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カテゴリ:読書フィクション(12~)
そのとき
そのとき きっと 子どもたちは きくでしょう お母さん どうして 反対しなかったの と わたしたちが いつか 親や祖父たちに きいたように 大人は どうして 戦争なんか やったの と あのとき 大人たちは みんな 悲しい顔をして こたえた "とんでもない おまえ そんなことを いったら とらえられ牢獄で 殺されてしまったよ" "ごめんなさい おまえ わたしたち 知らなかったの 正しい戦争だとばかり教えられてきたの"と 美しい地球の すべてのいのち 絶える日を もしも 人間が 許した としたら そのとき きっと 子どもたちは きくでしょう とけてしまった唇 くだけ散った小さな手で もえつきた わたしたちを なお ゆりおこして きくでしょう お母さん どうして 核戦争を やめさせなかったの お父さん どうして 口もきけない法律を 通させてしまったの そのとき わたしたち 知らなかった とは いえない そのとき わたしたち 何もできなかった とは 決して けっして いえない (26p「輝いて生きる」より) 平和新聞の選者として、小森陽一さんのお母さんとして、私的に有名だった詩人小森香子さんの詩集を初めて読んだ。 「小森香子詩選集 ばらの樹」文芸社 上記の詩は、1986年の詩人会議の「反核平和詩集」に初めて載った詩らしい。この詩の「核戦争」は時には戦争に、時には原発事故に重点を変えて、今でも、今こそ、わたしたちの心を打つ。 小森香子さんの詩をまとめて読んでみて、この太い芯が一本通った人生に、正直圧倒された。 詠まれる詩は、その時々の母親大会で、子供白書で、運動を励ますために作られた詩が多い。絶対傍観者にはならない、けれども母親の立場は、女性としての立場はけっして忘れない。現在84歳にして、矍鑠として「私はまだ沈黙できない」という。この親有りて、小森陽一有り。詩の中に、よちよち歩きの、あるいは可愛い盛りの、あるいは自立を始めた小森陽一が居る。 装丁は亡き娘さんの切り絵らしい。 2014年8月10日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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「ばらの樹」まだ買ってないですけど、ぜひ購入したいです。小森さんの詩は優しくていいですね。すぐに覚えて歌える「青い空は」も。私の持ってる「飛び立つ」は母親大会で講演なさった時にサインしていただいたもの。『生きるとは、愛すること』と書いてくださいました。
お嬢さん、山で亡くなったんですよね。残された作品の数々を見ると、すごい才能! (2014年08月11日 21時48分49秒)
薔薇豪城さん
>「ばらの樹」まだ買ってないですけど、ぜひ購入したいです。小森さんの詩は優しくていいですね。すぐに覚えて歌える「青い空は」も。私の持ってる「飛び立つ」は母親大会で講演なさった時にサインしていただいたもの。『生きるとは、愛すること』と書いてくださいました。 > お嬢さん、山で亡くなったんですよね。残された作品の数々を見ると、すごい才能! ----- 詩集の文庫本で600円は買いです。 小森香子さんの今までの詩集が一応全部入っているみたい。編集は文芸社なので、どこまで全うかわかりませんが、レアな詩も入っているみたい。 お嬢さん、山で亡くなったんですか! 山の詩もたくさんあります。一緒に登っていたのかもしれません。 やはりお母さんとして書いた詩が輝いていました。 (2014年08月12日 13時41分40秒)
はじめまして
むちゃばあと申します 昨日、この詩を初めて知り、早速lineなどで拡散をと考えました。 今こそ世界中の人々すべての人に読んでほしい詩です。 このブログをlineでリンクを貼り付けて拡散するということは出来るのでしょうか。 調べている時間がありませんので、申し訳ありませんがこのコメントへのお返事をお願いします。 よろしくお願いします。 (2022年04月15日 08時54分08秒) |
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