軌道エレベーターの材料費試算 +追記
00の世界のエネルギー事情についてというどうにもとっつきにくいネタに せっかくリンクを貼って頂いたのでちょっとだけ軌道エレベーターのはなし。軌道エレベーターが実現できるというのはあくまで理学的に不可能じゃないというレベルの話であって、現実的にはそれを可能とする材料がないので物理的には不可能だったりしますがこれを可能とする材料が実現すると仮定した場合、どういったコストがかかるのかをものすごーく大雑把に話をすすめます。軌道エレベーターを建造するのに、現状最も可能性が高いと目されているのが『カーボンナノチューブ』という材料です。詳しくは先端研究なのでネットを巡回するくらいではよくわかりませんが、基本的な話ならそれで十分なのでネットサーフィンしてみてください。現在はこの材料が建造物に使用できるほどの大きさに出来ないので、あくまでナノテクノロジーの延長としてくらいの利用価値しかないのですが、それは置いておいて。で、この材料、発見当初は1gあたり数万円くらいしたらしいのですが、急激に研究が進み、いまでは1gあたり数百円で買えるとか。ネットサーフィンしてみると、1gあたり20円と書いてるところもあったりです。技術の進歩は凄いですね。(ちなみに金は1gあたり3千円くらい)でこれでいくと1kgだと20×1,000=20,000円(2万円)となります。ちなみにこの材料の密度は基本的に黒鉛のそれと大差はなく、1,500kg・m^-3くらいらしいのですが、面倒くさいので1,000kg・m^-3と仮定しましょう。つまり1立方メートルあたりの値段は20,000×1,000=20,000,000円(2千万円)です。既に意外と大変な額になってしまいました。さて、軌道エレベーターの真髄は文字通り、(宇宙行きの)エレベーターの役割を果たすことなのですが、面倒くさいので先ほどの1立方メートルのブロックを必要な長さ分積み上げていくと仮定しましょう。当然ながらエレベーターの役割を果たすチューブの断面積が1平方メートルですむわけがないのですが、あくまで小さく見積もる方向なのでよしとして下さい。建設費用とか建設方法とか全部無視。あくまで材料費算出です。軌道エレベーターの長さは00では5万キロという設定だと思いますが、さっきのブロックをこの長さ分積み上げていきます。すると値段は20,000,000×50,000×1,000=1,000,000,000,000,000円(1千兆円)はい。既に天文学的な値段です。相当に楽観視して、将来的にカーボンナノチューブの値段が1gあたり2円でしかも巨大な建造物に利用出来るという想定をしても上のブロックだけで100兆円です。実際には軌道エレベーターの建築の為には何回もロケットを打ち上げて作業をしないといけませんし、カウンターウェイトとしての小衛星をどうやって工面するのかなど、天文学的なお金がかかりそうなことは腐るほどありますが、例えばスペースシャトルが地球と宇宙を往復するだけで数百億円かかります。日本人が月面探索をするには数兆円と想定されています。(ちなみにJRの試算では夢のリニアモーターカーの建設費も5兆円くらい)軌道エレベーターの建設には世界GDP10年分くらいで建造可能だと唱えてる人がいるらしいのですが、これはおおよそ4~5京円。京て。いくらなんでもそんなにしないだろう、と思いたいのですが、数百~数千兆円かかるというのは結構かたいかも。<ここから追記↓>ちなみに日本の1年間の国家予算は80兆円、アメリカは250兆円くらいです。日本の国家予算の80兆円というのは多額の国債を内包してやっと実現する額であり、リニアモーターカーの建設費5兆円というのがいかに巨額で、一向に開発着手の目処がたたないというのも頷ける話です。上記を鑑みて<00世界でのユニオン加盟国>の総額でも500兆円を切ると思われます。(世界各国の国家予算というのがなかなかネットサーフィンしても見つからないです^^;)要するに、加盟国全ての国家予算を全てつぎ込んでも1年間の予算で足りるかどうかです。(てかたぶん足りません。)各国が年間国家予算の10%をつぎ込んで、15年間積み立てて完成にこぎつけるのかどうか。もちろん軌道エレベーターのために大増税が必須。まぁ私たちの生きているうちに軌道エレベーターが完成するというのはよほどの技術革新と国家間の結びつきの強化と用地確保と人民の理解とetc,etc…あとは宇宙開発が進まないと意味を成さないですし、エネルギー方面から言えば現在よりもそうとう切迫した状況も必要。そんな訳で、軌道エレベーターと連動する太陽光発電システムの完成が約300年後という設定は結構、良いバランス感覚じゃないかと個人的には思います。