり、調子に乗ってジャパンブルーのユニホームを買ってしまった人達はどうされてるんだろう？と著者は心配してますが、今年、着る機会があって良かったですよね。背中にプリントされた選手の名前は別として・・・(^^;)本書を読んで痛感することは「時の流れの速さ」です。そんなに昔の話ではないのに、文章にするととても昔に感じてしまうのが不思議ですね。しかし、ちょっと古臭い話題でも何故か新鮮に感じてしまうのは、やはり著者の時代を先読みした鋭い感覚と面白い文章構成によるものだと思います。カメラで撮った写真を、スピード現像のお店に出す。数十分後に出来上がった写真を取りに行った際、店員の「こちらでよろしいですか？」という声と共に出される一番最初の写真。妙にドキドキしましたよね。いったいどの写真が一番上にきてるんだって。なんだか懐かしくなるような話題が満載ですよ(^^;)オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）ありえなくない。

2010年08月09日

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「カツラーの秘密」を読みました

「薄くなってきた。ちょっと相談してみるか」軽い気持ちから某大手ヘアケア会社のフリーダイアルに電話を掛けたのが運のツキ。口コミがありえない業界で、独特のセールス術は日本人心理を巧みに操る。そして草野球も温泉もダメ、新幹線も決死の覚悟と想像を絶する苦闘が始まった。１５年に及ぶカツラ体験をコミカルながらもシリアスに綴った本邦初のカミングアウト・エッセイ。まずはじめに、この著書を電車内で読む場合は注意して下さい。理由その１：隣の人にチラッと覗かれたたら最後、あれ？この人もしかしたらカツラ？と疑われてしまうから。理由その２（この理由が一番重要です）：読みながら笑ってしまうから。カツラの場合、情報なし、口コミなし、各社のサンプルを比較する場もなしと、客観的な商品情報や記事がほとんどないという閉鎖的な環境が、カツラーの悩みをさらに深刻にしているというのも事実のようです。さらに追い打ちをかけるように、世の中のカツラーに対する差別意識や蔑視がまさに野放し状態。そんな中で、もっともっとカツラの話題がごく自然に語られるムードを高めたい。カツラーが胸を張って生きられる日本にしたい。という熱い思いを頭に、いや胸に、カツラを１２年も着用しつづけた著者は自ら経験したカツラの秘密を伝えてくれます。野球場、新幹線、飛行場、温泉、歯医者、はてはベットの中まで、いたるところに転がっているカツラーゆえの受難や当事者にしか知り得ない秘密のベールの内側は、想像以上の苦労と悲劇が伴っていますが、本人が大まじめなだけに第三者としては思わず笑ってしまいます。カツラの人もカツラではない人も、著者の面白すぎる冷静な観察眼にハゲまされることでしょう。特にカツラーを目指している方は、カツラに関する生きた情報を交換できる一つの場として、著者のＨＰを覗いてみてはいかがでしょうかhttp://www.nobuya.co.jp/【参考】アデランスが２００５年に全国の２０～３０代の女性１００人に「恋人がカツラをつけていたらどう思いますか」と尋ねたところ、最も多かったのは「似合っていれば良い」（３４％）だったそうです。著者曰く「もし女性が恋人のカツラに気付き、カツラが嫌でないなら、女性の方からそれを恋人に伝えて欲しい。そうすれば、彼はどんなにほっとすることでしょう」とのこと。ちなみにぼくの友人は剛毛のため、よく「カツラ？」と聞かれます（笑）。カツラ風の毛を持った男も中にはいますよ、ということでご注意を。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）カツラーの秘密

2010年07月05日

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「縁起のいい客」を読みました

彼（吉村昭氏）が飲食店に入ると、自然と他のお客の入りも良くなることから、店主に「縁起がいい客」と喜ばれたという。けれどどうしたわけか、それらの店はいつのまにか閉店し消えているのだ。はたして自分は「縁起のいい客」だったのだろうか？貧乏神だったのではないのだろうか。それがこのタイトルの意味です。大御所のエッセイというのは、落ち着きがあり、人生の経験の豊富さもさることながら、その重ささえも伝わってくるような気がします。著者が生まれた戦前当時は「人生５０年」といわれていたそうで、子供の死亡率も、なんと２５パーセントだったそうです。３人の姉妹を早々に亡くし、父も母もどちらも５３歳で亡くなった。長生きが当たり前の世の中で、そんな時代の話を聞くと、なんだか切なくなってきますね。著者が昔の事件などを題材にしたノンフィクションを書く際には、事件があったそ日の天候は？そこを歩くと山は右に見えるのか、左に見えるのか？周りにはどんな花が咲いていたのか？等々、普通の人にしてみれば気が遠くなるような緻密な調査を行い書き上げているそうです。日常生活での出来事から、小説を書くための取材旅行で見た物、出会った人々などを、これまたまるで小説の様に描いています。やはりエッセイとはいえ、妥協は許さなかったのでしょう。まさに「味」のあるエッセイですよ。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）縁起のいい客

2010年06月10日

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「「お約束」考現学」を読みました

クラス会で親しく話しかけてくる相手の名をなんとか思い出す方法など、世間の微妙な法則パターン３０項目を解いた、泉麻人氏によるリラックス・エッセイです。憲法や条例で決まっているわけではないのに、いつしか暗黙の了解でそうなっている。そんな一種の風習が、世間にはいろいろと存在していますよね。たとえば、エスカレーターに乗るとき、関東ではいつの頃からか”右が追い越し車線”になっている。そういった、ぼく達が無意識に取り交わしている「お約束事」について考察し、検証しています。身近な「お約束事」で言えば、夏の到来を感じさせること。それは、中華料理屋に提示される張り紙「冷し中華、はじめました」。いつの頃からか、冷し中華に必ず付く文言である「～はじめました」が、著者曰く、事後報告の文言ではないか、ということで不満だそうです（笑）。「冷し中華、はじめそうです」「冷し中華、はじまりつつあります」そんな文言でも良いのではないかと・・・・・（実際に提示されたら、ちょっとオモシロイ）そんな微妙な３０の法則について、著者独特の考え方としてまとめてくれていますが、そのまとめ方が、またまた微妙かな？（笑）オススメ度：★★★☆☆（普通かな）「お約束」考現学

2010年05月28日

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「この世には二種類の人間がいる」を読みました

あなた自身も、隣のあの人にも、上司やライバルにも、必ず「思い当たるフシ」があるはず！思わず膝を打つ、画期的キメツケ人間二分法。５０の項目で人間の「根本」に迫る中野翠の傑作エッセイです。ここ数年、「勝ち組」「負け組」という言葉が流行ってますが、その基準はお金のみ。「勝ち組」だろうが「負け組」だろうが余計なお世話ですよね。そもそもがそんな単純に分類できるはずもないはずの人間分類法に対する著者の不満が、このエッセーを書かせたそうです。人間社会における二種類の「キメツケ」分類は、文章に書かれると「なるほどねぇ～」と簡単に納得してしまいますが、５０項目も思いつくだけでもすごいと思いますよ。しかもそれぞれにおいて二種類の人間を面白おかしく、時には辛口だったり、時には女性らしくおっとりとした語り口で分類しているところがとても良いですね。たとえば「とっとく」と言う人と「捨てろ」と言う人の分類では、年齢に関係なく「それはオタカラだ」というのはたいていが男、そんなオタカラを「ガラクタだ」というのはだいたい女。ぼくは以前、アメ車キチガイだったんですよ。自分が乗っている車種と同じミニカーや車のマークが入ったキーホルダーなどなど、なかなか日本では手に入れることができなくて、アメ車仲間の友人から貰ったり、ｅ－bayで探したり、海外旅行に行ったら必死になって探し回ったりして手に入れた物ばかりだったので、持ってる物は全て「オタカラ」でした。でも妻に言わせれば「ただのキーホルダー」だったり「ただのミニカー」だったりと・・・ほほ～ん、な～るほどねぇ～。なんだか我が家の事を言われているみたいだ。「踊る阿保」と「見る阿保」篇では、人間は誰しも不覚にも生まれて不覚にも死んで行く、それだけで十分踊らされているんじゃないかと著者は言っています。うまいこと言いますよね。そう言えば、今流行っている「葬式は要らない」という著書がありますが、その著書に対抗してか「葬式は必要！」という著書も発売されました。葬式が要ると思うか思わないかは、それこそ生前の本人とその身内が話し合い、判断すれば良い事であり、それこそ余計なお世話の様な気がします。二つの著書を併せて「葬式はどっちでも良い」とした方が良かったのでは。ちょっと話が逸れましたが・・・オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）この世には二種類の人間がいる

2010年05月24日

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「使いみちのない風景」を読みました

僕らの中に残っているいくつかの鮮烈な風景、でもそれらの風景の使いみちを僕らは知らない。無数の旅を重ねてきた作家（村上春樹氏）と写真家（稲越功一氏）が紡ぐ、失われた風景の束の間の記憶を綴ったフォトエッセイです。旅先で見た心に残る風景、でもその風景は「使いみちのない風景」。使いみちはないけれど、その一瞬の風景と同じ風景は二度と見ることは出来ない、と思いませんか？（それが何か？と言われると困ってしまうのですが）本書はエッセイというより、どちらかと言えばポエムに近い内容構成になっています。稲越氏が撮影した異国の風景と、その風景にマッチした村上氏の言葉がなんとも言えず良い感じです。プロの写真家が撮る風景というのは、やっぱり違いますね。さらには村上氏の作品である「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」や「ノルウェイの森」などを書くきっかけとなった旅先での思いや出来事などにも触れられているので、その著書を読んだ方には特にオススメです。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）使いみちのない風景

2010年05月18日

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「百人一酒」を読みました

贅沢なお酒から一品１００円の居酒屋、コーヒー焼酎に象鼻杯。３歳で味を覚え、ついにお店を手伝うに至った著者（俵万智さん）の爽快痛飲エッセイです。タイトルに「酒」と付いている通り、著者がおいしいお酒、楽しく飲めるお酒を求めて、好奇心のおもむくままに飲み歩いた日々を綴ったエッセイです。「サラダ記念日」（読んだことないけど）の著者である、ということしかしらなかったこの方が、ここまでお酒を知り尽くしているとは知りませんでしたね。なんとも言えない語り口で紹介するお酒や酒の肴についても読みやすく、お酒を飲みたくなってはくるし、お店へ飲みに行きたくもなってきます。本書を読んで、「なんだかお酒が飲みたくなってきたなぁ～」と思ってもらえることが、著者の本望だそうなので、まさにその通りになってしまいました（笑）。２頁毎に簡潔にまとめられたた内容、そして登場するお店の所在地も明記され、さらには飲んだお酒の酒造方法もちょっとだけ書き加えているところがまたニクイですね。まさに「酒と酒飲みを愛する方」への著書です。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）百人一酒

2010年05月13日

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「男の隠れ家を持ってみた」を読みました

家庭に不満はない、仕事もまあ順調である。でも、このままでいいのだろうか。男性の多くが感じるだろう漠然とした不安をぼくも抱いていた。そうだ、知らない町で、自分を見つめ直してみよう。馴染みのない駅で降り、あるアパートの一室を“男の隠れ家”として借りることにした。そして仕事場と自宅、隠れ家を行き来する生活が始まった・・・笑えてしみじみ、北尾トロ氏のエッセイです。男というものは何故か「基地」だとか「隠れ家」に惹かれてしまうんですよね。著者もきっと幼い頃からの憧れを実現したかったんだと思いますが、「北尾トロ」という名前を隠し、あくまでも本名を名乗る一人の男として、知らない土地に「隠れ家」を借りることにより新たな人間関係や入ったことのないお店など、今まで知らなかった事が発見できるのではないか、そして何かが変わるのではないか？そんな期待に胸を膨らませ、いざ実践してみたのですが・・・東京の北側に借りた木造モルタルの２階建てアパート「わかば荘」。謎の隣の住人に接近しようとしたり、飲み屋に行って常連客の輪の中に入ろうと無理をすればするほど、空回り。結局最後まで大事件は起きず、そこには普段と変わらない毎日だけが残ります。でもきっと、無駄ではない「何か」が残ったんでしょうね。赤の他人へ積極的に接しようと一生懸命な著者ですが、北尾トロという名前を隠していることや、自宅で待っている妻や娘に対する罪悪感など、色々な思いが交差したちょっぴりせつない物語になっています。壮大なタイトルとは裏腹に、ちょっとセンチメンタルで予想外の結末になっているけれど、著者に限らず、ぼくを含めたほとんどの男性諸氏は、同じ状況、同じ結末になるんじゃないのかなぁ～、と思いましたが。どうでしょう。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）男の隠れ家を持ってみた

2010年04月30日

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「村上朝日堂はいほー!」を読みました

せっかちで気が短い。占いには興味がない。最近の映画の邦題はよくないと思う。ときどき無性にビーフ・ステーキが食べたくなる。双子の恋人が欲しい。フィッツジェラルドとチャンドラーとカポーティが好き。この中で三つ以上思い当たる方は、誰でも村上ワールドの仲間です。はいほー！と軽やかに生きるあなたに贈る、村上春樹のエッセンスが満載のエッセイです。この著書に収められているエッセイは、１９８３年から約５年間にわたって書かれた内容のものなので、著者の年齢としては３４歳から３９歳頃の出来事でしょうか。ＪＲが国鉄と書かれていたりと、少々昔感が漂っていますが、いつも通りのしっかりとした村上ワールドは昔から健在なんですね。著者独特の語り口で何気なく突いている街や当時の話題により、著者自身の考え方がとても良くわかり、自分自身のスタンスをしっかり持っている人なんだなぁ、と関心してしまいます。今、売れに売れている著者ですが、そういう人がエッセイを書くとどんな内容になり、どういう視点で物事を捉えているのか、よくわかると思いますよ。村上朝日道シリーズとしては、めずらしく著者の切り口がトゲトゲしている様に感じるのは、きっと著者が若かった証拠だと思います。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）

2010年04月22日

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「ぢぞうはみんな知っている」と「パンチパーマの猫」を読みました

税金の支払いに苦労しつつ、母と弟の新居のローンと母の小遣いに月８０万円が消えてゆく。なのにまったく治まらない母の物欲。おまけにその家に私の部屋はなかった。もはや天涯孤独と思いたい。だけど・・・。自分を美人と思い込んでいる不思議な知人に「我が身のことは人に問え」、激しく変貌したコンビニ店員を見て「生まれながらの長老なし」、家族からの愛が欲しいと涙目で訴えるおじさんは「ごまめの歯ぎしり」。おかしな人や心に染みる出来事に出会って、古来からのことわざをかみ締める、どちらも群ようこさんの爆笑爽快日常エッセイ集です。相変わらず面白いです。女性の視点から捉えたエピソードとはいえ、この著者の物事の捉え方や考え方に共感してしまいます。ピリッとスパイスが効いた大人の女性ならではの感覚というのも良いですね。ほのぼのとした笑いあり、ちょっと切ないエピソードありで、男が読んでも何故が納得してしまう事が多いのです。そして「パンチパーマの猫」では、各編毎に当てはめた四字熟語が内容と絶妙にマッチしています。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）ぢぞうはみんな知っているパンチパーマの猫

2010年04月16日

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「禁じられた死体の世界　東京大学・解剖学教室でぼくが出会ったもの」を読みました

人は死体を見た瞬間から変わるのか？現代人が眼をそむけてきたグロテスク、あるいはタブーと呼ばれる世界を、リアルに描き出す異才、布施英利氏のエッセイです。毎日毎日、沢山の方々が不慮の事故などで亡くなっているはずなのに、今まで皆さんは死体というものを見たことがありますか？お葬式や戦争は別としても、おそらくほとんどの方が「見たことは無い」のではないかと思います。それは何故なのでしょうか？この著書はそんな素朴な疑問に答えてくれます。そして「人間の死とはいったい何なのか」「どの様な状況になったら人間は死んだと言えるのか」という究極の思想に最後はたどり着きます。読みながら、ぼくもかなり考えさせられました。数頁毎に挿入されている死体に関する写真も、少々グロテスクではありますが一見の価値はあると思いますよ。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）

2010年04月06日

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「どっからでもかかって来い！　売文生活日記」を読みました

みずほ銀行も郵便局もペリカン便も不動産屋もネット古書店も、思考停止のオマエらとはとことん闘うよ! 面白おかしく、そして熱い日垣隆氏の日記を1冊にまとめたものです。本書は「ＷｉＬＬ」２００５年から２００６年７月号までの連載に手を加えて単行本化したもので、著者の周辺に起きる売文的日常を×月×日（原文のママ）という風に日記形式でまとめています。著者の持論「喧嘩を売り買いする以上は必勝のみ。必勝の要締は相手が認めざるを得ない根拠に基づいて反論すること、そして一つだけ逃げ道を用意してあげること」そんな著者であるがために、根拠の無いことは大嫌いで許せないのです。そして完璧な根拠があるが故に、みずほ銀行はじめ、店舗や個人名も全て実名で表記し、攻撃しています。そんな内容に対して、もしも裁判を起こされたとしたら・・・大丈夫なんです、ちゃーんとウン千万円もの裁判用資金も確保してあるそうですので。まったくスキがないですね。我が社でもお世話になっている、ある大学教授の実名がバッチリと出てきた時には流石にドキっとしましたけど、ぼくには関係ないからまぁいいか(^^;)日記の日付が不明なので、きっと毎日の出来事ではないとは思いますけど、これだけ色々な事に対してしょっちゅう怒っていると疲れないのかな？と少々引いてしまいました。でも怒っている内容はまったくもって正論ばかりなんですけどね。「新書なら一行も飛ばさずにじっくり読んでも３０分以内に読み終える」と自ら豪語するだけあって、ありとあらゆるジャンルに詳しい著者は、ぼくの好きな著者の一人なのですが、今回は自分の豊富な知識にちょっと酔っちゃってるかな？という部分もかなり見受けられたので評価は３つ星。【参考】本書より３億円事件の”教訓”として、世に浸透することになった給与の銀行振り込。しかし、銀行には莫大な手数料と個人家計情報を与えることになり、また、父親の家庭での地位を急落させる一因となった。オススメ度：★★★☆☆（普通かな）どっからでもかかって来い！

2010年04月02日

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「おじさまの法則」を読みました

巷のファッションやトレンドを独特の視点で掬いあげてきた著者（泉麻人氏）が、身近に観察するいまどきのおじさまの生態とは？病気じまん、少年がえり、サッカー通きどりなどなど。そんな症状に思いあたるあなたは、もう立派な“おじさま”。「ＢＲＩＯ」誌上で大好評を博した連載エッセイをオリジナル文庫化。おじさまもおじさま予備軍もおじさまを知りたい女性もみんな必読のエッセイです。是非、タイトル通りの４０代、５０代の方々に読んでもらいたい一冊です。「あ～っ！まさに自分のことだ（笑）」というような内容が満載で、そこには若干ニタニタしながら読んでいる「おじさまの法則」にすっかり当てはまってしまう自分がいて、それが面白く、またせつないのです(T_T)。タリーズコーヒーに行って「ブレンド下さい！」なんて注文してないですか？（ちなみにぼくは、カップの大きさの表現であるＴやＧに未だに違和感を覚えます）スターバックスの、あの穴の空いた蓋で飲むのに抵抗を感じてないですか？（ちなみにぼくは、あの細い穴からアツアツのコーヒーが出てくるのが恐怖です）宴席で、健康診断の話題で盛り上がってないですか？（ちなみにぼくの会社のパートさん、視力検査で「Ｃ」を「シー」と答えた人がいます。普通は「右」と答えますよね。笑いをこらえるのが精一杯で、呼吸困難になるところでした。ちょっと本書とは関係ないですけど（笑））オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）

2010年03月26日

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「キム兄の食日記　絶品料理、いただきました。」を読みました

食通芸人として知られる「キム兄」こと木村祐一氏が綴った、等身大の食生活。実際に足を運んだ名店、６４店舗を一挙紹介。絶品料理はもちろんのこと、その幅広い交友関係までもうかがい知れる、痛快極上グルメガイドの登場です。京都・大阪・神戸・東京・グアムなど様々な場所・国へ行き、洋食、和食、レストランから居酒屋まで、実際に行ったお店のジャンルと場所の多さに驚きます。流石、芸能人。そして食通キム兄が誰と、どんなお店で食事をしているのかといったプライベートな部分も覗けますよ。各お店毎に「店名」「所在地」「ＨＰアドレス」を掲載しているので、読んでそのお店に行きたくなった人には便利です。経験から生み出された確かな腕前に加え、日々新しい挑戦を重ねている料理人のいるお店というのは、やっぱり良いですね。そんなお店をお客の目線から評価し書き綴る際の「関西弁」というのは、嫌みがなくて良いと思います。読んでいる自分も、だんだんと読み方が関西弁風になってくるのが不思議な魔力です（笑）。ぼくが大阪出張の際に行き損ねたお店「だるま」もしっかり掲載されていたので、やっぱ無理をしてでも行けば良かった、とまだ知らぬ味を想像し、後悔してしまいました。同じ出張組で「だるま」に行くことができたぼくの同僚は、相当美味しかったらしく、ニコニコ顔でホテルに帰ってきましたが・・・せめて味のイメージだけでも、と帰りの新大阪で「なにわ名物　串カツソース」を買いました。それから居酒屋感覚でそば屋を利用する「そば屋酒」（キム兄命名）。実はぼくも昔からそば屋で呑むのが大好き。チェーン店の居酒屋などで呑むよりかは満足度が違います。もちろん蕎麦の美味しいお店に限りますが。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）キム兄の食日記

2010年03月20日

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「うずまき猫のみつけかた」を読みました

１９９３年～９５年、アメリカ・ケンブリッジに住み、ボストン・マラソンを走り、愛車を盗まれ、通販で猫の時計を買い、小説を書く日々を綴った村上春樹氏のロード・エッセイです。著者が１９９３年から９５年にかけてケンブリッジに滞在している間、外国生活で感じた色々な事や外国だから起こった？出来事をまとめたエッセイです。相変わらず、著者の「他人とはちょっと違う視点」から見た街や出来事というのは何度読んでも良いものですね。本書の全体的なイメージとしては、村上朝日道シリーズの「お洒落外国バージョン」といったところでしょうか。適度な間隔で挿入されている、水丸氏のアート絵と著者の奥様が撮った素敵な写真が、まったりした文章にとても良くマッチしています。ゆっくり、ゆったり、肩の力を抜いて読むには最適です。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）うずまき猫のみつけかた

2010年03月18日

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「東京自転車日記」を読みました

川沿いに延びる、気持ちよさそうなサイクリングロードに惹かれて買ったマウンテンバイク。しかし、颯爽と銀輪を駆って風とひとつに・・・なるわけがなく、買物カゴをくっつけて車輪の向くまま行きあたりばったり。「ヤキイモ屋の基地」を発見したり、あるときはプレミアムモノの蝶を採集したり、ちょっと目を離したすきに姿を変えていく町の一瞬の風景を映した泉麻人氏の平成東京風土記です。この本を書くためにサイクリングを選んだのか、サイクリングを選んだから感性豊かな内容が書けたのかは定かではないですが、同じ自転車乗りのぼくとしては、著者と同じ感性で季節や風景を肌で感じながら自転車に乗れたらなぁ、という気持ちになりました。本書は、少々昔の話になりますが、当時の阿佐ヶ谷沿線や都内各所において「へぇ～、こんな所にそんなものがあったんだ！」なんて微妙に感動しながら読めますよ。ちょっと変わった目線で、謎のスポットに興味を惹かれる著者ですが、一昔前の東京を知るには良いのかも。今はすっかりサイクリングブームになりましたけど、有酸素運動と称して必死に走るだけではなく、時にはこの著者の様に早くもなく、遅くもないスピードで通り過ぎていく街をゆったり眺めてみるのも良いのかもしれませんね。それから間違っても、著者の愛車であるマウンテンバイクを見て笑ってはいけません（笑）。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）

2010年03月11日

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「知的経験のすすめ　何んでも逆説にして考えよ」を読みました

「頭だけで生きようとするからこの凝視の地獄は避けられないのです。手と足を忘れています。それを使うことです。スポーツでもいい。畑仕事でもいい。それを使うことです」著者・開高健氏が自身の豊富な経験をもとに綴った、珠玉の言葉の数々です。本書は戦中・戦後を経験した著者の生い立ちに絡めて、その当時に著者が感じたことをまとめた内容になっていますが、結局最後まで、何を逆説に考えれば良いのかわからなかった、というのが正直な感想です。ただ、生きることだけで精一杯だったという悲惨な戦時中の体験を得た著者の、言葉の重みは感じましたが。タイトルを意識してかしこまって読むというよりかは、知り合いのおじさんと、バーでグラスを交しながら昔話を聞くような感覚で読むくらいが良いのかもしれません。気の利いた感想が書けなくてゴメンナちゃい（笑）。オススメ度：★★☆☆☆（あまりオススメしません））

2010年03月09日

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「不実な美女か貞淑な醜女か」を読みました

同時通訳者の頭の中って、一体どうなっているんだろう？異文化の摩擦点である同時通訳の現場は緊張に次ぐ緊張の連続で、思わぬ事態が発生しても瞬時にピンチを切り抜け、とっさの機転をきかせる。日本のロシア語通訳では史上最強と謳われる著者（故、米原万里氏）が、失敗談、珍談・奇談を交えつつ同時通訳の内幕を初公開。「通訳」を徹底的に分析し、言語そのものの本質にも迫る、爆笑の大研究です。不思議なタイトルですよね。このタイトルは「訳」を４人のタイプの女性にたとえたことからきています。原文に忠実な「貞淑」。訳文として整っているのが「美女」。つまり「貞淑な美女」が存在するのかという通訳の永遠のテーマに迫った内容なんです。異なる言語を間髪入れず別の言葉に置き換える神業。「通訳と乞食は３日やったらやめられない」というそうですが、次々と異なる科目の試験を一夜漬けでこなしていくような日々の努力と、ロシア語通訳では史上最強と謳われる著者の技量、そしてあとがきで著者がお詫びしているように、ロシア語はじめ各言語の通訳者の方々が経験した「失敗談」など、知的ながらもスリルと緊張が交差するあの通訳ブースの中が公開されます。異なる歴史や文化を持った国同士の通訳というものが、これほど大変で神経を使う仕事だったのかとは、知りませんでした。たとえば常識の違い。日本では当然と思っていることが相手の国ではまったく知られていないことだったり、相手が常識と思っていることが日本にとっては想像もつかないことであったりと、そういうときに意思疎通に齟齬が生じるそうです。著者の妹さんは非常に色が黒い、いわゆる「地黒」なんだそうですが、出入りのお米屋さんとの会話、「いやぁ、よく日に焼けられましたねぇ。海にでも行かれたんですか？」「いいえ、ジなんです。私」「ああ、ジねぇ。あれは辛いですからねぇ。まぁ、お大事に」日本人同士でさえこんな会話が交わされるんですから。ぼくたちにとっての日本語（母語）も、生まれてこのかた最初に身につけた言葉であり日本人の基本的な言語ですが、日本語が下手な人は、外国語を身につけられるけれども、その日本語の下手さ加減よりもさらに下手にしか身につかないと著者は忠告しています。な～るほど～。「我が家は３歳から英語を習わせて、家の中では英語でしか会話させないざますよ」という方、要注意です。まずはきちんとした日本語を習得させましょうね。読売文学賞受賞作。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）不実な美女か貞淑な醜女か

2010年02月25日

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「わたしの普段着」を読みました

かつて電車で目にした、席を譲られた老紳士の優美な仕種。我が家に家出娘を迎えに来た父親が、農村の事情を語る言葉の奥深さ。結核による死を覚悟した頃を思えば感じる、今この時に生きる幸せ。気取らず、気負わず、殊更には憂いを唱えず。いつも心に普段着を着て、本当に知った人生の滋味だけを悠悠閑閑と綴ってゆく、故吉村昭氏の穏やかな声が聞こえるエッセイ集です。重鎮作家がエッセイを書くと、こんなに素敵なエッセイになるんですね。何気ない日常風景や体験でも、それを目にし、自分の知識と経験に照らし合わせ、そして文章にすることにより何とも言えない物語になってしまうのが不思議です。著者の生涯を振り返り、思い出深い出来事をまとめたエッセイですが、まるで自分自身の死を予知して書かれたようにも思えてきます。「史実そのものがドラマである」という理念に基づき、決してフィクションを交えなかったノンフィクション作家としての著者のこだわりにも感銘しました。太宰治賞から始まり、数々の賞を受賞した著者ですが、もっともっとノンフィクション作品を書き続けて欲しかったです。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）わたしの普段着

2010年02月18日

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「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」を読みました

裸で家事をする主婦は正しいのか？あなたの空中浮遊の夢はどのタイプ？読者から多数の反響を呼んだ「通信」シリーズを筆頭に、「真昼の回転鮨にしかけられた恐怖の落とし穴」「宇宙人には知られたくない言葉」から、苦情の手紙の書き方、学校の体罰の問題まで、世紀末の日本を綴った村上春樹氏のエッセイを水丸画伯のイラストがサポートする、名コンビ「村上朝日堂」シリーズです。この著書は、１９９５年の１１月から１年１ヶ月の間、週刊朝日に掲載されたエッセイで、村上朝日堂シリーズの最終版となります。「村上朝日堂」、「村上朝日堂の逆襲」とこの本書を読み、古さを感じさせない話題性、物事を見る視点の鋭さ表現方法はまさに格別。そして話題性の多さにはつくずく関心してしまいます。しかも、どの話を読んでもなんだかミョーに同感し、納得してしまうのはぼくが単に村上ファンなだけではないような気がします。後日付記には、書かれた内容に対しての読者からの反響を掲載し、またその反響に対する著者の率直な意見（この意見は週刊誌には掲載されていないそうですが）を掲載しており、この部分だけでもかなり面白いです。少々残念なことと言えば、今まで癒し系だった水丸氏の絵が、ちょっとばかりオシャレ系になってしまったこですかね。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）村上朝日堂はいかにして鍛えられたか

2010年02月16日

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「オヤジの穴」を読みました

オヤジコラムニスト・泉麻人氏とマンガ家・松苗あけみ氏の中年コンビが、若者で賑わう話題のスポットに６年間体当たりの取材を敢行し、そして話題になっていたあの場所、あの人達は今どうなったのかを追跡取材するエッセイです。今回は「トレンドスポットをオヤジの目線で眺めてくる」という、またまた面白い企画なのですが、トレンドといってもあくまでの当時話題になっていた六本木ヒルズや秋葉原のメイドカフェなどとなりますので、話題性としては若干古くなりますが、著者のコッテコテのオヤジ目線で当時話題のスポットをオモシロおかしく見事に分析しています。そして、今から約１０年以上前に季刊誌に連載されていたエッセイ単行本化するにあたり、当時取材対象としたスポットがあれからどのように変わっているのか、まだ賑わっているのかどうか？という現況を編集者がしっかりと付記しているのもなかなかニクいフォローです。訪問先の状況を伝えるために挿入している、松苗あけみ氏の少女漫画的な４コマ絵は、ちょっと邪魔でしたが。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）オヤジの穴

2010年02月10日

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「衝動買い日記」を読みました

毛沢東・スターリン握手像にはじまり、腹筋マシーン、時計、財布、トランクス、猫の家からご存じ挿絵本まで。女性にはわかってもらえない、男の衝動買い心理をも絶妙に描写した鹿島茂氏のエッセイです。パラオの切手や毛沢東・スターリン握手像など、衝動買いしている物自体にあまり魅力を感じなかったからなのか、文章そのものがぼくのツボに入らなかったからなのか、抱腹エッセイと書かれているわりには面白くありませんでした。物の価値観なんて人それぞれですしね。また、腹筋マシーンやごろねスコープといった買い物も、商品名からしてどんなものなのか想像できてしまうので、できれば商品名だけではなんだかわからない様な物を衝動買いして欲しかったです。だからちょっと残念。ということで、これにておしまい（笑）。オススメ度：★★☆☆☆（あまりオススメしません））衝動買い日記

2010年02月08日

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「東京酒場漂流記」を読みました

異色のフォーク・シンガーなぎら健壱氏が、達意の文章で綴るおかしくもかなしい酒場さすらい記。人生マイナス酒イコールゼロと喝破する著者は、無類の呑ん兵衛酒場好き、巡り歩いた飲み屋は優に百軒を越える。が、ここに書かれているのは酒場案内ではない。暮れゆく街に佇む飲み屋。そこに集まるさまざまな人達との無言の会話、酒、肴…オロカナ自己弁護と抱腹絶倒のエピソードの数々。いざ、なぎらワールドへ。元祖、粋な江戸っ子、なぎらさんの飲み歩きエッセイです。ただ、この著書を執筆するために飲み屋を探索したのではなく、たまたま昔から顔を出して「良いお店だなぁ」と思っていたお店を紹介したそうです。お店の人との何気ない会話で、そのお店の歴史や料理・お酒のルーツを知ることができますが、そんなことはどうでもよくなってしまうくらい、なぎらさんて面白い人ですよ。必ず帽子をかぶった髭メガネのなぎらさんも登場している、栗山さんのイラストも味があるというか、店内の雰囲気を醸し出しているというか。※栗山さん：なぎらさんの飲み友達今日も自転車をキコキコとこぎながら、行きつけの酒場の暖簾をくぐっていくなぎらさんを想像してしまいます。芸能人の料理が美味しいという感想はほとんど信用しないぼくですが、粋ななぎらさんをちょっとばかり信じて、この著書に取り上げられている神田・須田町の「まつや」に行ってみました。所詮はお蕎麦屋さんなんだから、仕事が終わって直ぐに行けばいいでしょう、という考えが実に甘かったと言うことがわかるのは、お店の暖簾をくぐった時。ま、ま、満席！　しかももの凄い活気！！混むお店ならではのルールとして、向かって右側の暖簾が入り口、左側の暖簾が出口専用となっていたのですが、何も知らないぼくたちは、堂々と左側から店内に入ってしまいました。（その後、右側から入り直しましたが・・・）３人で行って、３人の感想は同じ。お店の貫禄、蕎麦の味、店員の動き、酒のつまみ、どれをとってもパーフェクト。なぎらさんを信じたぼくの目に、狂いはなかったようです。ただし、この著書をガイドブックとして活用してほしく無い著者の思いと同じになりますが、あくまでも「まつや」については著者とぼくの味覚が同じであったというだけであって、他の人が行っても必ず満足するかどうかはわかりませんよ。そしてもし、行きたくなってしまった人がいても行くのはやめてください。だって・・・もっと混んじゃうじゃないですか（笑）。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）東京酒場漂流記

2010年02月06日

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「東京ディープな宿」を読みました

ここは本当に２１世紀の東京か？そんな疑問と違和感を抱かせる宿と町並みもまだ東京にはしぶとく残っている。一風変わっているけれど、なんだか懐かしくて安らぎを覚える宿に泊まり、その近所を気の向くままにそぞろ歩いて綴った泉麻人氏のエッセイです。まさに「旅」と「散歩」の境界線にあるような東京の街を歩き、意外な場所にある不思議な宿に泊まってみる。もちろん宿だけでなく宿近辺の歴史や情景についても詳細にリサーチしているのが、流石に著者らしいです。いつも何気なく歩いている街に、本書で紹介されているディープな宿が存在していることに驚き、さらに知らなかったその街の歴史に驚きます。また、泊まってはみたいけれど、やっぱり家に帰るか・・・というような微妙な場所に存在する宿にスポットを当てているところがなかなかのポイントですね。しかし、行った先々の写真は掲載されているのに、肝心の宿に関する部屋やロビーなどの写真が１枚もなかったのが少々残念でした。オススメ度：★★★☆☆（宿の写真が無かったので、普通かな）東京ディープな宿

2010年02月03日

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「僕の散財日記」を読みました

買い物が教えてくれる世界、それはお金を払った人間だけが知ることの出来る魔界の迷路のようなもの。ナイキのシューズ、ホンダのモンキー、エルメスのハンドタオル、ガーデニング用チェアｅｔｃ。衝動買いから、こだわりの車選び、そして記念日の贈り物まで、中年男性の生活と考察が赤裸々に描かれた松任谷正隆氏のエッセイです。今までは、エッセイ＝村上春樹＆泉麻人でしが、この著者の独特な言い回しもなかなかクセになりそうです。散財日記というだけあって、まさに著者の買い物日記なのですが、あれこれ理屈を付けた無駄遣いにも思えるし、ある意味羨ましいしで、なんとも不思議な買い物日記ですね。しかし、この著者は色々なジャンルに詳しい方ですよ(^_^)。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）僕の散財日記

2010年01月28日

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「ヒヨコの猫またぎ」を読みました

やかんを空焚きする自分に怯え、ネコのワクチン摂取に右往左往。莫大な税金の支払いに翻弄される地味な日常を描く群ようこ氏の爆笑エッセイです。おっとりしていながらも身近で起きる珍事件。何気ない日常生活なのに、それを女性ならではの視点と感性でツッコミを入れているのがとても面白く、男のぼくが読んでいても思わず「フフッ！」と笑ってしまいす。この著書を読んでいると「類は友を呼ぶ」という言葉は、この著者のためにあるのではないかとも思えてくるほど、著者を取り巻くユニークな友人達も面白いです。ちょっとした気分転換に、そして間違いなく男女共に楽しく読めるエッセイです。オススメ度：★★★★☆（少しオススメ）ヒヨコの猫またぎ

2010年01月27日

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「酒にまじわれば」を読みました

酔うほどにおかしく、せつなく、哀しい酔っ払い。酔い心地満点のなぎら健壱氏のコラム集です。以前たまたま見たテレビで、なぎらさんが歌う前にベラベラと喋っているトークがとても面白かったので、きっとこの人が書いた本も面白いだろう。という前提ありで読んでみました。やっぱり、おっもしろかったですねぇ～（笑）。自分の事を「あたし」と呼ぶ元祖江戸っ子のエッセイは。お酒大好きの著者が、下町庶民のお店から繁華街のお店まで、あらゆるジャンルのお店を飲み歩きますが、行ったお店の雰囲気がどうのこうのというよりかは、その場で出逢った人々との人間模様がとても良く描かれており、著者の人付き合いの良さがわかりますし、それがまた面白いんです。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）酒にまじわれば

2010年01月21日

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「そこが知りたい「脳の病気」」を読みました

臨床歴３０年におよぶ脳外科医（天野惠市氏）が、知識と経験を基に脳の病気の診断法を専門的かつ平明に解説した医療エッセイです。くも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍、てんかん、ボケ、痛みの話など全１９話。脳に関係のある症状を思い浮かべてみると、実にたくさんありますよね。頭痛、めまい、吐き気、眠気、物忘れ・・・・本書は、著者が患者や患者の家族に話しかける「お話」形式を主とし、「普段着の言葉で脳の話をしましょう」をコンセプトとしているため、不必要な漢字表現や医学界独特の言葉使いを全て排除しています。そして、素人でも解りやすい文章構成により、脳に「故障」が起きているぞと警告を出している症状はどういう状態になるのか、また、どういう症状の場合は脳とは関係がないのかをまとめています。くも膜下出血や脳腫瘍といった脳に関する病気の話以外にも、夢や頭痛など誰でもが日常生活で体験するような現象にも触れ、詳しく解説しているのでなかなか面白いですよ。肩の力を抜いて読める一冊です。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）

2010年01月20日

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「村上朝日堂」と「村上朝日堂の逆襲」を読みました

ビールと豆腐と引越しとヤクルト・スワローズが好きで、蟻ととかげと毛虫とフリオ・イグレシアスが嫌いで、あるときはムーミン・パパに、またあるときはロンメル将軍に思いを馳せる。そんな「村上ワールド」を展開しているのが「村上朝日道」。交通ストと床屋と教訓的な話とハワイで食べる冷麦が好き。高いところと猫のいない生活とスーツが苦手。時には「セーラー服を着た鉛筆」について考察するかと思うと、小津安二郎の映画の細部にこだわったりもする。「自由業の問題点について」に始まって、「長距離ランナーの麦酒」に終わる「村上ワールド」を展開しているのが「村上朝日堂の逆襲」。どちらの作品も安西水丸画伯のイラストが彩ります。「村上朝日堂」は村上春樹氏初のエッセイです、そしてぼくがエッセイ好きになったのもこの著者のエッセイを読んだからです。今では世界的な超有名人になってしまった著者ですが、このエッセイを読んでわかることは、当時からエッセイの分野でも異彩を放っていたということです。どちらも取り上げている内容が若干昔の事になるのですが、そんな古くさささえまったく感じさせない「のほほ～ん」とした著者の語り口と、なんとも言えない水丸画伯の超癒し系の挿入絵。夢中になって読んでしまいます。そして気がつくと「村上ワールド」に引き込まれているんです。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）村上朝日堂の逆襲改版

2010年01月18日

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「街角で笑う犬」を読みました

北海道から沖縄まで、ダイナミックに動き続けるその著者の眼には、はたして何が映っているのか？著者（椎名誠氏）が旅先で見つけた、とっておきの場面ばかりを収めた写真エッセイ集です。文章と写真という表現方法を用いた著者の写真日記です。まるで詩を読んでいるかのようなしっとりとした著者の旅日記と、旅先で出会った人々や一瞬の思い出を焼き付けた写真を組み合わせることで、オーソドックスな手法ながらも何とも言えない大人の写真日記が出来上がっています。著者自らが撮影した写真も、一見誰でも撮れる様な感じがするのですが、何かが違うんですよ。被写体が生きていると言うか、味があると言うか・・・欲を言えばカラー写真だったらもっと良かったのに、と思いました。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）

2010年01月07日

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「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」を読みました

蒸溜所をたずね、パブをはしごする。二大聖地で出会った忘れがたきウィスキー、そしてたしかな誇りと喜びをもって生きる人々との交流を描く村上春樹氏のエッセイです。この著書を読んだらウィスキーが飲みたくなったりして・・・なんて思いながら読み終えたら、やっぱり飲みたくなりました。スコットランド、アイルランドとウィスキーの名産地を訪れて、職人のウィスキーへの情熱や哲学を知ることで、著者は今までとは違ったシングルモルトウィスキーの魅力に引き込まれていきます。適度に挿入されている著者の奥様が撮影した風景も、文章にとても良くマッチしていて素敵です。ウィスキー（できればモルトウィスキー）を飲みながら読めば、この上ない著書ではないでしょうか。しかし、この著者が飲食物を表現すると、必ず飲みたくなり、食べたくなるのは何故なんでしょう？ぼくもモルトウィスキーがここまで奥深いお酒だとは知らなかったです。また、この本を読ませた友人は、読み終えた以降、モルトウィスキー好きになっていました。（この調査には個人差がありますが（笑））モルトウィスキーを堪能するのであれば、オーセンティックバーへ行き、バーテンダーからモルトのうんちくを教えてもらい、さらに色々な種類を飲み比べてみる事をお奨めします。味、香りに意外な違いがあることが解り、驚きますよ。その場では「そうなんだぁ～」とか「なぁ～るほどねぇ～」なんて、わかったような返事をしてても、次の日にはほとんど覚えてないんですけどね（笑）。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）もし僕らのことばがウィスキーであったなら

2010年01月03日

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「行きそで行かないとこへ行こう」を読みました

オーケン（大槻ケンヂ氏）試練の旅エッセイです。初めて著者の本を読んでみたのですが、おっもしろいですねー。ビリケンさんを求めて通天閣へ、謎の主人と謎のカレーのお店カレー屋「Ｍ」へ、そしてホモ映画館へと、行った先は１１と若干少ないですが、その分行った先々についてじっくりと観察し書かれています。また、かなりディープな場所に行きながらも淡々とした書き下しで、それがまたおもしろく共感すら持ってしまいました。この著者の独特な間の取り方、書き下し、クセになりそうです。「行きそで行かないところ」ではなく、どちらかと言えば「行かないしこれからも行かないところ」の様な気もしますが。（笑）と言いつつ、ぼくは通天閣編に出てくる「ビリケンさん」に興味を持ってしまい、先日仕事で大阪に行った際に買ってきてしまいました。一緒に行った同僚には「なんか気持ちが悪い人形だね」と言われましたが・・・現在は、そのキモかわいいビリケンさんが我が家の玄関に鎮座しているので、出掛ける時は家族全員、ビリケンさんの足の裏をナデナデしてます。願いが叶うと言われているようなので。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）アメリカ雑貨の人気者！ラッキービリケン人形　★アメリカ雑貨★アメリカン雑貨

2009年12月30日

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「５０の生えぎわ」を読みました

五十代に突入した著者（泉麻人氏）が歩き回って見つけた街の話題を、独自の視点と切り口で分析するエッセイです。「ロッキー」や「ダイハード」みたいな旧作映画のオマージュとして「５０の生えぎわ」というタイトルを付けたそうです。５０歳前後の人を対象に書いたという意味ではないですからお間違いのないように。昭和のノスタルジーや、著者も参加した同窓会、はたまたディズニーランドをパクって作ったテーマパークの話題まで、一見「のほほ～ん」とした雰囲気を醸し出しながらも、著者の分析は鋭く、また微妙に面白いです。タイトルと同じで内容構成も５０編となっているので、続けて読むもよし、ちょっと空いた時間に読むもよしです。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）50の生えぎわ

2009年12月25日

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「日出る国の工場」を読みました

安西水丸氏のイラストと、村上春樹氏のエッセイで綴る楽しい工場訪問記です。少々昔の工場訪問記となりますが、読んでいてあまり古くささを感じないのは、ぼくが村上ファンだからでしょうか？著者ならではの、いつも通～りの「もっさり」した体験談と妙に鋭い指摘。また、所々に挿入されている安西氏の上手い様な下手な様な絵も、なんとも言えない「味」が出ていて良いですよ。オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）日出る国の工場

2009年12月22日

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「なぞ食探偵」を読みました

メニューで名前を見ても、どんな料理かわからない。そんな「なぞ食」を徹底検証した食エッセイです。ぼくも食べ歩きが大好きですけど、この本に収録されている全てのお店に一度も行ったことが無い、ということは世間は狭いと言いつつも、やっぱり広いんですね。よくよく考えてみると、何処に行っても同じ物しか食べないぼくなんかは、著者のチャレンジ精神を見習わないといけないんですかね。意外と食べず嫌いってありますからね・・・そんなぼくとは裏腹に、メニューでは想像ができない食べ物があるお店に行き、その食事を堪能してしまう著者の好奇心は、エッセイとは言えかなり探偵業に徹しています。挿入されている著者自ら描いたカラーイラストも、妙にリアルで料理のイラストを見ているだけで食べたくなってしまいます。今まで知らなかったけど、著者の泉さん、絵の才能もかなりのものです。各お店ごとに、料理の感想やその料理の由来についてキッチリ２ページにまとめていますので、どこから読んでも良いですし、空いた時間にちょっと読むには最適です。オススメ度：★★★★★（ということでかなりオススメ）

2009年12月11日

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「ガンジス河でバタフライ」を読みました

世界２５か国をひとりで駆け巡る、おセンチ女性の痛快旅エッセイです。旅先での出会い、別れ、感動、トラブル・・・読んでいる自分もその場にいるかのような感覚になりました。この感性、表現方法は女性ならではなのでしょうか？？このすばらしい感性を持った著者と一緒に旅をしている気分になった後は、きっとインドに行きたくなりますよ。ちなみにぼくは・・・インドにはあんまり興味がないです（笑）オススメ度：★★★★★（かなりオススメ）ガンジス河でバタフライ

2009年12月10日

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