油断大敵・失敗は成功のもと
息子の大学受験の年、夏の模試の結果が悪かった。春先に良い判定が出ていたので安心していたのに夏場にがくんと落ちた。本人は頑張っていたけれど、周りもみんな頑張っていたのだと思う。だから秋から冬にかけては気が抜けない状態だった。 幸い希望する大学に合格できたけれど、後で意外な結果を知った。夏の模試で判定の良かった同級生数人が受験に失敗していたのだ。夏場良い判定が出て、知らず知らずのうちに気が緩んでしまったのだろう。後になってみると夏の模試の結果が悪かったのは、追い込みをかける息子にとっては緊張感となり、結果的に幸運だったのかもしれない、と思った。世の中にはそういうことがよくある。県トップの高校に見事入学したけれど、その後成績の良い生徒たちに埋もれ、すっかりやる気を失ってしまった同級生がいる。各中学でトップグループにいた子たちが集まるのだから、当然その中で最下位になる子もいる。今までとったことの無いような順位に大変なショックを受け、勉強へのやる気を失ってしまった。反対に希望していたトップ校に入れなかった悔しさをばねに、2番手の高校で頑張り、最終的に希望する大学に辿りついた子もいる。考えてみればトップ校の一番後ろを走るより、2番手の高校の先頭を走る方が楽しいだろう。その子にとっては第一希望の高校に行けなかったことが幸運だったのかもしれない。世の中はおとぎ話のように「王子様と結婚してめでたし、めでたし」とはいかない。一度良い結果が出ても、人生はその後もずっと続き、当然逆転も起きる。没落の芽は好調時の奢りや昂ぶりから生まれるのだと思う。就任直後に失言をする政治家や液晶で絶大なシェアを誇っていたシャープにも同じものを感じる。「勝って兜の緒を締めよ」「油断大敵」そして「失敗は成功のもと」