【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

フリーページ

2009年12月23日
XML
カテゴリ:政治問題
 駐デンマーク大使の近藤誠一(こんどうせいいち)氏は、政権交代を実現した日本の将来について、11月25日の朝日新聞に寄稿して次のように述べている;


 今回の政権交代をどう評価するかは国民次第だが、いま最も問われていることは、国のあり方を国民が自分の問題としてとらえ、国づくりに能動的にかかわっていく姿勢ではないか。日本は戦後、欧米をモデルとして経済発展を遂げた。しかし、それを主導したのは政府であり、国民はひたすら勤勉に働くことで支えてきた。いま、日本社会は高齢化対策など福祉の充実と低炭素社会への移行という課題に直面しているが、国民がこうした受け身の姿勢に慣れたあまり、難問にダイナミックに取り組む力が社会に十分現れていないように見える。

 私が勤務するデンマークは徹底した民主主義と自由経済のもとで、高福祉・高負担のモデルをつくり上げた。

 デンマークでは、企業が比較的自由に労働者を雇用・解雇できるが、失業者には国が手厚い手当を支給しつつ再教育・再訓練を行う。そのため失業者は平均6カ月という短期間で新しい職に就くことができる。一方で企業は、出産や育児のために休暇をとる従業員を解雇できず、職場復帰時の条件を保障しなければならない。「フレクシキュリティー」と呼ばれる、この柔軟なシステムが、無料の子育てや教育、介護などを労働市場の側面から下支えしている。

 また、デンマークは石油危機の直後から、風力発電の導入など脱石油への取り組みを始めた。いま、発電量全体に占める再生可能エネルギーの割合は27%に達している。さらに遠くない将来にはバイオマスなどの導入によって、化石燃料への依存をゼロにする計画を立て、気候変動対策で世界のリーダーになった。

 ここで学ぶべきはこうしたデンマークのモデルそのものではない。国民が自らそれをつくったということである。

 独特な労働市場システムは労働者、企業、政府の3者が話し合ってつくった。再生可能エネルギーの導入には電力インフラの地域分散が必要だが、これも地域の住民主導で行われた。自分たちが納得してつくったモデルだから、誇りをもち、維持するために協力する。有権者の80%以上が選挙で投票し、高い税金もいとわないのはそのためだ。

 このメカニズムが実際にうまく機能していることは、生活レベルや経済競争力の高さに表れている。幸福度の調査でデンマークがしばしば1位になるのは、自分たちでつくったシステムがうまく機能しているという自信と、その下で安心して毎日を暮らせるという実感があるからである。

 欧米モデルそのものをまねることはもはや適切でなく、中国などの新興国もモデルを提供してくれるわけではない。政権が代わった節目の今こそ、日本の姿は国民が自らつくるという能動性をもつ良い機会ではないか。


2009年11月25日 朝日新聞朝刊 12版 19ページ「私の視点-国民自ら国づくりの主役に」から引用

 この論文はなかなか鋭い洞察をしている。なぜか日本人はお上に与えられたものを守るという発想から抜け出しきれないでいるのではないか。日の丸も君が代も、いつまでもお上に決めてもらったものでやっていくのではなく、これからの民主主義は自分たちで運営していくのだという自覚の下に、新しい国旗と国歌を制定するのは意義深いことと思われる。
 デンマークでは育児休暇に入った者を解雇してはならないとか、復職するときは元の条件を保障するとか、企業に厳しい条件を課しているという点も大変興味深い。派遣労働は全面禁止にするべきだ、などと言うと、企業にそのような厳しい条件を課すと海外に逃げ出して国内の失業率が上がるなどと詭弁を弄する者もいるが、デンマークの例がそのような珍説を否定している。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年12月23日 20時42分46秒
[政治問題] カテゴリの最新記事


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

佐原

佐原

お気に入りブログ

小池百合子の学歴詐… New! maki5417さん

コメント新着

 捨てハン@ 潰れそうな新聞なら東京、朝日、毎日が挙がるかなぁ >全国紙は世論のありかを明らかにし、国…

© Rakuten Group, Inc.