カテゴリ:洋ロック・ポップス
文句なしにかっこいい全盛期ライブは初めて聴く人にもおすすめ フォガット(あるいはフォグハット、Foghat)は、サヴォイ・ブラウンを飛び出したメンバーたちが1971年に結成した4人組。主に70年代中盤から後半にかけて、ベアーズビル・レーベルを代表するアーティストとして、米国を中心に人気を集めた英国のバンドである。メンバーの入れ替わりや後には一時期解散、さらには分裂した同盟バンドが二つ存在する時期、2000年には主要メンバー(創設メンバーの一人でバンドの中心を担っていたロンサム・デイヴことデイヴ・ペヴァレット)の死去といった様々な経緯を経て、現在ではオリジナルメンバーは一人(ドラムのロジャー・アール)だけではあるものの、バンド自体は現存している。ちなみに“霧(fog)の帽子(hat)”を意味するこの奇妙なバンド名は、上記のデイヴが子供の頃に言葉遊びのゲームをしている際に思いついた名称を利用したものだという。 本作『フォガット・ライヴ(Foghat Live)』は1977年にリリースされた、彼らにとって初のライブ盤である。この時点で若干のメンバー入れ替わり(結成時からベーシストが二度交代し、前作から米国出身のクレイグ・マクレガーが務めている)はあるものの、、基本的にデビュー以来彼らが積み重ねてきた音楽の集大成的な内容で、なおかつ代表曲とされるものも含まれている。通常、ライブ盤は元ヴァージョンを知った上で聴いた方がいいと思うことが多々あるのだけれど、フォガットに関しては、本盤から聴き始めるというのもいいように思う。そして、その理由は、以下に述べるような彼らの音楽性に起因すると言えそうだ。 上述のように、フォガットはブルース・ロック・バンド、サヴォイ・ブラウンの中から出てきた。1970年代、ブルース・ロックを発端とする音楽の流れは、ハード・ロックへと注ぎ込んで行くことになる。ハード・ロックというジャンルが確立される中で、“ブルース”という要素はどんどん薄れていくわけだが、そんな中、フォガットが向かっていったのは、そうした“正統派”ハード・ロックとは大きく異なる方向性だった。確かにハードなリフは繰り出すのだが、“ブルース”の部分が“ブギー”という形で継承されていく。結局、彼らが本盤の頃までに辿りついた境地とは、ブギーのリズムに、ツインギターやスライドギターを生かしたハードなリフというスタイルであった。このライブ盤を聴けばよくわかるが、この境地にいたっては、白人がブルースを解釈し始めた当初の躊躇というか遠慮(あるいは不安感?)のようなものが、まったく感じ取られない。自分たち自身が切り開いてきた地平を、自信を持って大音量で気持ちよく演奏している。いや、ライブ録音だからこそ、そうした感覚がなおのこと伝わってくるように思う。 ちなみに、1.「フール・フォー・ザ・シティ」と6.「スロウ・ライド」は、ヒットアルバム『フール・フォーザ・シティ』(1975年)からのシングル曲で、特に後者は全米20位に食い込んだ彼らの代表曲のひとつ。3.「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・メイク・ラヴ・トゥ・ユー」はマディ・ウォーターズで有名なお馴染みのブルース・ナンバーだが、フォガットのデビュー作(『フォガット』、1971年)にも収録されていた。この曲を聴けば、ブルースがどういう風に彼らの中で形を変え、普通のハードロックとも違う音楽に行き着いたのかがよくわかるだろう。なお、現行国内盤(輸入盤については未確認)の『フォガット・ライヴ+1』では、同曲のシングル・エディット・ヴァージョンも収録されている。 1980年代を迎えると、フォガットの音楽的な旅はさらに別の方向へと舵を切り始める。その意味でも、絶頂期の彼らの姿を生き生きととらえた本盤は、初めて聴く人にもイメージがつかみやすいし、なおかつ彼らのキャリアの中で最も勢いのあった瞬間をとらえたドキュメントとしても優れた一枚と言えるのではないだろうか。 [収録曲] 1. Fool For The City 2. Home In My Hand 3. I Just Want To Make Love To You 4. Road Fever 5. Honey Hush 6. Slow Ride 7. I Just Want To Make Love To You (single edit) *『+1』収録のボーナス・トラック 1977年リリース。 下記3つのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年05月03日 20時26分35秒
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