テーマ:クラシックロック(754)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
よき時代のストレートなアメリカン・ロック トム・ぺティは1950年、フロリダ州で生まれ育ったアメリカン・ロック・アーティスト。若い頃には出身の町で出会ったドン・フェルダー(元イーグルスのメンバーで、「ホテル・カリフォルニア」のギター・ソロの演奏者)からギターの手ほどきを受けたという。1980年代後半には、大物集合の覆面ユニット、トラベリング・ウィルベリーズにも参加している。 トム・ぺティがデビューしたのは1976年で、その時からハートブレイカーズを率いての登場であった。本作『破壊(Damn The Torpedos)』は、1979年に発表されたサード・アルバムである。デビュー以来のハートブレイカーズとともに演奏しており、トム・ぺティにとっての出世作となった。ちなみに、本アルバムは、全米アルバム・チャートでは7週連続2位(1位ではなく「2位」!)という記録を樹立しており、この間、1位に上がることを阻んでいたのはピンク・フロイドの『ザ・ウォール』だった。 本盤は基本的にはストレートな直球で迫るアメリカン・ロックのアルバムである。エッジの利いた洗練された音作りに好感が持てる。そのサウンドの立役者は、ブルース・スプリングスティーンから紹介されたという共同プロデュースのジミー・アイオヴィンである。それでいて、アルバム全体で見ると、ただ突っ走るだけではなく、やや肩の力を抜いてリラックスした雰囲気の楽曲も含まれる。契約問題でもめていたとはいえ、3枚目のアルバム制作ということで、トム・ぺティの側にも余裕が出てきたということかもしれない。 本アルバムからは3曲がシングル・カットされている。シングル発売された順で挙げると、6.「危険な噂(Don't Do Me Like That)」、1.「逃亡者(Refugee)」、2.「ヒア・カムズ・マイ・ガール」である。シングル以外の曲にも佳曲が多く、4.「疑惑の影(Shadow of a Doubt)」などは同じ流れでシングルになってもおかしくない曲だ。5.「センチュリー・シティ」や8.「イン・マイ・ライフ」のように勢いがある真っ直ぐな曲もあれば、7.「ユー・テル・ミー」では次第に盛り上げていく曲調にアーティストとしての成熟と余裕が感じられる。9.「ルイジアナ・レイン」のようなテンポを落としたややスローな曲にも同様の余裕やリラックス感が表れている。曲調にはある程度のヴァラエティがあるが、一貫して統一されているのは、バンドとしての音のまとまりである。必要なところで必要な音がしっかりと鳴っている。とりわけ、ギターとピアノの音に着目すれば、このことがすぐにわかる。 赤の背景に赤いTシャツ・黒の上着をまとい、リッケンバッカーのギターとともにトム・ぺティ一人がおさまっているアルバム・ジャケットは十分にインパクトがある。30年以上たった現在から見ると、ピュアで真っ直ぐなアメリカン・ロックの“よき時代”への郷愁をかきたててくれるこのアルバム・ジャケも、シンプルながらよくできていると思う。 [収録曲] 1. Refugee 2. Here Comes My Girl 3. Even the Losers 4. Shadow of a Doubt (Complex Kid) 5. Century City 6. Don't Do Me Like That 7. You Tell Me 8. What Are You Doin' in My Life 9. Louisiana Rain 1979年リリース。 【メール便送料無料】トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズTom Petty & The Heartbreakers / Damn The Torpedoes (輸入盤CD) (トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016年02月04日 09時40分42秒
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