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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2009年09月19日
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充足感に満ちたアメリカン・ロック形成過程のドキュメント


 "アメリカン・ロック"の定義というと難しいが、現在に至るアメリカン・ロックのサウンドは70年代を通して形成され、熟成されていったという点はあまり異論がないだろうと思う。そんななかでウエスト・コースト(西海岸)のロック・バンドが果たした役割は大きい。そして、イーグルス(参考記事)と並ぶウエスト・コーストの代表格といえば、このドゥービー・ブラザーズである。

 ウエスト・コーストといっても、当初のドゥービー・ブラザーズは、南部(サザン)ロック色も濃い。1970年に結成されてからしばらくの間のドゥービー・ブラザーズの諸作は、そうしたアメリカン・ロック形成期の貴重なドキュメントであると同時に、軽快でありながら野性味のあるロック・サウンドを創造していたことを如実に示していると感じる。その中でも、筆者がとりわけ"創造的"と感じるのは、1974年発表の本盤『ドゥービー天国(What Were Once Vices Are Now Habits)』である。

 上に挙げたように、本作『ドゥービー天国』の原題は、『What Were Once Vices Are Now Habits(かつての悪習は現在の習慣、の意)』である。グループ名になっている"ドゥービー"(マリファナの隠語)のことを言っているわけだろうが、それに加えて、米国におけるロックそのものの進化を暗示するタイトルのような印象も受ける。
 本作のハイライトは4.「ブラックウォーター」である。しかし、全体を通して聴いてみると、「ブラックウォーター」が本作全体のカラーを代表するというよりは、むしろ全体の中で異色であり、極論を言ってしまえば、アルバムの中で若干"浮いた"曲であるとの印象を受ける。つまるところ、「ブラックウォーター」は文句のつけようのない名品で、これはこれで筆者としてもドゥービーの楽曲の中では好きな曲の上位なのだけれども、逆説的ながら、この曲だけで本盤の価値は測れない。

 では、何がこのアルバムの特徴なのか。前作『キャプテン・アンド・ミー』がヒット曲連発の、言い換えれば、親しみやすい趣向であったのに対し、本作『ドゥービー天国』はより地味である。前作のヒットで人気の頂点に達しつつも、メンバーが新たな試みを目指していた。この点こそが、本盤の真価と言える気がする。

 実際、1.「君に捧げし歌」と2.「スピリット」の地味でありながら、完璧な構成力は、アルバム序盤から聴き手を黙らせてしまう力があるように思う。6.「ロード・エンジェル」では、ギターとドラムの厚みを生かしつつ、サザンロック的なサウンドを目指し、7.「キャント・ストップ・イット」ではファンキーなノリさえ見せる。9.「ダウン・イン・ザ・トラック」はやや変則的なリズムとギターの実験性が目立つ曲でありながら、既に完結した作品として出来上がってしまっている。アルバム終盤の聴き所は、最初の2曲と同様に見事な構成力が生かされた11.「砂浜の娘」と、幻想的な短いインスト曲の12.「フライング・クラウド」。さらに上で挙げた1.や7.などいくつかの曲では、これまでにないホーン・セクションの導入も試みている。

 つまるところ、本盤は実験性と構成力の妙が見事に成功した1枚である。それだけに派手さに欠けるアルバムでもあるわけだが、ドゥービー・ブラザーズそのものの進化、さらにはアメリカン・ロック・サウンドの進化を知るには必須の1枚であり、聴いた後の充足感の大きいアルバムだと思う。蛇足ながら、本盤のジャケは一見ライブ盤のように見えるが、まったくそうではないので、お間違えなく。



[収録曲]

1. Song To See You Through
2. Spirit
3. Pursuit On 53rd St.
4. Black Water
5. Eyes Of Silver
6. Road Angel
7. You Just Can't Stop It
8. Tell Me What You Want (And I'll Give You What You Need)
9. Down In The Track
10. Another Park, Another Sunday
11. Daughters Of The Sea
12. Flying Cloud

1974年リリース。





 
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Last updated  2016年02月18日 20時47分00秒
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