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2017年08月02日
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昭和30年代あるいは40年代初めの労働運動を背景とした小説で、組合指導者「私」の語りには生硬な部分も多く決して読みやすい小説ではない。それに最初からハッピーエンドにはなりえないことはわかっているので、読んで楽しいというものでもない。
それでも、この小説を読んだのは、高校生の頃、本の広告かなんかでタイトルが記憶に残っていたからである。タイトルが気になり、いつか読みたいと思っていた小説というものはたしかにある。もちろん高校生の頃からは長い年月がたってしまったけど…。
平成も30年近くすぎた今、この小説を読むと、「時代」を感じる。
主人公は石灰岩採掘工の息子で町の商工会議所の奨学金で大学に行く。その奨学金を受給するものはごく少数で、その受給者は会を創って知識人集団として特異な交流をもっている。
あの時代は今に比べればはるかに「階級」というものが大きな意味をもっていた。採掘工の長屋に生まれるか、中流の家庭に生まれるかで人生がずいぶん違ったものになっていた。今では、どの家に生まれるかということも、「大学」を出るということも、人生の幸不幸、少なくとも経済的な意味での幸不幸にはあまり関係ないのではないか。豊かな家に生まれても、「大学」をでても、貧困に転落する人は珍しくもない。
主人公は見合い結婚した後、妻子としっかりものの妹と同居して暮らしている。結婚は見合いが主流で、新婚さんに「恋愛結婚なの?見合い結婚なの?」と聞くのは普通だった。今ではこんな質問自体まずしないくなっている。そしてある時期まで、夫の姉妹の同居もそんなにめずらしいことではなかった。戦争などで婚期を逸した女性で、そんな生活をしていた人はけっこういたのではないか。こうした夫婦のどちらかの兄弟が同居する世帯というものは激減し、最近ではほとんどなくなっているという。
「私」は奨学生の会の紅一点の女性と深い関係になっているが、家庭を壊すつもりは全くない。女性は難関の奨学生に選ばれたくらいなので、相当に優秀な女性なのだろう。けれども、そうした女性でも結局は男性に翻弄されていく人生しかなかった。そういう女性が普通に自立して、職業に誇りをもって活躍できるようになるのにはもっと時代が下る必要がある。キャリアウーマンという言葉が表れて、そして消え、「女流作家」、「女のくせに」、「大の男が」とそんな言葉が死後になるのにどれほどの時間がかかったのだろうか。
そしてなによりも時代の変化を感じるのは労働運動というものについての主人公や当時の社会の見方である。当時は社会主義に理想を見出している人も多く、また、そうでなければ知的でも進歩的でもないという観念もあった。「私」は最後には職場を去ることになるのだが、それでも、その先は絶望の袋小路ではない。次の仕事はみつかるだろう。妻子も妹も路頭に迷うようなことはないだろう。そういえば、奨学生の会にも失業者はいたが彼の境遇も悲惨ではなく、普通に親睦旅行にもやってきていた。不況だのなんのといいながらも、すべてが右肩上がりで、去年よりも今年の方が生活がよくなっていくのを当たり前と思っていた時代。考えてみればよい時代であった。





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最終更新日  2017年08月02日 07時44分08秒
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