テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:ジャズ
“ハンサム”なテナーの魅力
米国のテナー奏者、セルダン・パウエル(Seldon Powell,1928年生まれ、1997年死去)の最初のリーダー作がルースト盤の『セルダン・パウエル・プレイズ(Seldon Powell Plays)』である。本ブログでは先にセクステット盤を取り上げているが、音楽スタイルやら伝統の革新に気を取られると、ついつい見逃してしまいがちなのが、こういうタイプの奏者ではないだろうか。奇をてらったことはしない。聴き手をへんに刺激して興奮させようとはせず、ある種、リスナーの期待にやさしく添いながら自分らしさを発揮できるタイプ。いやはや、自我を強く前面に出さずに他人を満足させられるなど、名人芸としか言えないではないか。 複数管およびギターが入っているものの、基本的にはワンホーンに近い演奏で、パウエルのテナーがほぼ全編にわたってメインになっている。とはいえ、上述のように、パウエルが“吹きまくる”という風では全くない。抽象的な表現になってしまうけれど、演奏全体が“ハンサム”なのである。あくまでやさしく、物腰低く、聴き手は少しずつ納得させられながら、聴き手は彼のテナーの世界に引き込まれていく。演奏スタイルやフレーズ云々以前に、このテナーの“主役でありながらでしゃばりすぎないところ”がよい。 聴きどころをいくつか挙げておきたい。1.「ゴー・ファースト・クラス」は、上で述べたようなテナーの特徴が冒頭からよくわかる。主役だけれども他を押しのけることなく、ワンホーン風に展開しながらも最後は周りと調和して終わるという感じがよい。美しさという点では6.「オータム・ノクターン」が一押し。最後に、聴き逃してはいけないのは、8.「サマータイム」で、ただ“仰々しく盛り上げる”ような感じにならず、かといって聴き手がこの曲に期待するであろう緊迫感を一定に保ちながら、やっぱりスマートかつハンサムに吹き上げているところに好感が持てる。 [収録曲] 1. Go First Class 2. Why Was I Born 3. Love Is Just Around The Corner 4. Someone To Watch Over Me 5. Count Fleet 6. Autumn Nocturne 7. Swingsville, Ohio 8. Summertime [パーソネル、録音] Seldon Powell (ts) Jimmy Nottingham (tp) Bob Alexander (tb) Haywood Henry, Pete Mondello (as,bs) Tonny Aless (p) Billy Bauer, Freddie Green (g) Arnold Fishkin (b) Don Lamond (ds) 1955年10月24日、195511月14日、1956年録音。 【楽天ブックスならいつでも送料無料】セルダン・パウエル・プレイズ [ セルダン・パウエル ] 次のブログのランキングサイトに参加しています。 お時間の許す方は、“ぽちっと”クリックで応援をよろしくお願いします! ↓ ↓ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017年02月06日 08時04分31秒
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