テーマ:世界の歴史(88)
カテゴリ:🔴 C 【文化・歴史・宗教】
このところ、日記を書く時間がなかったのだが、やっとすこし時間が取れた。
昨日の日記で、ハリー・ポッターの映画がつまらないと、さんざん書いた。 期待が大きかっただけに、「な~~んだ」という感じだったのだが、今日は、もう一度、どうしてハリー・ポッターが世界中でベストセラーになって、(映画ではあるが)それが私にとって面白くなかったのか?その理由を考えてみた。 その理由だと思われるその一つは、昨日の日記にも書いたのだが、ハリー・ポッターをはじめとして、魔法使い達が空中飛行をするシーンが、映画館でこの映画を観ればなかなか浮遊感・爽快感があって、視覚的に面白いだろうということだ。 これは、私が「スパイダーマン」を見て感じたことから想像がつく。 もっとも「スパイダーマン」は、米国の家族親戚達が観に行くというので、おつきあいしたのであって、自分ではちょっと観ない種類の映画だろうとは思うのだが。 もう一つの理由だが、key word は ケルトだと思う。 ハリー・ポッターにしても、「ロード・オブ・ザ・リング」(長いので以降、「指輪物語」とする)にしても、スコットランドが舞台で、スコットランドは、ケルト民族の土地である。 前に書いたように、英国・イギリスというのは、ケルト民族が住んでいたところに、北欧系の民族(主にアングロ族とサクソン族)が侵攻して、アングロ・サクソン優位の国家として今に至っている国である。 アングロ・サクソン族は、イングリッシュと呼ばれて自分の国、イングランドを打ち立て、その他のケルト系民族はそれぞれ、ウエールズ・アイルランド(アイルランド共和国+北アイルランド)・スコットランドという国を作り、それが連合して、英国という連合王国を形成している。 このケルト民族というのは、欧州の原住民という形容もされる民族で、確か今のトルコ近辺の小アジアの地から移動して、欧州全体にその血を拡散させながら、結局、国家レベルで生き残っているのは英国だけという民族だ。 古代ローマ帝国を攻めたときのケルト人は、金髪で、凶暴を通り越して残酷なほどに勇猛だったようだが、ケルトの後にゲルマン民族が現れて、これも金髪で、ケルト人を上回る勇猛な野蛮人だったようだ。 ケルト人は文字を持たない民族で謎の部分が多いが、近年、ケルトブームだそうで、ケルト関係の本もかなり出版されている。 ご多分に漏れず、私も買ったが、ケルト自身の歴史はそれほど詳細にはわからない。 しかし、最近いろいろの出土品があり、その方面からの研究も盛んらしい。 前置き的な話が長くなったが、私の言いたいことは?、ケルト人はイングランド人、つまり冷徹なアングロサクソンと正反対の性格の持ち主だと言うことだ。 出土品はとても装飾的で独特のものだし、ケルト文化はかなり呪術的なものだったらしい。 ということは、合理的・科学的というよりは感覚的・感情的な文化だと言うことだと思う。 スコットランドの奥地には、「ブリガドーン」という一種の桃源郷があって、何十年に一度、その姿を現すそうだ。 その村に、ジーン・ケリーとヴァン・ジョンソン(だったと思うが)の二人のアメリカ人の青年が霧に巻かれて迷い込み、ジーン・ケリーはその村の美しい娘、シド・チャリースと恋に落ちた・・・というMGMのミュージカル映画がある。 シド・チャリースによれば、映画の撮影中、ジーン・ケリーは、アイリッシュ特有の気むずかしさで、スコットランドの天気のようにスタッフを手こずらせたという。 私の知っているケルト系の人物は、イギリスに於いても(ウエールズ人・アイリッシュ・スコットランド人)、アメリカに於いても(アイリッシュ系米国人)、そろいもそろって感情的な人々である。 英国におけるケルト人達は、かなり混血していることもあって、表面的にはアングロサクソン(イングランド人)とそれほど見分けがつかないことが多いし、冷徹で他人行儀な、それでいてスマートで人をそらさないイングリッシュより、初対面では気さくで人なつっこい。 それに世界的な「英国人」への平均的なイメージを意識していて、かなりアングロサクソン的な振る舞い・言動をとることが多いが、パブでスコッチを飲めば、すぐ本性が出る。 アングロサクソンは、日本人の期待に反して、パブでスコッチなど飲まない。 馬の小便のような生ぬるいビターやエールを、かならずチビチビと飲む。 ケチだから日本人の様に一気飲みなどしないし、駆けつけビール三杯などで「プファ~~!」などやらない。 日本人の期待に沿って?ウヰスキーを飲むのは、ケルト系英国人である。 アイリッシュはウヰスキー発祥の地のスッキリした飲み口のアイリッシュ・ウヰスキーを、スコットランド人はスコッチのシングルモルトなどを飲む。 (あくまで原則だが) その上で、一部のケルト系英国人は飲むほどに酔うほどに、アングロサクソンへの敵意を口にしだして、私達が同調しようものなら一気に「アンチ・イングリッシュ」の酒盛りになったりする。 話す内容も、もうとても英国人とは思えないような、ロジックはメチャメチャで感情ばかりのヨッパライ風となる。 これに比べて、イングリッシュは英国ビール中心だから、そう簡単には酔わない。 しかし、彼等もだんだん酔っては来る。 その酔い方も、ちょっと気持ちが悪い酔い方である。 酔っているのか酔っていないのかが判然としないのである。 ケルト系の様に単純明快・感情的な飲み方をしないから、抑えて飲むから、だんだん、目が据わって、身体もグニャグニャになって、態度が変態風になってくる。 イングリッシュはホモ比率が多いから、だんだんこちらへの興味を隠そうととしなくなる。 こちらは「またか?」と言うところではあるが、ケルト系は羊などの方に向かう(失礼!)それが、同性に向かってくるのは気持ちのいいものではない。 アメリカのアイリッシュも感情的である。 それに男尊女卑である。 はじめは冷静で整理されたロジックで語りはじめるが、それはスタートだけであって、すぐ感情が入ってきて、物事に対する評価なども個人的なスタンスが強調され、攻撃性を見せはじめる。 一度感情的にこじれると、自尊心が強いためもあって、なかなか修復が難しい。 自分の理想というものが強くあって、それに反する現実、それに追いつけない自分というものを素直には認めたがらないから、ビジネスなどで彼等のバイアスのかかった意見をそのまま信じ込むと、間違った方向に行ってしまう恐れがある。 まあ、こういうケルト人達だから、夢と魔術と現実が判然としない世界になら住みやすいのだろうと思う。 そういえば、もう10年以上も昔になるが、あるクリスマスイヴに、ある国のホテルの書店にあったものすごく分厚い、美しい挿絵入りのトールキンの「指輪物語」(英語版)を、娘へのクリスマス・プレゼントに買ったのだが、娘がどの程度まであれを読んで、どのような感想をもったか?聞いていない。 娘も血筋はそうではないが、気質はケルトのドルイド(druid 古代ケルトの神官)系だからな~。 (なぜか深いため息) ~~~~~~~~ 【追記】 key word がケルトだといいながら、肝心なポイントを書くのを忘れた。 日本人にとって、ケルトってのは、ただの流行だけれど、欧州人にとっては、先祖回帰を暗示させる言葉だと思う。 たいていの欧州人には、ケルトの血が多少なりとも流れていて、そのおどろおどろしい呪術的な儀式や、魔術や、わけのわからない合理性とは対極の世界に触れると、一瞬、先祖帰りをするのではないだろうか? ケルトの血が、無意識の、深層心理の世界からの呼びかけを心の中に響かせるのではないだろうか? そんな背景があってこそ、欧州人があれほど、ハリーポッターがごとき安っぽい文学に参ってしまったのではないだろうか? それに、トールキンの指輪物語というものに触れて、揺れ動いた心が有ったからこそ、二番煎じのハリー・ポッターにも、心が共振したのではないだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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