ロシアの大地に咲く詩華。 パステルナークの描いた世界。
”詩的”というと抽出した非日常的な美しいものの形容詞だと思っていたのですけれど、ロシアの詩の背景に触れてみて、詩に対する観念がかわったと思います。 唯一の彼の小説作品である『Doctor Zhivago』は祖国では出版禁止とされたのですが、ノーベル文学賞に選ばれることに。だけれども、マスコミや作家連盟に非難を受け、パステルナークは愛する祖国に留まるために受賞を辞退。しかも悲運にも一年半後に永眠されたのです。多くの人達が圧力を受けながらも自由な表現を求めて、時にはひっそりと詩作などの活動や母から子への伝承が行われてきたとあるテレビ番組で拝見しました。ロシアの自然やの大地が、そのままそこで人生を送る人々の姿とイメージが重なるように感じます。”罪と罰”の終章にみられる敬虔な大地に根差した生命観とあいまって、この作品を見てからますますロシアの文化に興味をもつことになりました。『Doctor Zhivago』。私が知ったきっかけはデイビッド・リーン監督の作品でした。ロシア革命を背景に描かれた男女の物語なのですけれど、原作者パステルナークの半自伝的な作品なのだそう。 どこまでも広がるようなロシアの大地にバラライカの響きが心に焼きつく作品でした。 『Lawrence of Arabia』で鷹のように雄々しい族長”アリ”を演じたオマー・シャリフが、みごとにロシアに生きる軍医であり詩人の”ジバゴ”を演じています。 また穏やかな陽に照らされたひまわりや、緑の柔らかくのどかな平原のなか戦場に借り出された白い服の少年たちが銃弾に倒れ、また凍てついた窓に徐々に光がさしてくるシーンなどリーン監督の絵画的とも詩的とも思える数々のシーンも印象的です。。最近はDVDがとてもお手頃な価格で出ているようですし、ロシアに興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。。Doctor Zhivago