カテゴリ:ココロのおもひで
横浜に住んでいた頃、
遅刻魔女 やまだとよく通っていた、お気に入りの喫茶店が消えた。 もう10年以上も続いている 横浜駅の改良&拡張工事の区画に入ってしまったらしい。 某SNSの、横浜出身者の集うコミュニティで、その情報を知った。 その喫茶店の入っていた地下街ごと、 すっぽりまるごと なくなったという。 ショックだ。 お酒が飲めないやまだに合わせて ふたりで会うときはいつも 23時まで開いている 駅近くのこの店を利用していた。 軽めの夕食を摂った後、 「このあと、どうする?」という話になると どちらからともなく、その店の方向に足が向いた。 夜8時頃から 閉店ソングの「蛍の光」が流れるまで ケーキセットひとつで居座り続けられる とても居心地の良い店だった。 横浜駅のほど近く、地下二階にあったその喫茶店は 「カフェ」というよりも「喫茶店」と呼ぶのが相応しいような ちょっとレトロな雰囲気で ところどころニスがはげかかっている木製のテーブルや椅子に 何とも言えない味わいがあった。 落ち着いた照明と、BGMの流れなていない店内は いつも程よく賑やかにお客の話し声が満ちており、 ガラス越しに見える通路側に3つだけ用意されている禁煙席が やまだと私の いつもの指定席だった。 銀製のどっしりとしたミルクポットや砂糖壺、 同じく銀製の注ぎ口の細長いティーポットに 使い込まれた感のあるウエッジウッドのティーカップ。 一杯ずつサイフォンで淹れてくれる珈琲はとても美味しく、 カフェオレの作り方も本格的で、 普段着の私たちが 気取らない日常の中で、 ほんの少しだけ贅沢が味わえる場所だった。 互いに嬉しい報告をしたり、 つらい思いを打ち明けたり、 仕事の悩みを言いあったり、 ただただ とりとめもない話にあけくれたり、と ふたりで大切な時間を過ごした場所でもあった。 結婚の報告をしたのも、 親友に裏切られた事も、 ストレスで死にそうになっていた私を 死ぬほど心配してくれたことも、 パンフレットをどっさり持ち込んで 大騒ぎしながら旅行計画を立てたことも、 みんなみんな 大切な想い出だ。 跡地は、某高級デパートの食品売場になるらしい。 またひとつ、想い出の場所が消える。 またひとつ、想い出が 遠くなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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