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カテゴリ:山歩き
立山頂上社務所の前は登山者・登拝客が一杯で市中の神社の祭礼時の賑わいのような印象を受けます。これだけの賑わいはやはり夏から初秋なのでしょうか? 社務所の壁には、「立山頂上雄山神社由緒」の説明板が掲げてあります。その横に、英文に翻訳した説明板も並べてあります。外国人の登山客も多いということでしょうか。 「由緒」という言葉は、HISTORY(歴史)と訳されています。 祭神として祀られている伊邪那岐神(イザナギノカミ)は、ローマ字表記の後に、「The Almighty God」つまり、「万能の神」と付記されています。また天手力雄神(アメノタジカラオノカミ)は、同様に「The God to Realize Peace of the World」、つまり「世界平和を実現する神」とされています。「由緒」の説明主旨はほぼ翻訳されています。 手許の本では、伊邪那岐神について、以下の説明が記されています。(資料1) 「記紀神話で、伊邪那美神(イザナミノカミ)とともに国生みを行った男神。世界化成の最後に生まれた神で、妻の伊邪那美神と互いにいざなみ合って、万物を産みなす神として出現した。」 同様に、天手力雄神については、同様に「この神は、天岩戸の扉を開く役目を受け持った。手の力が強い大力の神名が与えられた神である。宗教的見地からすれば、天照大神の御手を執ってお出迎えした。すなわち日の神の復活に功のあった神といえるだろう」と。 なるほど、神の位置づけをうまく翻訳しているな・・・と思います。 由緒には、初めに既にご紹介した玉殿岩屋について触れ、佐伯有頼が「文武天皇の勅命により立山全山を賜与されて開山したりと伝う」と記します。「以来立山は阿弥陀如来と不動明王尊を併せ祀り、神仏習合・山岳信仰の大道場」なのです。また、「立山は古来、峰に九品の浄土あり、谿に一百三十六地獄の形相を現すと称され」てきたとあります。 九品浄土というのは、『観無量寿経』に説かれている阿弥陀仏の極楽浄土に、上・中・下品と上・中・下生の組み合わせ、つまり上品上生から下品下生に至る九種類の浄土があるとする考え方です。 社務所の隣に、歌碑と石標が建立されています。 その傍に、左に進めば「大汝山方面縦走路」に入り、右に行くと「頂上御本殿登拝口」の道標が立っています。社務所前で、小休止の間に、頂上本殿を何十年ぶりに参拝しました。 頂上本殿前は狭い空間ですので、20名程度の参拝を順次受け入れていく形です。 雄山頂上の本殿 登拝記念の半券といただいたもの。この鈴、記憶では数十年前と同じ! 今まで、考えたことがなかったのですが、この頂上の峰本社も、ちゃんと住所が特定されているのですね。「富山県中新川郡立山町芦峅寺立山峰一番地 」(資料2)なのです。 雄山の岩頭は、海抜一万尺(3,003m)です。 脇道に逸れますが、ふと富士山山頂の住所は? と気になりました。 調べてみると、「境界未定地」の扱いであり、住所がないそうです。(資料3) 「富士山本宮浅間大社」の本宮の所在地は、静岡県富士宮市宮町1-1、と勿論住所が明確です。「奧宮」については、神社のホームページをみても住所は明示されていません。「富士山頂上」でわかるからでしょう。また「富士山8合目以上は奥宮境内地であり、約120万坪の広さに達します」と記されています。(資料4) 全体を境内地とみれば、境界未定地という形になるのでしょうか・・・・。 尚、夏山シーズン限定で開設される「富士山郵便局」は、この奧宮の社務所内に設置されるそうです。そちらの方では「〒418-0011 静岡県富士宮市粟倉地先(富士山頂)」となっています。(資料5) 本筋に戻ります。 大汝山への縦走路に入ると、まずは室堂平を眼下に見渡す絶景が広がります。 大汝山への尾根歩きの途中で、振り返ってみた立山頂上峰本社です。 東方の眼下には「黒部湖」が遠望できます。 尾根道を歩みつつ、再び西方眼下を眺めた雄大な風景を満喫です。 ズームアップしてとらえた黒部ダム。 足下を見ると残雪が目に止まります。 「標高3,000mの山頂の夏は短く、降雪をみないのは7月~9月中旬までの期間だけである」(資料2)といいます。 そして、大汝山の山頂です。大汝山は標高3,015m。 快晴の立山、ほんとうに恵まれた立山縦走です。登山日和! 最高!! つづく 参照資料 1) 『日本の神様読み解き事典』 川口謙二編著 柏書房 p49,p61-62 2)雄山神社 ホームページ 3) 富士山頂の住所は静岡県? 山梨県知事が国土地理院に「誤解与える」と是正求める 2016.6.4 :「JCASTニューズ」 4) 富士山本宮浅間大社 ホームページ 5) 富士山頂郵便局 :ウィキペディア 補遺 イザナギ :ウィキペディア アメノタヂカラオ :ウィキペディア 本地垂迹資料便覧 :「文字鏡研究会」 左のメニューから「北陸道」→「越中」→「雄山神社」と辿ると、本地とともに 「立山大縁起」が所載されています。 富士山本宮浅間大社 :ウィキペディア ネットに情報を掲載された皆様に感謝! (情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。 その点、ご寛恕ください。) 登る 立山の記憶 -1 室堂からミクリガ池、地獄谷、みくりが池温泉に へ 登る 立山の記憶 -2 室堂平散策(ミドリガ池・立山室堂・玉殿岩屋) へ 登る 立山の記憶 -3 室堂平・ミクリガ池に映じる立山・夕日と雲海 へ 登る 立山の記憶 -4 早朝散策(エンマ台、火山ガス情報ステーション・山崎圏谷)へ 登る 立山の記憶 -5 山荘 ~ 一ノ越 ~ 雄山 へ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.09.24 09:48:41
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