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カテゴリ:香港映画
ジョニー・トー!いまだ「PTU」のかっこよさが脳裏をはなれないが、今作はどうか?
会長を選挙で選んでいる香港黒社会の歴史ある大組織、和連勝会。いま会長の座を争っているのは、組織に忠実で年長者を敬う冷静なロクと、イケイケどんどんで、荒っぽいが商売を拡大する才覚はずば抜けているディー。ディーが早々と買収をおこなうも、長老たちの選挙結果はロクに軍配があがる。納得がいかないディーは、会長の証である「竜頭棍」を渡せと現会長のチョイガイに迫る。がしかし、チョイガイは既に竜頭棍を広州に隠してしまった。ロクとディーはそれぞれ部下に竜頭棍を追わせ、追っ手は誰が敵か味方かもわからない状況。ただボスの指示に従うばかり。結局ロクが竜頭棍を得て、ディーも懐柔して万事おさまるが。。。 もっと激しいドンパチを期待していたので、意外と静かな展開にびっくり。カーチェイスとその後の争いの場面は一瞬燃えたけど。日本の昔の極道と一緒で、仁義を非常に大切にする黒社会の構成員たち。そうした中でディーがぐいぐいとのし上がっていったのは、イケイケで仁義や兄弟を無視する場面もあったからだろう。それをおおっぴらにやるディーを長老たちが批判的にみるのもやむなしか。でもロクも同じようなことを秘密裏にやっているんだろうな。 ロク役には任達華、ディー役には梁家輝と渋い演技派を配しているのも見逃せない。若手スターでは、最後に竜頭棍をロクに渡したジミー役の古天楽と、役名は覚えてないが張家輝が激しい場面で活躍していた。でも銃ではなく痛そうな殴り合い。 静かに抑えた映像と音声。黒社会のイメージにぴったりだ。ただ抑えすぎなのか監督の意図なのかわからないが、カーチェイスと最後の場面をのぞいてはちょっと物足りなさが残ったのも事実。黒社会のかっこいい雰囲気ではなく、非情な側面をメインに描いているからかな。話の流れの中で、もう少し華やかさがほしかったかなぁ。でも最後のロクの息子の強張った表情はかなり印象に残ってるから、まあいいか。 後で監督のインタビューを読むと「香港の中国返還以降、政治や文化、経済とともに大きく変わる黒社会の移り変わりを記録したかった」とあったので、盛り上がりやヒーローもなく、あえて抑えて淡々にしたのだな、とわかった。うつりゆく黒社会の記録映画的な今作。香港映画のひとつの記念碑的作品だろう。 公式サイトはこちら 1/25 テアトル新宿 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.10.13 00:52:42
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