バス停地名学のすすめ

2008/02/21(木)22:18

第169回 【梅70編(3)】 起点、柳沢駅にて 前編

西東京市(10)

みなさん、こんにちは。 【梅70編】、いよいよ出発します。 ======== 高田馬場から西武新宿線の準急でおよそ20分弱。[梅70]系統の都心側出発点となる西武柳沢駅は、西東京市の南東部にあります。 この駅名がなぜ「西武」を冠しているのか、かねてから疑問でしたが、まだ納得のいく回答に出会っていません。近くに他社線の柳沢駅があるわけでもありません。他地方の柳沢との区別であれば、「武蔵」の冠の方が自然ではないでしょうか。そしてこの疑問に共感してくれているかのように、駅前に集ってくる路線バスの行き先表示は、[梅70]を含め、すべて「柳沢駅」です。「不要な冠は遠慮なく外させていただきます」とでも言いたげに見えてくるのは、気のせいでしょうか。 改札を出て南口のロータリーに出ると、エンジ色の関東バスがずらりと並ぶ中、やや小ぶりな緑の都営バスが3番のりばに止まっています。都営単独の乗り場かと思いましたが、吉祥寺行きの関東バスと共用です。バス停に掲示された運賃表には、90を越える[梅70]の全バス停が記載され、なかなか圧巻です。終点青梅車庫までは、560円とあります。 先頃出版された『都バスの90年史』(佐藤信之著・グランプリ出版)には、昭和26年の都バス路線図が掲載されていますが、これを見ると、当時は荻窪~青梅間の[301]系統だったこの路線は「急行系統」という扱いであり、バス停も現在の3分の1程度しかなかったことがわかります。当時はまだ路線バスが都心と郊外を結ぶ主要な交通機関だったこと、そして「急行」というサービスからは、まだまだ人口の少ない牧歌的農村風景が残っていた青梅街道沿いの様子も垣間見えてきます。それから半世紀以上もの歳月の中で、路線バスへの需要は長距離から中・短距離に変り、公的補助に支えられた地域密着型の路線として[梅70]は生き延びてきたといえるのでしょう。 (次回へつづく) 人気blogランキングへ

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