アニメが子供だけのものではなくなって久しいが、最近では「はたらく細胞」というアニメが話題になっているという。細胞…なんていう言葉を聞くと、党員とか活動家を連想するのは、ほとんど化石だろう。このアニメは文字どおりの細胞を主人公にしたアニメである。
赤血球、白血球、血小板くらいは知っていたけど、マクロファージ細胞とかTキラー細胞となると全然知らなかった。中学や高校の授業でこんな話をきいた頃よりも人間の知識は格段に進歩したのだろうか。それとも単に詳細に過ぎるので教科書にはなかったのか、それとも聞いている自分の頭には入ってくることも残ることもなかっただけなのか。どうも最後の可能性が一番高いw。
で、こうした細胞が美少女やイケメンに擬人化されて描かれるのだが、こんなのでストーリーになるのだろうか。細胞は細胞じゃん…と思うのだが、これがけっこう面白い。まあ、細胞たちは「この世界」、すなわち人体の維持のために働いているのだから話が作れるかもしれない。
考えてみれば、擬人化というのも、物語の系譜の一つなのかもしれない。物語ではないけど、鳥獣戯画は動物の擬人化(人間の動物化?)の傑作であるし、子供の物語や絵本では擬人化された動物はむしろ普通である。中でも気に入っているのは、宮沢賢治の「楢之木大博士の野宿」にでてくる鉱物の擬人化である。細胞の次は鉱物の擬人化なんてのがあったら面白いと思うのだが、鉱物は細胞と違い共通の目的(人体の維持のような)がないので難しいのだろう。
こうした擬人化物語は人類の歴史とともにあったのかもしれない。多くの神話に出てくる神々も太陽や月、山や海の擬人化されたものなのだから。