テーマ:ブルース・ロック(62)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
プレイヤーとしての幅+真摯な音楽づくり ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)は、1948年、アイルランド出身のギタリストで、1995年に47歳で没している。1969年にテイスト(TASTE)というバンドでデビューを飾った後、1971年からはソロでの活動を開始。その際の第1弾ソロ作となったのが、セルフ・タイトルの本盤『ロリー・ギャラガー(Rory Gallagher)』というわけである。 このアルバムの評価はどうも二分されるようだ。一方で、この時点からのロリー・ギャラガーの才能を称える聴き手もいれば、他方では、作品としての“中途半端さ”を指摘する人たちもいる。筆者はどちらも一理あると思うのだけれど、後者の評価をもっと肯定的に考えてもいいんじゃないのかな、と思ったりもする。つまり、アルバム作品としてのトーンの“不統一性”が、そのまんま彼の才能の“幅広さ”となって表れているように感じるのである。 1.「ラウンドロマット」は史上最強のオープニング曲の一つ。ソリッドなギターのよさが生かされた彼の代表曲の一つであり、これほどインパクトのあるデビュー作第1曲というのはあまり多くない。 うって変わって2.「ジャスト・ザ・スマイル」は、トラディショナル・フォークがかったナンバー。フォークっぽいテイストというのは、本作中では4.や8.なんかにも見られるが、この手の曲調は時として“ひとりツェッペリン”みたいな言われ方をすることがある。レッド・ツェッペリンを例えにするのがいいかどうかはともかくとして、ロリー・ギャラガーは、ただ単に“ブルースに触発されたギター・ガイ”ではなかった。言い換えると、音楽的バックグラウンドにはそういう一般的イメージよりもっと深さがあったことを再認識させてくれるものである。 もちろんブルース・ロックという範疇で語られる、典型的にロリー・ギャラガー的な曲のよさも出ている。おすすめは5.「ハンズ・アップ」で、ややポップには仕上がっているが、彼らしい曲調が個人的には気に入っている。他には、3.や6.がこの括りにぴったりな曲と言えるだろうか。 本作を締めくくる10.「イッツ・トゥルー」は、劇的な盛り上がりがなく、どちらかというとワンパターンな感じでありながら次第に盛り上がっていくという、彼独特の持ち味が発揮されたナンバー。7分を超える長尺だが、サックスソロのままさらっとフェイドアウトしているところからすると、録音時にはもっと長かったのだろうか(だとすると続きを聴いてみたい気がする)。 とまあ、全曲ではない中途半端なレビューになった気もしなくはないが、とにかく“中途半端”は“多様性の裏返し”という気がする。各楽曲が綿密に練られているというよりは、一つ一つ正直に、素直に作られている感じのアルバムで、密かにもうちょっと聴かれてもいいアルバムのように思う。 [収録曲] 1. Laundromat 2. Just The Smile 3. I Fall Apart 4. Wave Myself Goodbye 5. Hands Up 6. Sinner Boy 7. For The Last Time 8. It's You 9. I'm Not Surprised 10. Can't Believe It's True 1971年リリース。 *現行のリマスター版CDにはボーナス曲2曲が追加されているが筆者は未聴。 【Aポイント付+メール便送料無料】ロリー・ギャラガー / ロリー・ギャラガー[CD][初回出荷限定盤(初回生産限定盤)] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年07月20日 06時46分05秒
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