こないだ、東海道線に沿って京都から東京に向かって電車に乗っていたとき。
なんせ、普通列車を乗り継いでの青春18きっぷの旅だったので、読書の時間はたっぷり。
その前から少し読みかけだった「横尾忠則自伝」という400ページほどの本を、けっこう夢中になって読んでいたら・・・。
ようやく、最後のページまでたどりついたと思ったのに「つづく」って言葉で終わってる!!
しかも、その「つづき」とやらは、「未完」ということばと同義語で、まだこの世に存在はしていないらしいので、何時になったら読めるのか、なんて誰も(著者自身も!)知らない。
ちょっと、メゲた。
まあ、兵庫県での少年の頃の生い立ちから神戸新聞社への入社を経て、グラフィックデザイナーとして新境地を拓くべく東京に出て来るまでの関西時代はいっさい書かれていない。
「横尾忠則自伝」の内容としては・・上京して、東京オリンピックの公式ポスターなどで知られる田中一光さんらが創立した当時超一流のデザインスタジオ「日本デザインセンター」に所属したところから始まってる。
横尾忠則は鈴木良夫さん、田中博さん、永井一正さんなどのアシスタントを務めていて。
彼の同僚にはイラストレイターの宇野亜喜良や粟津潔、木村恒久らがいました。
同業者&ライバル関係にあった和田誠とも、この時代から親しい関係が持続しているのも興味深い。
けれども、
三島由紀夫との深い交情のエピソードの数々には驚いた。
交友のあった、というばかりでなく一緒に活動していた
寺山修司の「天井棧敷」との縁もあるけれど、自衛隊での割腹自殺前後の三島とのエピソードなどは、それとは比較にならない。
大島渚監督の映画に主演したり、篠山紀信とインドに出掛けたり、エネルギッシュな創作活動の背景にある行動力を「これでもか」と見せ付けられる。
★最近やってた江戸東京博物館の「平賀源内展」のポスターは横尾忠則の新作でした。
スピリチャルな精神世界、というジャンルそのものが日本にまだ存在していなかった時代に、それをビジュアルで提示してくれた横尾忠則というアーティストが、その肉声で今まで日本人の誰もが挑戦したことのない作品群の制作過程を、実につぶさに語ってくれている本だと思う。
はるるさんが、初めて横尾忠則という才能に出会ったのは、矢崎編集長とデザイン&レイアウト担当の和田誠が製作していた二人三脚のサブカル雑誌のはしり「話の特集」という月刊誌の表紙から、だったかな・・。
日本ではその時代が生んだ「ぬえ」のような存在としてしか評価されなかった彼が、何の気なしにふらりと立ち寄っただけのニューヨークで、そしてヨーロッパで、思いがけず正当に評価され、賞賛されて行くその過程が、たんねんにしかも淡々と描写されているけれど、思わずわくわくと胸躍らされる場面だ。
カルロス・サンタナのアルバム・デザインを横尾忠則が手がけたってことは、彼自身の想像以上に世界的にスゴイことだったらしい。NY滞在中ふたりに招かれて、ジョン・レノンとヨーコ夫人のアパートメントに個人的に出入りしてたってのも、おいらには驚きだったけど。
まあ、考えてみれば「横尾忠則自伝」という本は、本人がまだ生きて活躍してる最中なんだから、未完のままでアタリマエということか。
でも、早くこの「つづき」が読みたい。
それにしても、横尾忠則というひとの作品は、どうしてこんなにもおいらを魅惑させ続けるんだろう。
今まで、見たことの無いような「禍々しい異界」への扉だから、なんだろうか。
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