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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2011年01月26日
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90年代を迎えたトム・ウェイツの実力発揮盤


 トム・ウェイツ(Tom Waits)は1949年米国出身のシンガーソングライターで、今年ロックの殿堂入りを果たした。1973年にアルバム『クロージング・タイム』でデビューし、“酔いどれ詩人”として親しまれる。70年代はアサイラムからジャジーさを生かしたアルバムを何枚も残し、80年代になるとアイランド・レーベルへ移籍してより実験的サウンドを試みると同時に、役者としても開花した。そんなトム・ウエイツが90年代を迎えて発表したアルバムが本作『ボーン・マシーン(Bone Machine)』であった。

 本盤は1992年に発表され、グラミーの最優秀オルターナティヴ・アルバムを受賞した。本盤制作にあたってトム自身は“急にパーカッションに目覚めた”と述べており、鍋や農具を叩いてのパーカッションという不思議な試みもしている(全編を通してこの奇妙なパーカッションが結構耳につく)。ロックという枠でもシンガーとしてでもない、“オルターナティヴ”というジャンルでの評価は、本盤の性質をよくあらわしていると同時に、この頃以降のトム・ウェイツのスタンスもよく表していると思う。

 1970年代からのファンの中には、ちょうどこの頃からトム・ウェイツについていけなくなったという人もいるようだ。筆者もどちらかというと、“酔いどれ詩人”と呼ばれていた頃のトムの方が全般的には好みである。けれども、あえてトムは実験的なスタンスを崩さなかった。結果は、個人的好みとは別に、ロックもしくはポスト・ロックの音楽が示しうる可能性を存分に表現しうるものに仕上がったと思う。

 その一方で、70年代からのシンガーソングライターとしての腕前もさりげなく顔を覗かせている。これがあるから以前からのファンも目を離せないのだと思う。かつては、デビュー・アルバムの「オール’55」がイーグルスによってカヴァーされた。他にもB・スプリンスティーンによる「ジャージー・ガール」、R・スチュワートが流行らせた「ダウンタウン・トレイン」、果てはS・ジョニーによるカヴァー・アルバム(参考記事)など、この人は実に美しい曲を書くことでひそかに知られている。有名アーティストのカヴァーがなくとも、「タイム」の美しさだけでも、筆者としては既にノックアウトである。本盤でもその片鱗は消えておらず、5.「フー・アー・ユー」などは超極上の逸品だと思う。

 1.「地球の断末魔」を聴いた時点で、以前からのファンは見事に期待を裏切られるかもしれない。けれども、アルバムを聴きすすむにつれて、その”疑惑”は杞憂であるように感じられる。上記5.「フー・アー・ユー」のみなならず、13.「ホイッスル・ダウン・イン・ザ・ウィンド」なども同様にトム節が炸裂する。さらに、12.「ブラック・ウィングズ」などは、トム・ウエイツがやりたかったことを案外的確に表しているのではないかと思う。従来のスタイルを引きずりながらも新たなサウンドを持ち込む。その上で”オルターナティヴ”というジャンル(グラミー受賞)で認められたというのは、実はトム・ウェイツのアーティストとしての力量・懐の深さを存分に示しているということなのかもしれない。 

 この文章全体からも伺えるかもしれないけれども、実際のところ、個人的にはトム・ウェイツのアルバムとしてはもっとお気に入りが他にある。けれども、こういう無ジャンル化後のトム・ウェイツもまた魅力的と思うし、本命アルバム群についてはいずれ機会が巡った時に改めて書くことにしたいと思う。



[収録曲]

1. Earth Died Screaming
2. Dirt in the Ground
3. Such a Scream
4. All Stripped Down
5. Who Are You
6. The Ocean Doesn't Want Me
7. Jesus Gonna Be Here
8. A Little Rain
9. In the Colosseum
10. Goin' Out West
11. Murder in the Red Barn
12. Black Wings
13. Whistle Down the Wind
14. I Don't Wanna Grow Up
15. Let Me Get Up On It
16. That Feel

1992年リリース。




 
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