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2007年10月26日
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カテゴリ:読書


珍しく児童書です。
でもしっかり読み応えがありました。
舞台は平安時代のはじめ。
その昔、昼間は朝廷で働き、夜は閻魔大王の元で働いたという
不思議な伝説を持つ実在の人物、小野篁の少年時代を描くファンタジーです。




鬼の橋


自分のせいで異母妹をしなせてしまったと悔やむ12歳の篁。
妹が死んだ荒れ寺の井戸に行くため五条橋を渡ろうとして
橋を何よりも大切に思う1人の少女と出会う。
その後井戸から冥府に迷い込み、
死んでなお都を守り続ける坂上田村麻呂に助けられる。
少女と、ツノを折られた元鬼、坂上田村麻呂との出会いで
少年篁は失意から立ち直り、大人になる決意を固めていく・・・。




私は京都出身なので、今はすっかりビル街の五条大橋あたりは
かつては捨てられた遺体の腐敗臭で満ちた場所だったと想像するだけで面白い。
ちなみに牛若丸と弁慶が出会った五条大橋は、
物語に出てきた五条橋のあとに架けられたもののようです。
外灯もなどひとつもあるはずの平安時代、
月明かりだけの橋の向こうは何も見えなかったわけで、
さぞ怖ろしい想像をめぐらせて、
鬼の存在も当たり前のように信じられただろうな・・・・。

死んでなお都を守れと命じられと命じられた坂上田村麻呂が、
少女の寝顔を見ながら涎と涙を流し続けるツノを失った鬼が
とても切ないです・・・・。

大人が読んでもしみる本です。



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最終更新日  2007年10月26日 20時58分56秒
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