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地球人スピリット・ジャーナル1.0

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2009年4月1日

地球人スピリット
・ジャーナル2.0


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2007.03.08
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「成就者たち」 
佐木隆三 2000/5 講談社


 この手の文章をなんと呼べばいいのだろう。単行本としては2000年5月にでているが、初出は1998年3月から1999年12月まで「群像」に連載されている。公判をとおして見えてきた麻原集団の全貌を元に、作家達が競って物語に再構成しているようで、半分は興味深かったが、半分は、あまりいい気持ちはしなかった。いわゆるノンフィクションでもないだろうけど、まったくの独立した小説ともいいがたい。人物の名前や事件名などは微妙にぼやかされているが、日時やストーリーの動きからすると、間違いなく実際の人間界の動きをストーリーとしてまとめ上げられているものである。

 主人公として登場するのは、14歳の少年、坂東孝明、教団名キサッチャ師、15歳で自己ポアするというストーリーだ。実名でもなければ、実在もしていなかった人物を登場させて、実際にあった事件を語らせた、という「小説」なのだと思う。そもそも、「少年」の名前などが公表されるはずがない。私はこのような「小説」をどのように読むべきなのだろうか。まったくのフィクションならフィクションとして読むのだが、実際に書かれている内容は、大体がマスメディアを通して知っている実在した団体の実際の事件の内容だ。どこまでが事実なのであり、どこからがフィクションなのか、ちょっと量りかねる。

 全部フィクションなのだとして読んでしまえば、それでいいのかも知れないが、それは不可能に近い。なぜなら、かなりの部分で、実在のストーリーの展開に酷似しているからだ。だから、逆に、いくら作家が想像したものといえ、読者に対して、実在の人物像や事件像に対して「予見」を与えることになり、かなりのイメージづけになってしまうと思われる。第三者として「読み物」として「消費」される分には特に問題もなかろう。しかし、実際にそのストーリーに関わっている人々がいたとするなら、勝手にそういうストーリーを貼り付けられたら、大変な迷惑だろう、と思う。良い書き方にせよ、悪い書き方にせよ、迷惑なのではないだろうか。

 もともと、現実と文章では、同じことであるはずはない。現実は、時間と空間として次から次へと進展しているのであり、それを切り取って文字化して残すわけだから、すべてにおいて文章は「事実」ではない。手法として「ノンフィクション」であろうが「報道」であろうが「小説」であろうが、「事実」では有りえない。「事実」から「文章」として切り取った立場の人間の大いなる恣意が含まれてしまうのは当然だ。そういう意味からも、この本は、フィクション、小説、として読み飛ばしてしまったほうがいいのだろう。

 佐木隆三のほかの作品、例えば
「慟哭」などとは、別個なものとして読むべき本なのだろう。しかし宮内勝典の駄作といい、この作品といい、「群像」という雑誌に連載された、ということになっている。一体、このような「ノンフィクション」まがいの「つくりばなし」を大量に消費するマーケットというものは一体なになのだろうか、と思う。なにか事件があると、「善意の第三者」ぶったワイドショー的なマスメディアが、加害者も被害者もなんの区別もなく取り囲み、あることないこと「血祭り」にしてしまうマスメディアたちに「良心」なんてあるのだろうか。

 読み手の私としては、物陰から出演者たちの「演技」を楽しんでいるだけでいいのかも知れないが、もし私が、突然「出演者」に仕立て上げられて、一人スポットライトに照らされて、物陰からの無数の視線に晒されたとして想像してみた場合、とてもおだやかな気分ではいられないだろう。この小説においても、事実が事実として書かれており、フィクションがフィクションの効用してその効果を最大に発揮しており、書き手も読み手も、書かれた「成就者たち」も納得しているなら、それでいい。しかし、私は、良き「読み手」でもない、まったくの通りすがりの「第4者」でしかないが、どこかで納得しないものを感じる。





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Last updated  2009.02.10 18:00:36
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