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音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2013年03月26日
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清志郎のセンス(後編)


前編からの続き)

 さて、忌野清志郎の訳詞のセンスの話を続けたい。よく中学生とか高校生が洋楽のコピーバンドをやってみたりした場合、ヴォーカリストがぶち当たりがちな壁は、原曲の詞についていけないという現象だ。なぜついていけないのかと言えば、話は簡単で、往々にして英語が下手だから。いやはや、大人がカラオケで洋楽を歌ってても、字余りになって歌詞がメロディに収まらず、困り果ててしまうことがあるので、中高生に限った話ではない。

 “英語が下手”などと言うと、何とも聞こえが悪いかもしれないが、別に単語を知らないとか文意がわからないとかそういうお勉強的な話で英語の下手・上手の話をしているわけではない。要は、音声学的な観点から、英単語の音節を理解せず“カタカナ読み”してしまうから、結果的にメロディに合わなくなるという話なのだ。繰り返すが、お勉強やコミュニケーションツールとしての英語の上手い下手とここで言う英語の上手い下手は別問題である。事実、自称英語を全く話せない阿川泰子があれだけうまく英詞を歌えるという、英語の語学力とは別問題であることを示す好例があるが、この話はいつかまた別途取り上げてみたい。

 ともあれ、一般論的には、音楽(メロディ)というのは、五線譜に音符があって、その音符に概ね一つの音節が乗っかるという形で成立している。英語の歌をカタカナ英語で歌うとつじつまが合わなくなるのは当然の帰結だが、音楽分野でのこの音符/音節問題は、英語の語学力とは関係ないセンスにも左右されるようだ。そしてそれが清志郎の訳詞のセンスという話につながる。

 それでもって、清志郎の訳詞はと言うと、不思議なことに字余りが少ない。もうちょっと細かいことを言えば、字余りが目立たない字余りになっているもすごい。英語の詞を日本語に置き換える時点で、英語の音節数と日本語訳詞の音節数(譜面上は音符の数)がうまく一致もしくは類似しているのだ。字余りになった時も、見事に強弱がつけられていて、本当の字余りに聞こえない工夫が凝らされている。この訳詞のセンスは、清志郎がめちゃくちゃ考え抜いていたのか、それとも自然にそうなったのかは筆者知らない。けれども、その真相がどちらにせよ、結局は、これらの条件を乗り越えて、日本語として感動を与え得る見事な訳詞をつけているというのは、忌野清志郎の見事な才能ということだと思う。

 余談になるが、日本の有名アーティストが洋楽のカバーをしているのを聴いて、びっくりするほどずっこけることがある。ここ何年かで鮮烈(?)だったのは、EXILEによるWhamの名曲「ラスト・クリスマス」。本人たちが訳したのか、日本語詞を準備した人物が別にいたのかしらないけれど、字余りだらけの崩れはてた名曲は、いくら歌っている本人たちが恰好よかろうが、噴飯ものだった。“洋モノをやればカッコよく見える”というのは時代が変わろうとも今も昔も部分的にはそうなのかもしれない。でも、外から持ってきたものをどれだけうまく消化しているかは、演じる者、解釈する者の腕にかかっている。

 原曲と清志郎の訳詞のサビ部分を少し比べてみると、次のような感じ。

Cheer up, Sleepy Jean/ずっと夢を見て
Oh, what can it mean/幸せだったなぁ
To a daydream believer/僕は デイ・ドリーム・ビリーバー
And a homecoming queen/そんで 彼女は クイーン

 “To a”が「僕は」(ここは字余りだけれど)、“And a”が「そんで」になるセンスは、ふつうのアーティストや作詞者にはないものを感じるというと大げさだろうか。いや、筆者は本当に凄いと前々から思っているのだけれど。

 以下、おまけで有名な”放送事故”ライヴ出演の時の「デイドリーム・ビリーバー」の演奏です。


 





[収録アルバム]

THE TIMERS / 『ザ・タイマーズ』 (1989年)





 
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