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再出発日記

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2008年11月08日
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知る人ぞ知る韓国の全国紙「ハンギョレ」は特異な生い立ちを持った反権力の新聞である。2000年に伊東千尋が週間「金曜日」に連載したルポをまとめたブックレットであるが、今回初めて読んで、大学新聞会OBとしては少し血が騒いだ。

たたかう新聞「ハンギョレ」の12年 岩波ブックレット
1987年軍事政権がいよいよ末期症状を呈していた頃、70年代に軍政に反対した記事を書いて職を追われたジャーナリスト四人が、新しい新聞を作ることを決意する。何が新しいのか。

先ずは権力と資本から真に独立するために、資本金は民衆からの寄付で集める。50億ウォン(当時約8億6千万円)。韓国ドラマ「砂時計」でも触れられていたが、当時はテレビや新聞の信頼度は地に落ちていた。その不信感はBSEのデモなどを見ていると、おそらく今でもある。政府の言いなりの嘘の記事を書かない新聞は求められていたのである。そして幾多の苦労と感動的なエピソードのあと、その金を集めきるのである。

それでもギリギリの設備と情熱だけの報酬でスタートせずに入られなかったにもかかわらず、やがて「ハンギョレ」は10代全国紙のなかで影響力では4位、正確と公正さでは一位の地位を得るようになるのである。コンピューター版組みと言う最先端の技術と、化石のような印刷機のもとで創刊号が刷り上ったときには、大きな歓声に包まれる。ほかの新聞と違うところは例えば、「世論媒体部」。常に新聞の一ページをメディア批判に充てることにする。例えば、「国民記者席」。読者の投稿を積極的に載せるのである。学生は大学の学生運動の動きを書き、労働者は職場の不正を告発した。もちろん記者は一切賄賂を貰わない。そしてたとえ記者クラブの所属していなくても、次第とハンギョレの記事は信頼を勝ち取っていく。

例えば、こんなことがあった。
財閥である現代建設に労組が出来たとき、労組の委員長が行方不明になった。会社側に雇われた暴力団に拉致されたのである。だが、当時の韓国ではそれが日常的な出来事だったこともあり、ほかの新聞は無視した。しかしハンギョレはそれを調査して大きく報道したために社会問題になり、現代建設だけでなくほかの大企業も労組に対してこれまでのような好き勝手しなくなったのである。このことは日本のマスコミも他山の石としていただきたい。歩いただけで逮捕!! と言う事体があっても、ついにはマスコミは警察の一方的な発表以外は一切報道しなかった。6日に三人は釈放されたらしいが、もしもハンギョレのようにきちんと報道していたならば、かえって特ダネをものにすることが出来たに違いないのである。

ハンギョレは徹底的に民主的な会社である。労組はもちろんある。むしろ記者評議会としての役割を担っている。さらにすごいのは、社長と編集局長を選挙で選ぶのである(97年より)。そして実際に選びなおされている。(元が反動的であったわけでは全然ない。)給料も、ほかの全国紙の三分の一。しかも、高卒と社長との開きは3.5倍しかない。

副編集局長の金孝淳氏は日本についてこのように言う。「日本の新聞は韓国と比べて成熟していますが、それと正反対に社会は不正に陥っています。今の日本のマスコミには、先頭に立って闘う姿勢や勇気が弱いのではありませんか。韓国の新聞は、政府が悪いことをすれば突きます。日本の新聞は攻撃的な記事があまり見えません。日本の記者は礼儀正しすぎるのではありませんか。一般の読者に伝える義務を怠っているのではないでしょうか。」おおいに同意する。

7日に数少ない「先頭に立って闘う姿勢や勇気」のある一人のジャーナリストが亡くなった。筑紫哲也氏である。私は彼の仕事のすべては支持しない。また、いつも注目していたわけでもない。けれども、アンカーや編集長を離れて個人に戻ったときに発する言葉や記事の幾つかには共感することが多かった。来るべき憲法改悪国民投票の折には、マスコミのなか苦しいだろうけれども護憲の立場で何らかの役割を果たしてくれるであろうことを期待していた。来るべき関が原で護憲側の有力な武将だった。突然ではあったけれども、かっこよく、みごとな戦死であったと思う。私はあくまで遊軍の中のしがない一兵卒に過ぎないけれども、噂に聞こえたかの大将の戦死を此処で悼んでいる。





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最終更新日  2008年11月08日 23時10分17秒
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