カテゴリ:その他雑談など
去る13年11月20日に「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」が年金改革に係る報告書を提出していました。
提言の要旨は「国債中心の運用を見直した方が良いですよ」といった内容であり、結論部には大いに同意しますが、以下の通りおかしな内容も複数含まれていました。 ここでは、その中から3つほど変な箇所を紹介させて頂きます。 ■ ■ おかしな提言その1:アクティブ運用比率を高めることを検討すべき アクティブ運用とは、ファンドマネージャーが自分の裁量で金融商品を売買する運用手法であり、株価指数等に連動させるパッシブ運用(インデックス運用)に対比されます。 そして、過去のデータを見る限り、アクティブ運用のリターンはパッシブ運用に負ける場合が多いため、アクティブ運用の比率は増やすべきではありません。 例えば、『インデックスファンドの時代』J・Cボーグル著という本で、1983年6月から1998年6月までの株価指数(ウィルシャー5000)と200本のアクティブ運用ファンドの成績が比較されています。 結果を端的にいえば、200ファンドのうち指数に勝ったのは33ファンドだけであり、残りの167ファンドは指数を下回りました。アクティブ運用の勝率は、15年間の長期で見ると16.5%しか無かったわけです。 では、なぜ優秀なファンドマネージャーが知恵を振り絞ったアクティブ運用が、機械的なパッシブな運用に負けてしまうのか・・・要するに以下の2つが理由となります。 ・アクティブ運用している人の合計=市場平均(=インデックス) ・アクティブ運用は、取引コストが嵩んだり、投資家に請求する運用手数料が高いため、コスト控除後のリターンが低下する 余談ですが、今回の有識者会議は7名の委員から構成され、そのうち3名の委員が金融機関系列から参加しています。(JPモルガン証券、大和総研、野村総研) 証券会社にとって見れば、アクティブ運用の方が相対的に大きな手数料を請求できるので、ポジショントークの一貫としてこういう主張を潜り込ませているのでしょう。 おかしな提言その2:運用コストを引き上げるべき 報告書を読んでいて、露骨なポジショントークに失笑してしまったのが、以下の一文です。 運用コスト等 各資金は、コストをできる限り抑える観点から委託手数料等の縮減に努めており、国際的に見ても極めて低い水準となっていることは評価し得るものの、その結果、かえって十分な情報を得られず、貴重な運用機会を逃しているほか、金融・資本市場の発達を阻害する要因になっている可能性がある。 上述した通り、運用コストの高いアクティブ運用は、一般的に証券会社に利益を、投資家には貴重な運用機会ならぬ貴重な運用損失をもたらしてくれます。この有識者会議はいったい誰のための提言をしているのかと疑問を感じざるを得ません。 さらに、日本の投資信託のコストは、購入時の販売手数料・運用残高に係る信託報酬ともに米国に比べ大幅に割高となっている現状があります。 (参考)投信手数料の日米比較(2011年度) ・販売手数料:日本2.73%、米国1.0% ・信託報酬 :日本1.48%、米国0.79% ※参考サイト:山崎元のマネー経済の歩き方 金融・資本市場を米国のように発達させることは、日本の経済の活性化のために必要なことだと思います。そのためにも、年金には更なるコストの引き下げを証券会社に迫って頂きたいものですね。 おかしな提言その3:ROE等を考慮した指数で運用すべき ROE(株主資本利益率)とは、企業が株主から出資を受けた資金に対してどれだけの利益を計上したかを示す指標です。一般的に、ROEが高い企業は収益が高く良い会社だと言われます。 とはいえ、良い会社を買えば儲かるわけではありませんし、ROEは投資指標として特に有効でもありません。 例えば、こちらのサイトでは1951~1996年の間、米国株式をROEで10分位に分けた場合の各グループの成績が紹介されています。 このデータから、米国における約45年間の実績を見ると・・・ ROE最高のグループ:年率リターン11.32% ROE最低のグループ:年率リターン12.27% となり、ROE最低のグループでも、ROE最高のグループと同じ位(というか少し高い)のリターンを獲得出来ています。 ちなみに他のグループを含めても、ROEが高くなるほどリスクが高まるものの、リターンが高まるという傾向は明確には見られません。 ■ ■ 以上、3点ほど有識者会議の提言の中からおかしな箇所を指摘してみました 総論として債券の比率を減らすことには賛成なものの、過去のデータから有効といえない運用戦略が提案されており、その一部は証券会社への利益誘導のためと思われるのがタチが悪いと感じます。 まぁ、日本の官僚さんは馬鹿ではないはずなので、適切な取捨選択をしてくれるはずですが・・・ にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[その他雑談など] カテゴリの最新記事
はじめまして。
私、株式会社マジカルポケットの姜と申します。 突然のご連絡、お許しください。 弊社は、個人投資家向けのイベント「IRフォーラム」を運営する企業です。 来年の3月8日に弊社が運営している個人投資家向けイベント「IRフォーラム2014大阪」が開催されます。 イベント開催にあたり、多くの方に知って頂きたいと考えておりましたところ、貴方のブログを拝見し、ぜひイベントお知らせさせて頂ければと思い、ご連絡致しました。 このイベントでは多数の大手上場企業が出展し、 それぞれの企業がセミナーとブース形式で企業の詳しいお話を致します。 セミナー会場や、ブースにて、企業の成長・取り組み等について、 経営者やIR担当者へ質問等も行うことができ、投資家の方々にとって、 新たな投資先を発掘することができる場となっております。 それ以外に、イベント当日、 日本テレビの番組「月曜から夜ふかし」で日本一有名な 株主優待達人・財テク棋士「桐谷広人」さんが講演会を開き、 「NO株主優待、NO LIFE」の生き方を披露致します。 (桐谷さんに関する詳しい情報はこちら:https://www.google.co.jp/#q=桐谷広人) 他にも、株投資や経済情勢など様々な分野の専門家はスピーチ致します。 ―――――――――――――――――― イベントの開催につき、現在事前登録を行っております。 ▼IRフォーラム2014大阪事前登録ページ http://irforum.jp 事前登録をして頂き方々のためには、二大の特典をご用意致しております。 ● 特典1【特別優先席】 詳細はこちらをご覧ください http://irforum.jp/tokuten.html?utm_expid=78930913-0.EiX2n3GbTNOgJ09CWvJ0Lw.0&utm_referrer=http%3A%2F%2Firforum.jp%2F#tokuten-01 ● 特典2【もれなく!QUOカード(500円)プレゼント】 詳細はこちらをご覧ください http://irforum.jp/tokuten.html?utm_expid=78930913-0.EiX2n3GbTNOgJ09CWvJ0Lw.0&utm_referrer=http%3A%2F%2Firforum.jp%2F#tokuten-02 ――――――――――――――――――――――――― ★ イベント開催日 ★ 2014年3月8日(土) 1階・2階 ※ゲストスピーカー:桐谷 広人(他多数) その他のゲストスピーカーなどの情報は決定次第お知らせします。 ◆ 会 場 ◆ 〒540-0029 大阪市中央区本町橋2番5号 マイドームおおさか 1階・2階 会場アクセス:http://www.mydome.jp/access/ ◆ 参加無料 ◆ ―――――――――――――――――――――――――― もしよろしければ、「IRフォーラム2014大阪」にご参加頂けますと幸いでございます。 また、ご興味をお持ち頂けましたら、 イベントの事前登録や開催などについて ブログ内で間単にご紹介頂ければと思います。 不躾なお願いとは承知しておりますが、ぜひお力添え頂けますと幸いです。 突然のご連絡にも関わらず、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。 IRフォーラム大阪に関しまして、何かご質問等ございましたら 下記連絡先より、お問い合わせくださいませ。 IRフォーラム運営事務局 (株)マジカルポケット http://mpocket.jp TEL:03-5226-5433 Fax:03-5226-5434 メールアドレス:info@irforum.jp 今後とも引き続き何卒よろしくお願い申し上げます。 (2013.12.07 17:35:54) |
|