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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2010年03月18日
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テーマ:洋楽(3285)

アメリカン・ロックの“ボス”が歌う反戦歌の聴きどころ


 この「ウォー(War)」という曲は、エドウィン・スターが1969年に「黒い戦争(原題:War)」として発表したもので、翌年大ヒットし、グラミー賞(R&B部門、最優秀男性歌唱賞)を獲得することにつながったナンバーである。エドウィン・スターは、60~70年代、主にモータウン系列で活躍したソウル・シンガーで、時代の文脈からもわかるとおり、この曲は明らかにヴェトナム反戦歌であった。それを80年代になって復活させ、再びチャート(ビルボード全米8位)に送り込んだのは、アメリカン・ロックのボスことブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)であった。

 この80年代スプリングスティーン・ヴァージョンは、5枚組(後のCDでは3枚組)の大作ライヴ・アルバム『ライブ1975-85』(1986年リリース)からのシングル・カット曲で、実際のパフォーマンスは、前年1985年9月のロサンゼルスでのライブのものである。この演奏は、凄まじい気迫に満ちていて、勢いで聴かせる激しい曲調にアレンジされている。“戦争反対!”という曲のメッセージを見事に体現していると言っていいと思う。メッセージに重きを置いていることは、スプリングスティーンがギターを演奏せず(ヴォーカルのみ)、サックス奏者のクラレンス・クレモンズもサックスを吹かず(コーラスとタンバリンだけ)という楽器担当からもわかる。スプリングスティーンのヴォーカルは、血管が切れそうなぐらい激しい(もともと彼はそのような歌い方をすることが多いが、ビデオ・クリップを見れば明らかなように、本当に血管が切れそうなのだ!)。バンド全体の演奏もピタリと息が合っていて、特にドラム(マックス・ワインバーグ)の切れがいい。スプリングスティーンのヴォーカルの激しさに呼応し、短いながらも非常に鋭いニルス・ロフグレンのギター(純然たるギター・ソロではなく、最後のヴァースの背後でソロ的ギター演奏がかぶさっている)もこの演奏の重要な聴きどころである。いや、正直なところ、筆者はこのニルス・ロフグレンのギターこそがこの演奏の最大の聴きどころと思っている。

 これだけでも十分に素晴らしい演奏内容なのだが、アルバム(『ライブ1975-85』)やビデオ・クリップ(ビデオおよびDVDの『ビデオ・アンソロジー』収録)には、もう少し“おまけ”がついてくるので、お手持ちの方はぜひチェックしてもらいたい。シングル・カットの際は省略されているのであるが、アルバムの方には“前ふり”のマイク・パフォーマンスがある。そのMCでのメッセージの内容は、自分(スプリングスティーン自身)たちは毎晩、戦争(ヴェトナム戦争のニュース)を見て育ったが、今の若い世代(といっても聴衆は80年代の若者なので、現在の中年世代だけれども)は、盲目的に政府や指導者を信じてしまっていたら、いつか自分たちが死を見ることになるぞ、という警鐘を発しているのである。

 もう一つ、ビデオ・クリップの方には若干の仕掛けがあって、曲の最初と終りにテレビを見ている親子の食卓の映像が挟み込まれている。そのテレビの内容は戦争の放送である。曲のクリップの最後にこの場面がもう一度登場する。だが、その食卓には、曲の前の最初の映像にはいた一家の息子が消えていなくなっている(つまり戦争に行って死んでしまったことを暗示する)というものである。

 ちなみに、この時に「ウォー」をヒットさせた後も、スプリングスティーンはこの曲を何度もライブで取り上げている。同じ80年代後半には、国際NGO団体、アムネスティ・インターナショナルのライブ・ツアー(スティング、ピーター・ガブリエル、トレーシー・チャップマンらとのツアーで、来日時には現地アーティストとして宇崎竜童も参加)でもセットリストに含まれていた。また、その後、2000年代に入ってからも、イラク戦争時に繰り返し取り上げて演奏している。


[収録アルバム]
Bruce Springsteen & The E Street Band / Live 1975-85 (1986年)
Bruce Springsteen / The Complete Video Anthology 1978-2000 (2001年、DVD)




 
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