テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
ピアニストとして実力発揮のトリオ盤 マーティ・ペイチ(Marty Paich)は、代表盤とされる『ザ・ブロードウェイ・ビット』(通称“踊り子”)や『アイ・ゲット・ア・ブート・アウト・オブ・ユー』(通称“お風呂”)をはじめいろんな盤を残したほか、60年代以降はジャズ以外の音楽にも積極的に関与した。とはいえ、彼自身はそもそもはジャズ・ピアニストであった。そんな彼のピアニストとしての演奏が全面にわたって繰り広げられているのが、本作『マーティ・ペイチ・トリオ(The Marty Paich Trio)』である。 彼のキャリア上の流れで言うと、1950年代にはウェスト・コースト・ジャズの名アレンジャーとして数々の作品を手掛けていた。1956年録音のアート・ペッパーを迎えた盤(過去記事)なんかはその代表格だし、少し後の1959年のいわゆる『踊り子(ブロードウェイ・ビット』と『お風呂(ア・ゲット・ア・ブート・アウト・オブ・ユー)』は代表盤としてよく知られる。 そんな彼のピアニストとしての神髄はどこにあるのか。数少ない(唯一の?)ピアノ・トリオ作である1957年吹込みの本盤は、そもそもが超マイナーレーベル(Mode)のレア盤で、当時はどれだけ聴かれていたのかもよく分からない(現在では復刻版で容易に入手できる)。 それでもって本盤の内容はというと、“やや暗い”ことは前提にしておいた方がいいかもしれない。決して悪い意味ではないのだけれど、どこか沈んでいく感じがあるのはきっと彼のピアノ演奏の特徴なのだろうと思う。要は、決して明るく心弾むピアノ演奏ではない。ところが、筆者は休日の朝などにこの盤を聴くのが好きである。沈み気味のゆったりした雰囲気の中で演奏が進んでいくのかと思いきや、ある時はドライヴ感や、ある時はハード・バップ感が顔を出す。これぞ出色という感じの曲があるというよりは、全体にわたって押したり引いたり、様々な工夫を散りばめてみたりというあたりは、やはりアレンジャーとしての才能が自身のピアノ演奏にも表れていると言えるのかもしれない。 その点を踏まえたうえで、個人的に注目したいのは、2.「ザ・ファクツ・アバウト・マックス」、6.「エル・ドラド・ブルース」、7.「ホワッツ・ニュー」といったところ。この演奏を支えるメル・ルイスのドラムとレッド・ミッチェルのベースも堅実である。結局は“ウエスト・コースト”のようなイメージで一括りにしにくい演奏スタイルが、地味な本盤の評価を一層わかりづらくしているということだろうか。そのようなわけで、聴けば聴くほどその実力発揮ぶりに唸らせられるマニアックな盤と言うのが本盤の印象。1回聴いただけですぐにぴんと来ないとういのは筆者が鈍感なのか、この盤がマニアックなせいなのか(何度も聴いた今となっては、上記のように楽しめてはいるのだけれど…)。 [収録曲] 1. I Hadn’t Anyone ’Til You 2. The Facts About Max 3. Dusk Light 4. The New Soft Shoe 5. A Dandy Line 6. El Dorado Blues 7. What’s New 8. By The River St. Marie [パーソネル、録音] Marty Paich (p) Red Mitchell (b) Mel Lewis (ds) 1957年6月録音。 【メール便送料無料】マーティ・ペイチ・トリオ / マーティ・ペイチ・トリオ[CD] 下記のブログランキングに参加しています。応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2015年08月10日 10時55分15秒
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