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2009年05月31日
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カテゴリ:政治問題
 憲法9条を「武器」に海外の武力紛争を解決した実績を持つ東京外国語大学教授・伊勢崎賢治(いせざきけんじ)氏は、今年の憲法記念日を前にした2日の朝日新聞で、次のように述べている;


 東ティモール、シエラレオネ、アフガニスタンで紛争処理を指揮した「紛争屋」「武装解除人」の伊勢崎賢治さんは「今の日本人には憲法9条はもったいない」と言う。ソマリア沖への自衛隊派遣は「戦後最大の違憲派兵」なのに、ろくな反対運動も起きないからというのが理由だ。憲法記念日を前に話を聞いた。(聞き手 編集委員・刀祢館正明)

 -ソマリア沖への海上自衛隊の派遣は、これまでと異なり、日本に関係のある船舶を海賊から守るためとされています。内閣府の世論調査では63%が賛成しています。

 「国連の平和維持活動(PKO)への参加もイラクへの陸上自衛隊の派遣も、日本政府は『国際貢献』や『イラクの復興支援』を掲げました。良しあしの議論はさておき一応は『世界益』です。しかし今回は首相の国会答弁をはじめ、もろに『国益』が出てきた。こんな状態は戦後初めてです。日本はついに、国益を掲げて自衛隊を海外に出すようになってしまいました」

 -国益を守るためなら構わないのでは、という人は多いのでは。

 「いやいや、これは明白な憲法違反です。現行憲法が生まれた背景には第2次世界大戦への反省があります。日本人は新憲法を受け入れると同時に、強大な軍事力は持たない、軍隊を外に出さないと守れないような国益は求めないと誓ったはず。これは憲法9条の根幹です」
 「ぼくはイラク派遣はもちろん、インド洋沖の給油活動も違憲だと考えます。ただし、実質的には戦争への協力ですが一応は『世界益』を装っている。ソマリア派遣に比べればまだましだと思うようになりました」 (苦笑)

 -一般からだけでなく、護憲派からも、ソマリア派遣に大きな反対が出ているようには見えません。

 「最も激しい反対運動が起きると思ったのですが、当の護憲派が反応しない。だから『9条はもったいない』とコラムに書きました」
 「彼らは9条を変えさせないため、長い間ふんばってきた。自衛隊を海外に出してはいけない、国連PKOへの参加もだめだと主張してきました。ぼくはPKOを『世界益』ととらえますが、彼らの批判精神は評価したい。でも今回の、9条の根幹に挑戦する国益を掲げた海外派兵に、彼らの批判精神が反応しません。日本人を助けるためだったらしょうがないと考えるのだったら、もう護憲運動は崩壊してしまいます。ぼくは護憲派です。『敗北宣言』をしようとさえ考えました」

 -自衛隊では海賊から守れないということですか。

 「そうです。自衛隊が海外で日本関係船舶の護衛をすることは間違い。憲法上、軍事力で国外の日本人の生命・財産を守ることは出来ません」
 「自衛隊に対する海外の認識は軍隊です。軍隊と警察は別の組織。代わりは務まりません。今はソマリア沖に各国の軍艦が集まって海賊対策をしていますが、本来は沿岸聾備の問題です。ソマリアの現状はまったくの例外です」

 -では、現実の危険を前に、日本はどうすればいいのでしょう。

 「ソマリア沖を避けて、遠回りの航路を選ぶことです。アフリカ南端のケープタウンを回ることも必要でしょう。そのために輸送日数がかかったり費用が増えたりしても、9条を持つ日本人が払わなければならないコストと受け止めるべきです」
 「中長期的な対策としては政府の途上国援助(ODA)を通じた周辺国の警察力、沿岸警備力の強化があります。日本は、マラッカ海峡ではアジア諸国と協力しリーダー格です。海賊情報の交換も進んでおり、国際的に高く評価されています。これは日本のお家芸です。なぜ、アフリカでも同じことが出来ないのでしょう」

 -憲法改正のための手続きを定めた国民投票法の施行まで1年余です。改憲の動きがまた出てくるでしょうか。

 「『九条の会』など護憲の集まりに呼ばれて話すのが、『ぼくは基本的に護憲派を含む日本人を信用していません』ということです。小泉さんみたいなセクシーな首相が現れて改憲を訴えたら、世論はそちらに動くでしょう。油断は出来ない、と言っています」

 - 紛争処理の現場からは、憲法と自衛隊はどう見えますか。

 「9条の下で自衛隊が出来ることはたくさんあります。冷戦後、内戦や紛争は増加しています。ルワンダの虐殺でわかるように、人を殺させないための平和介入には武力行使が必要な時があります。これは否定できません。武力は数ある平和介入の選択肢の一つに過ぎません」

 -ほかには何が?

 「敵対勢力間の信頼醸成のための軍事監視団です」

 -外交官や非政府組織(MGO)では。

 「出来ません。軍人だからこそ意味がある」

 -何が違うのですか。

 「相手も軍事組織です。そこに中立な立場の軍人が、非武装で立ち向かうことが重みを持つ。彼らから見れば軍人は武装して当たり前。それが丸腰。だから説得力があります。どの国から派遣されているかも重要です。日本が持つ中立的なイメージのおかげで、軍事監視は自衛隊のお家芸になるはずです」

 -非武装の軍人に積極的な意味があるわけですね。

 「そうです。でも一部の護憲派、特に年配の人たちは理解してくれません。彼らは自衛隊を否定すること、海外に出さないことが悲願です。なのに今回、日本人を救うためなら反対しない人がいる。これにぼくは怒っています」

 -日本さえ平和ならいい、というわけですね。

 「護憲派の中でも、憲法の前文が忘れられているのではないでしょうか。読めば一国平和主義ではいけないとわかる。でも彼らは前文はどうでもよくて、9条が目的化している。前文と9条の間にすき間を見つけ、そこを突いて対テロ戦に持ち込んだのが小泉元首相です。我々は前文と9条をつなぐ努力をしないといけません」
 「9条は道具です。外交の道具にも、自分たちを守る道具にもなります。現行憲法は9条を使って前文の理念を実行しなさいと言っている。ぼくは今まで紛争処理の現場で、日本人であることで大変得をしてきました。日本は経済大国だが侵略はしないという安心感。広島、長崎に代表される、被害者の立場に立ってものを考えられるまれな大国。アメリカとは違う、自主性のある国。これは『美しき誤解』かもしれません。でも大事にしたい」


2009年5月2日 朝日新聞朝刊 12版 13ページ「憲法9条は日本人にはもったいない」から引用

 武力が無いと国を守れないなどという意識の低い人たちには、是非とも伊勢崎氏の著作を読んで、勉強してほしいものだと思います。主な著書は「自衛隊の国際貢献は憲法九条で」「さよなら紛争」などです。









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最終更新日  2009年05月31日 18時48分47秒
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