テーマ:クラシックロック(754)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
パクリ疑惑はあれども、カッコいいので許される? “スーパースター”ロッド・スチュワート(Rod Stewart)は、とくに米国進出以降、何かとお騒がせなスキャンダルを振りまいてきたアーティストである。4人の女性との間に7人の子がいて、ブロンド女性好きを公言。さらについ先頃(今年2月)には、8人めの子となる男児が誕生し、66歳にしてパパとなった。身長は実は低いという疑惑(?)があり、一説では154cmとか157cmとか。そんなゴシップネタが多い中、ロッドに関してもっとも話題に上がりやすいのが“盗作疑惑”である。特によく挙げられる例は70年代後半のヒット曲「アイム・セクシー」で、ロッドがこれに似た曲(ブラジルのアーティスト、ジョルジ・ベンジョールの「タジ・マハール」)をパクリだと訴えたが、結局、制作年代からロッドの方が後であることがわかり、もと訴えたはずのロッドが盗作を認めるというマヌケな結果に終わっている。 それ以外にも、パクリがささやかれる曲は多い。この「フォーエヴァー・ヤング」もその一つで、パクリ元とされるのは、ボブ・ディランの「いつまでも若く」(『プラネット・ウェイヴズ』に収録)という曲。ディランの方の原題はずばり同じタイトルの「フォーエヴァー・ヤング」で、素人が1回聴いただけでもすぐ気付くぐらいサビがそっくりなのである。 このロッド版「フォーエヴァー・ヤング」が発表されたのは1988年のアルバム『アウト・オブ・オーダー』(およびこの当時のシングル盤)。さらに、1996年のベストアルバム『ベスト・バラード・コレクション(原題:イフ・ウィー・フォール・イン・ラヴ・トゥナイト』)では、この曲のバラード風バージョンも新録している(こっちのバージョンは個人的にはあまり好きではない)。 おそらくこのロッドという人は聴いたことのあるメロディを思わず写し取ってしまう(無意識に切り取って使ってしまう)人なのだろう。悪気や後ろめたさがあれば、ふつうもっと巧妙にやるだろう。つまり、確信犯のパクリにしては手口が稚拙だと言える。要するに、ロッドがついやってしまうのは、悪気のない盗作なのではないか。そんなわけで、個人的にはどこか微笑ましく見えてついつい許してやりたい気分にさせられる。 そんな前提の上でこの「フォーエヴァー・ヤング」である。過去記事でも書いたように、80年代末~90年代初頭のロッド・スチュワートのいくつかの楽曲は、渡米頃までの諸作と並んで個人的に結構好きなのである。この曲を含むアルバム『アウト・オブ・オーダー』ではデュラン・デュランのアンディ・テイラーがギターおよびプロデュースで参加し、さらに、この曲に関しては、スタジオ・ミュージシャンとして密かに実力抜群のマイケル・ランドウもギターでサポートに入っている。サウンドがカッコよく、この頃のロッドのボーカルは生気に溢れている。円熟の、しかし枯れてしまってはいない、微妙なバランスの勢いがある。 “スーパースター”と呼ばれるようになってからのロッドはつまらないと言われたりするが、その下馬評だけでスルーするのはもったいない。ぜひこの「フォーエヴァー・ヤング」や、「ダウンタウン・トレイン」といったヒット・ナンバーを聴き返してもらいたい。この頃の彼の円熟期のよさももっと広く再認識される価値があるように思う。 [収録アルバム] Rod Stewart / Out Of Order (1988年)←とにかくカッコいい、元バージョン収録(スタジオ・オリジナル盤) Rod Stewart / If We Fall In Love Tonight (1996年)←個人的にはあまりおすすめではない、バラード・バージョン収録(コンピ盤) 下記ランキング(3サイト)に参加しています。 お時間のある方、応援くださる方は、“ぽちっと”よろしくお願いいたします! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011年06月01日 06時55分32秒
コメント(0) | コメントを書く
[洋ロック・ポップス] カテゴリの最新記事
|
|