カテゴリ:食物アレルギー情報
今回は、最近増えていると思われる、魚アレルギーに対する予防と対策について、少しだけ書きたいと思います。
乳幼児の頃の代表的なアレルゲンは、乳・卵・麦ですが、年齢が高くなり、これらの寛界が進んでくると、今度は魚に対するアレルギーの比率が増えてきます。もちろん、食物アレルギーのある3歳くらいの子の約1割に、すでに魚アレルギーはあるようですが、成人すると、魚アレルギーを有する比率が、他の食品に対する比率より高くなるそうです。それだけ、魚アレルギーが多いのだと思いますし、今後、食物アレルギーの中でも、重要なアレルゲンとして、ますます認識の高い食品の1つになると思います。 それは、古来から、日本人は魚を多食してきていますし、刺身など、非加熱で食べる機会が多いからだと思います。また、海洋汚染や養殖に使われる餌に混入した抗菌剤や抗生物質なども、魚に対する症状を増やしている、主な原因だと考えられています。 「卵・乳なら、3歳で約5~6割、6歳で約7~8割の子が寛界する」と言われているのに、年齢が上昇するに従い、魚に対するアレルギーが増えているのも、少し厄介なところです。 魚でアレルギーとなりやすい種は、タラ・サケ・ホッケ・カレイ・イワシ・サンマ・サバなどの大衆魚であり、すぐに手に入りやすく、離乳食にも多く使われる素材であることに気づくと思います。 魚の主要アレルゲンとなるタンパクは、筋肉に含まれれるパルブアルブミンとコラーゲンだそうです。そのうち、パルブアルブミンに対するアレルギーを示す場合が多いようです。これは魚の筋肉にある主要タンパクであるため、他の魚に含まれるパルブアルブミンと類似構造をもっていることが多く、1つの魚に対するアレルギーがあると、複数の魚に対して、アレルギー症状を示すことも珍しくありません。また、カエル肉との交叉性もわかっているそうなので、魚アレルギーがある場合には、カエル肉を代替食品として利用する場合も、症状が出ないかどうかを注意をした方が良いと思います。稀ではあるものの、このカエル肉でアナフィラキシーを起こした例もあるそうです。 もちろん、共通抗原があるから、すべての魚がダメなわけではありません。すべての患者が、バルブアルブミンのみをアレルゲンとするわけでもないし、バルブアルブミンも1種類ではないため、アレルゲンとなるタンパク種の含有量が少ない魚もいるわけですから。 また、魚に対して症状を示す原因には、上記以外にも、鮮度や消化能力、仮性アレルゲンなどの問題が関与してくることも多いようです。それらも踏まえて、離乳期からの魚アレルギーの予防・対策を列記したいと思います。 <離乳食・幼児食> ★離乳食で魚を与える場合には、抗原性が低い魚(東京医大方式・食物抗原強弱表の抗原度1~2:参考書物は、こちら♪)から、開始すること。一般育児書におすすめとして掲載されている魚は、入手しやすいかもしれませんが、アレルギー症状の出やすい魚が多いと思います。例えば、タラ・鮭・カレイなど。 ★最初に与える時は、体調が万全な日の、病院が診療日の午前中にすること。万が一の場合、すぐに病院に行くことができます。下痢などの症状が続いている場合など、腸内環境が乱れている場合には、新たなタンパクの負荷をおすすめしません。特に、月齢が低いほど、注意をして下さい。周囲に流されないように… 焦って与えると、腸内環境が乱れ、腸粘膜が荒れて、アレルゲンでないものがアレルゲンとなったり、多くの食物に症状が出やすくなります。 ★魚の選び方などは、下記参照♪ ★必ず、2度湯でをしたあと、3度目にゆでたスープからはじめ、与える身も3度目にゆでたものを与えること。野菜類と異なり、スープでも強い症状が出る場合があります。進め方の参考例として、スープを唇に塗布→スープ1さじ(離乳スプーン)→スープ2~3さじ、もしくは、欲しがるだけ(ただ、欲しがるからといって、多量に与えないこと)→身ほんの少し→身1g→身2g→身5g…と量を増やしていきます。1日に行う負荷を、どこで区切るかは、家庭のご判断ですが、一気に進めないようにすること(各負荷の間隔は、最低約15分あけることが理想)。例えば、1回目は、唇の塗布→スプーン1さじで終え、2回目はスープを好きなだけなど。また、1回目と2回目は、最低でも中2~3日あけてから、負荷を行うこと。以降、同様です。 <魚の選び方・調理の仕方・食べ方のポイント> ★二度湯でをして、灰汁抜きを忘れないこと。魚に含まれる脂肪分で発症する例もありますので、魚を選ぶ時は、脂身の少ない部分を選ぶこと ★アレルギー症状が強く出る体質、もしくは腸がもともと弱い子の場合は、二度湯で後、さらに圧力鍋などで、しっかりと加熱をすることで、タンパクが変性されるので、症状が出にくくなります。 ★食物連鎖による、魚の汚染を考慮すると、大きな魚がダメでも、小さい魚ならOKというお子さんもいるようです。 ★鮮度・旬の時期・養殖・天然、食べる時間帯によって、症状が出る場合と出ない場合があります。 ◇鮮度:朝一で、鮮度の良い魚屋さんで購入・即調理、家庭の冷凍庫では、ドアの開閉により、温度差が激しくなるので、なるべく早く食べるようにして、長くても、1~2週間が理想のようです。また、切り身よりは、丸1匹を購入する方が良いそうです。鮮度の問題もありますが、色などの退色を防ぐため、薬品をかけてある場合があるそうです。 ◇旬:旬以外の魚を食べると症状が出て、旬の魚だとOKな場合もあると思います。 ◇養殖・天然:養殖には抗菌剤や抗生物質などの餌が使われている場合があり、それに反応をしてしまって、症状が出る場合があります。その場合は、かなり高価にはなりますが、天然魚がおすすめです。 ◇食べる時間帯:午前中は消化能力が高く、午後から夜にいくほど落ちてくいくので、午前中に食べると、症状は出ないけど、夜に食べると、症状が出る例もあるようです。 ★ある魚に症状が出たら、その魚が属する科と同じ魚類は、症状が出る可能性が高くなるので、別の科に属する魚類を選ぶこと。例えば、サケで症状が出た場合には、ワカサギ・イワナ・アユ・マスなど、同じサケの仲間には、症状の出る可能性が高くなると思いますので、例えば、スズキの仲間のキスやイサキ、タイを利用してみるなど… ★魚の代用:魚らしくない形をしたものを与えると良いそうです。エイ・サメ・アンコウ・ハモ・ウナギ・タコ・イカなど。ただし、ウナギは養殖が多いため、症状が出やすいそうです。また、哺乳類になりますが、クジラ肉などもタンパク源としては、貴重な存在になります。 ただ、上記のことをトライしても、駄目な場合は、肉類・大豆や豆類など、他の食品からの栄養摂取を中心にしないといけないそうです。あとは年齢的に、徐々に克服できるか、だと思います。友人の話ですが、最初はまったく魚類が食べられなかったそうですが、例えば、2歳になると、Aという魚なら約5g、Bなら約半切れ、3歳になると、食べられる量が増えたり、他にも食べられる種類が増えたようです。もちろん、食べられるようになったからと、頻回に与えると、逆戻りをしたこともあったようですが、月齢とともに消化能力があがり、例え、1種類でも2種類でも食べられるものが増えていく成長をじっくりと見守ることも必要なのだと思います。 <妊娠中・授乳期の魚アレルギー予防> ・生魚を極力控えること。特に、刺身やお寿司は、妊娠中・産後、手軽で食べやすいのですが、生は抗原性が高く、アレルギー症状を誘発しやすくなりますので、特に、家系的に、アレルギー・アトピーがある場合は、しっかりと加熱したものを食べるようにすること ・同じ魚ばかりを食べずに、いろんな種類の魚を適度に回転させて食べること。また、大豆・豆類・肉類などと、いずれにも偏り過ぎないように食べること <おすすめのショップ> ★天然活魚の百貨店「濱屋」 ★魚々ネット うちの下の子は、検査に出ないアレルギーでした。実際に食べたり、母乳経由で判断するしかありませんでした。10ヶ月頃から、魚を試しはじめましたが、ニジマス・アユ・太刀魚・花鯛などで作った、上記のスープで目を激しくこすったり、上の子が金目鯛・アジ・赤魚などを食べながら話しかけると、痒みで、目の周囲をはじめ、顔が真っ赤、また、1歳半頃には、私が魚を調理中に味見したスプーンを用いて(完全なミス)、ご飯を触ったら、顔中、蚊に刺されたような蕁麻疹でボコボコ、2歳前になり、負荷を再開したものの、スープ1さじ、もしくは身ほんの少しで、食後数分以内の嘔吐が、キビナゴ・ウナギ・ホウボウでした。 そのため、今回の定期検査で、魚類を調べてもらったら、カレイ・イワシ(RAST2)、ウナギ・サケ(皮膚テスト+)でした。タコとイカは陰性でした。やっと、魚アレルギーが確定し、ホッとしたものの、心境は複雑です。 参考までに、検査と実際の症状を比べてみると、明らかに、魚の共通抗原にはまってそうです(苦笑)。 (症状+) (検査結果+) (サケの仲間) アユ・ニジマス → サケ (スズキの仲間) 花鯛・太刀魚・アジ・サバ(母乳経由) (ニシンの仲間) キビナゴ → イワシ (ウナギの仲間) ウナギ → ウナギ (金目鯛の仲間) 金目鯛 (カサゴの仲間) ホウボウ・アカウオ (カレイの仲間) → カレイ *ウナギも魚類のパルブアルブミンと共通抗原があるそうです。 「アンコウも試したら?」と検査前に言われていたけど、カレイの仲間なので、症状が出る可能性も高いですね。母乳経由で症状が出ていた貝類・サバなどは除去をして、あとは、随時、症状が出るたびに、除去の魚の種類が増えていました。それでも魚全般の除去をせずに、減感作療法の1種で、食べさせて慣らせる方法もあるからということで、1歳頃から約1年かけてきましたが、母乳経由で無症状であったけれども、体質的には、この方法はあわなかったのだと思います。魚類全般の完全除去の方が良かったのかもしれませんが、別に後悔はしていませんし、検査結果が出た金曜日(5日)から、完全除去することに決めました(笑)。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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