テーマ:洋楽(3296)
カテゴリ:洋ロック・ポップス
ブームのおかげで奥深い盤が残った プリテンダーズ(Pretenders, The Pretendersとも)は、姐御クリッシー・ハインド率いるイギリスのロック・グループ。プリテンダーズのアルバムの中でも特に“奥深さ”という点で傑出しているのが、1995年のロンドンで収録のライヴ盤『アイル・オブ・ヴュー(Isle of View)』である。 1989年にMTVが仕掛けた“アンプラグド(Unplugged)”なる企画は、文字どおり“プラグを抜いた”演奏、つまりはアコースティック演奏によるライヴ企画だった。これが瞬く間にブームとなり、90年代、“猫も杓子もアコースティック”みたいな状況になった。その結果、アコースティック・ライヴという形態がある程度定着したとはいえ、一時の流行りみたいな雰囲気だった部分も否めない。いまいちな盤も多く出たけれど、おかげで好盤もいくつも残されることになった。そうした好盤、それも実に“奥深い”盤の一つがプリテンダーズのこのアルバムで、しかもこうしたブームのおかげで初のライヴ盤を出したことに感謝したくなる、そんな一枚である。 クリッシー・ハインドという人は、艶めかしいがいやらし過ぎず、ロッカーだが雑ではない。何が言いたいかというと、アコースティックでのライヴは、演奏者や歌い手の実力がどちらかというと素直に反映される。普段のノリのある演奏と曲ではあまり目立たないクリッシーの艶っぽさと繊細さがアコースティックという場で浮き彫りになっている。プリテンダーズは元々定評のあるとはいえ、あらためてその繊細さに驚かされる。 とか何とか言って、筆者も90年代当時は、既存の曲をアコースティックで聴くことばかりに集中していて、“あの名曲がアコースティックで美しく変身”みたいに思っていた節がある。ブームが過ぎ、いつしかこのアルバムをもう少し冷静に違う角度で聴くようになって、“やっぱりクリッシーは凄い!”という真価に本当の意味で気付くようになったという次第である。 収録曲を見ての通り、9. 「2000マイルズ」や10. 「ヒム・トゥ・ハー」のような、そもそもアコースティック向きの曲に加えて、4. 「チェイン・ギャング」や5. 「愛しのキッズ」といった元は軽快だった曲もアコースティック向きのアレンジで披露されている。バックにはバイオリン、チェロ、ビオラから成る弦楽四重奏(ザ・デューク・カルテットという名称らしい)が入っている。個人的な好みで何曲か挙げておくとすれば、クリッシーのヴォーカルが文句なしにカッコいい1. 「センス・オブ・パーパス」、繊細さが抜群の2.「チル・ファクター」、アコースティック演奏のお手本といってもよさそうな11.「涙のラバーズ」、歌のうまさが光るキンクス・ナンバーの13.「アイ・ゴー・トゥ・スリープ」。あと、ありがちだけれど、初期の名曲を歌いあげる5. 「愛しのキッズ」、9.「2000マイルズ」、10.「ヒム・トゥ・ハー」もやはり外せない。 とまあ、聴くに値する曲ばかりで、プリテンダーズをあまり知らないというひとにもぜひお勧めの好盤。ちなみに、余談ながら、クレジット上は14曲だが、実際のCDではなぜか最後に後奏(?)みたいなのがTrack 15に入っている。 [収録曲] 1. Sense of Purpose 2. Chill Factor 3. Private Life 4. Back on the Chain Gang 5. Kid 6. I Hurt You 7. Criminal 8. Brass in Pocket 9. 2000 Miles 10. Hymn to Her 11. Lovers of Today 12. Phone Call 13. I Go to Sleep 14. Revolution 1995年リリース。 【送料無料】【輸入盤】 Isle Of View [ Pretenders ] 下記のランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、ひとつでも“ぽちっと”応援いただけると嬉しいです! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012年11月10日 23時21分02秒
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