薔薇王の葬列「希望」第4話
BLの苦手な方は読まないで下さい。18禁です。あくまで二次創作ですから苦情は受け付けません。何卒お許し下さいませ。m(_ _)m俺はリチャードの首に手をかけた。ゆっくりと首を包み込む指に力を入れて、首を絞めた。リチャードは目を閉じて、顔を歪めて、耐えていた。死にたいという思いが伝わったのかもしれない。リチャードを殺して俺も死ぬ。無理心中は意識が遠のくほど気持ちいい。最高だ。なにせ快楽の中で死ぬのだ。これほど幸せな事はない。俺は希望の光が見えた気がした。貪り尽くす快楽の中で腰を激しく振り、俺はリチャードの首を絞めながら昇天した。その時だった。手を離した瞬間、リチャードが咽び、ハッと我に返った。俺は身体を離した。「一体、何の真似だ?」と、リチャードは言った。「あ、すまない。」俺は謝った。「まったく最後だというのに、手荒な奴だな。」リチャードは起き上がり、不機嫌そうに言った。そして、服を着ると、黙って去って行こうとした。俺は思わず、「リチャード。俺を殺してくれ!あんたに殺されたいんだ!」すがるように叫んだ。本心だった。すると、リチャードは振り向いて、「それがおまえの望みか?しょうがない奴だな。しかし、法に則っておまえを処罰する。俺は王だからな。」と言い、リチャードは牢から出て行った。翌朝、俺は処刑台に連れて行かれた。不思議な事に、死体を誰も片付けに来なかった。牢の扉も一晩中ずっと開いていた。しかし、俺は逃げなかった。逃げたくなかったのだ。俺は羊飼いとは違う。俺には生きる価値すらない。生きるより愛する人と共に死ぬ欲望に負けたのだから。子供の頃から好きだったのは俺のほうだ。愛する人を手に入れる為に王冠で釣った。本当は権力なんていらなかった。俺が欲しかったのはリチャードだけだ。朝霧の中に響く観衆のざわめきと嘲笑が俺を出迎えた。死ぬ前に見る走馬灯はリチャードがいい。リチャードだけを見て、天に召されたい。そんなことを考えながら、俺は処刑台に上った。興奮気味の笑い顔が取り巻く処刑台に、頭からマントを深く被った死刑執行人が静かに立っていた。その華奢な身体と美しい黒髪には見覚えがあった。俺は跪き、首を斬られるのを待った。処刑人を見ると、処刑人は泣いていた。涙が頬を伝う顔を見ると、俺は嬉しくて、悪魔に魅入られたように俺は目を離す事ができなかった。愛というものは夢幻のようだ。愛する人と共に生きたいと願う絶望。愛する人を殺したいと願う希望。希望と絶望は同じ。まるで身体を重ねる愛のようだ。愛は永遠に・・・死は恍惚の中に・・・俺は消えていく。リチャードが斧を振り下ろした瞬間、俺は幸福に包まれて、地獄へと堕ちて行った。 (完)