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再出発日記

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2010年04月04日
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カテゴリ:加藤周一

冥誕
小森陽一は「九条の会を発案されたのは、加藤周一さんであった」とはっきり書いている。(「冥誕」のなかの「加藤周一さんと九条の会」)。加藤周一が小森陽一を説得して事務局長に担ぎ上げたのは、慧眼であったが、まだなぜ小森が選ばれたのか、詳しい経緯はわからない。おそらく2001年秋から発足していた「憲法再生フォーラム」という勉強会で若くて行動力のある小森を知ったのだろう。2003年秋、加藤は自宅近くの喫茶店の二階で小森と九条の会の構想を語る。(朝日新聞09年9月)

P上野毛ル・サフラン.JPG
その喫茶店はほぼ間違いなく、上野毛の「ル・サフラン」である。だとすれば、後世日本の平和に決定的な影響を及ぼした「九条の会」の誕生を演出した喫茶店としてここは歴史的名所となるかもしれない(笑)

2001 9.11事件起きる。
   秋アメリカのアフガン侵攻
   小泉「テロ対策特措法」
   11.20「憲法再生フォーラム」共同代表 加藤周一、杉浦泰雄、高橋哲哉
2002 ブッシュ一般教書演説「テロとの戦争」イラク戦争を準備
2003 3.20 イラク戦争始まる
   小泉「武力攻撃事態対処法」
      イラク特措法による自衛隊の戦場への派遣
   「集団的自衛権の行使」「明文改憲」へ着々と地ならし
2004 4月第一週「読売新聞」世論調査65%が「憲法を変えたほうがいい」

そういう流れの中で、加藤さんは研究者の集まりを持つだけでいいのか、このままの形態でいいのか、模索していたらしい。小森は述べる。
 今誰かが明文改憲に反対する運動を、広範な市民に呼びかけなければ手遅れになる。しかし、現状において政党や労働組合のどこかが呼びかけても本当の意味で広がりのある運動をつくることはできない。そうであるならば、知識人が知識人として、個人の立場から、憲法を守り、生かす運動を呼びかけるべきだと判断されたのである。その加藤周一さんの決断を、私は大江健三郎さんへお伝えし、そこからあの九人の「九条の会」の呼びかけ人のつながりが始まったのであった。
 加藤さんは「九条の会」の運動を次のように位置づけた。既に多様な形で存在する「九条を護ろうとする人たちの運動」をお互いに「横の連絡」を取り合い、「ネットワークを創りたい」。その「相互連絡の手伝い」、「有効な連絡が出来るようにする」(2004年6月10日の「記者会見」での発言)のが、「九条の会」の運動であると。


最初から、加藤周一は明確な「戦略」を持っていたということがわかる。日本はたしかに外国のように何百万人ものデモ行進を行うような横断的な横の連絡組織はない。しかしながら、市民の一人ひとりの政治的な学習能力は大きいし、小さな集団の中での結束力は非常に高い。小さなコミュニティは無数にあるのが日本の市民運動の特徴である。もしそれらの無数のコミュニティを横につなげることが出来たならばどうだろう。小泉によって水をあけられていた運動を、もしかしたら戦後で唯一「戦略的に市民運動が政府の戦略に勝った瞬間」になるかもしれない。
  
加藤がだいぶ以前からその構想を持っていた証拠に青年との学習会の記録「テロリズムと日常性―「9・11」と「世なおし」68年」(2002)ですでに加藤周一は質問に答えてこのように言っているのである。『小さなグループがいくつか連携して、具体的な問題をひとつ解決する。そういう流れをだんだん広めていって、地方行政を動かすような規模になって、ある程度社会的な力を持つ…ということがあり得るんじゃないか。』

「改憲」派が多数であるかのように報道する、マス・メディアのキャンペーンの中で、心の中で思っていても、それを他者に向かって自らの意見として「明示する機会」を持たなかった多くの人々が、講演会に足を運ぶことでまず沈黙の意思表示をし、呼びかけ人の講演の言葉に励まされ、それに応答するように「アピール」への賛同を口にし始め、その「意見」を自分の生活圏の中で「明示」することで、草の根の「九条の会」が結成されていく。
と、小森は「九条の会」の大きくなった経緯を説明する。

06年6月10日の「九条の会全国交流集会」で加藤さんは「九条の会は、日本で唯一の、そして、世界でも珍しい、ことに平和運動に関しては、明らかに例外的に珍しい組織です」と語った。そして「勢いに乗ってください」と呼びかけた。らしい。

どのように珍しいのか、もう少し詳しい分析はほしいところであるが、かつて「言葉と戦車」(1968)で加藤がプラハの春がソ連の戦車で潰されていくのを見たときにそれでも「小雨に濡れたプラハの街頭に相対していたのは、圧倒的で無力な戦車と、無力で圧倒的な言葉であった」といったように、知識人として言葉の持つ力を21世紀の初めに証明したひとつの試みであったことは確かだと思う。





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最終更新日  2010年04月05日 12時47分46秒
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