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私は、小説が書けない

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2006年06月26日
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出向生活、2日目の今日。
与えられたデスクで、与えられた仕事を私は、ひたすらこなしていた。
すると、「abimegさん?」と声が。
凝視していたパソコンから目を離し、顔を上げると、
そこにはすごい美人さんが立っていた。

誰?
知らない人。でも、すごい綺麗な人だなぁ。

「abimegさんですよね?」と、彼女は続けて言った。
「私、○○です。覚えてますか?2年ぶり?3年ぶりかもしれない。」

その時、私はようやく思い出した。

フリーランスになる前、私は某翻訳・通訳事務所で社員として働いていた。
この美人さんは、そこにアルバイトとして時々来ていた人なのだ。
とてもお上品で、女らしく、しかも整った顔と少し色気のある話し方の彼女は、
おっちょこちょいで慌てん坊で三枚目の私と、何から何までもが対照的。
しかし、不思議になことに、私たちは出会ってすぐに意気投合したのだ。
しかも、彼女はとても優しい気遣いができる人で、
帰宅前には、私のデスクにキャンディーと、
「いつもお疲れ様。お仕事がんばってね!」と書かれたメモを
さりげなく置いて行ってくれる人だった。

ただ、この美人さんは、アルバイトに来てから数ヵ月後、
長期の通訳の仕事が決まったということで、辞めてしまったのだ。
彼女とはそれ以来、連絡が途絶え、今では音信不通となっていた。

なのに!なんて偶然!

驚きを隠せない私は、「えっ~!ここで、何してるんですか!?」と
ワケの分からない返事をしてしまった。

美人さんによると、今年の初めから、この会社で社長秘書をしているらしい。
まだ半年しか経っていないけど、それなりに仕事にも慣れてきたとのこと。
私も簡単に、自分の今の状況を彼女に話した。

「お互い、大人になったよね!」と言いながら、はしゃぐ私たちを見て、
周りの人々は、「なんで、知り合いなん!?」とビックリしていたが・・・(笑)。

水曜まで忙しい彼女は、
「木曜に、ランチしましょう。その時、ゆっくりと話そうね」と言い、
素敵な笑顔を私に投げかけ、社長室へと戻って行った。

思いがけない再会を喜びつつ、ふと私の頭に疑問がよぎった。
当時、彼女は通訳を目指していたはずだ。
スクールにも通っていたし、長期の通訳の仕事が決まった時は、
目を輝かせながら、「これが、何かにつながるといいな」と言っていた。

なのに、何故?
どうして、ここで働いているのだろう。
どんな心境の変化があったのか?
勿論、社長秘書とは、すごく素敵でカッコイイ仕事だ。
が、しかし。目指していたのは、あくまでもフリーの通訳じゃなかったの?

理由が何であれ、それが“あきらめ”から来たものでないことを私は願う。
とにかく、木曜。
じっくりと、彼女の話を聞いてみよう・・・






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最終更新日  2006年06月26日 21時49分18秒
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