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カテゴリ:(完結)学生時代の中東の旅
![]() 19XX年01月29日(火) 「 Yat Hotel 」のロビー、何をするでもなく時間をつぶしているときのこと。客の男が3人、ソファで談笑している。そのうちのひとりが、鞄からピストルを取り出し、いじっている。 こちらがその様子を見ているのに気付いて、ピストルの男が声をかけてくる。トルコ語のようなので、何を言っているのか分からない。 「英語とスペイン語なら少し分かる」と英語で応えると、男は(たぶん)ドイツ語で「ドイツ語は?」。ドイツへ出稼ぎに行くトルコ人が多いと聞いている。彼も出稼ぎ帰りなのかも知れない。 唯一知っているドイツ語で「イッヒ リーベ ディッヒ」と応える。ピストル男がにっと笑う。ピストルに触ってみたかったが、触らせてはくれない。たぶん、本物なのだろう。 ビザを取るため Syria 大使館へ行く。午前中に申請すれば、午後受け取れる。まだ受付は始まっていない。20人ほどの列の後ろに並ぶ。 自動小銃を持った警備兵から、身振りで「こっちへ来い」と呼ばれる。「あぁ、面倒なことになる・・・・・」と思いながら彼の方へ行く。警備兵は列の先頭を指差し、身振りで「ここに入れ」。トルコ人は親日的だと聞いている。 「いえ、いいです」という身振りをするが、警備兵は「ここに入れ」・・・・・彼も親日家なのだろう。並んでいるトルコ人の視線を気にしながら、言う通りに従う。 午後、ビザが押されたパスポートを受け取りに、再度 Syria 大使館へ行く。トルコ人以外の申請者7~8人から先に渡される。日本の赤いパスポートは1冊だけ。すぐに分かる。 次にトルコ人の分。係りの男は30~40冊のパスポートを、大きなテーブルの上にバサっとぶちまける。おいおい、大事なパスホートをそんな風に扱っては・・・・・。 ビザ発給手数料、2500TL(約1330円)。 19:00 Syria との国境に近い町 Antakya へ向かう夜行バスに乗る。運賃は2200TL(約1170円)。 途中の町で降りる客、乗ってくる客がいる。窓越しに見ていると、兵隊姿が数人、これからこのバスに乗るようだ。高校生くらいの年齢にしか見えない。 見送りの母親達が声を上げて泣いている。少年兵達も泣いている。徴兵年齢になり、軍隊に行くところなのだろう。反戦映画のワンシーンのよう。 真夜中、バスはトイレ休憩で止まる。暗くて狭い待合室に入る。先程の少年兵達が大人に混じってストーブの周りに座り、黙って煙草をふかしている。 待合室は煙草のけむりが充満し、目に染みるほど。煙草を吸わない者が居られる場所ではない。 ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.11.04 10:56:40
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