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カテゴリ:Route作成
この回は架線と線路を別ストラクチャで作る人のためのものです。
線路のストラクチャに架線を組み込む場合、流してかまいません。 架線には幾つかの種類があるので、以下に例を挙げます。 例1:シンプルカテナリ式架線(東海道本線蒲郡) 最も一般的な架線 例2:ツインシンプルカテナリ式架線(西武秩父線芦ヶ久保) シンプルカテナリ式を二重にしたもの 大電流が必要な過密線区や急勾配線区で使用される 例3:ダブルメッセンジャーシンプルカテナリ式架線(京浜東北線浦和) 風による影響を減らすことができる方式 例4:コンパウンドカテナリ式架線(ほくほく線くびき-犀潟) 主に高速運転する路線で使用される方式 例5:き電吊架式架線(八高線東飯能) いわゆる「インテグレート架線」や「ハイパー架線」 吊架線をき電線と兼用しているために太くなっている 例6:剛体架線(つくばエクスプレス線秋葉原) 架線設置の空間が狭い地下区間に使用される 例7:直接吊架式架線のサンプル(銚子電気鉄道仲ノ町車庫) トロリ線に溝がつけられていることが確認できる 測ってみたところ、直径はおよそ10mm 取材当時の西武秩父線ではシンプルカテナリが主に使用され、 芦ヶ久保-横瀬でツインシンプルカテナリが使用されていました。 積荷満載の貨物列車の登坂対策によるものでしょう。 残念ながら現在はシンプルカテナリになってしまったようです。 トロリ線(下側の線)は通常線区では普通鉄道構造規則第60条により 線路から5.0m以上5.4m以下(標準5.1m)の範囲で張られています。 ただし、狭小な箇所では旧国鉄線で4.55m、私鉄線では4.7mまで下げられます。 吊架線は引張力がある程度決まっているので、弛み量は求められますが、 トロリ線からどれだけ離れるかは特に決まってないようです。 鉄道総研電力技術研究部開発、架線・パンタグラフ系シミュレーション<架線道>の SSが紹介ページ(下部 画像>架線画像より)に載っていたので、そちらを参考にします。 http://www.rtri.or.jp/rd/sales/panta2.htm これによれば支持点で吊架線とトロリ線の距離は0.96m、 最も弛んだ場所でも0.42mは離れていることがわかります。 有難いことに張力や単位長さあたりの質量もあるので、計算式に入れてみましょう。 計算式は同じく鉄道総研の刊行物『Railway Research Review』 (http://www.rtri.or.jp/infoce/rrr_J.html)の2009年1月号の記事のひとつ 「架線を張る金具」(http://www.rtri.or.jp/infoce/rrr/2009/01/200901_02.pdf)の 図4に載っていますので、そちらに数値を代入していきます。 (w=0.6970+0.877=1.5740kg/m、T=9800N) 吊架線(架線の上側の線)からトロリー線を吊り下げるハンガは 普通鉄道構造規則第58条2により5m間隔を標準とします。 以上より調整の結果、径間45mの架線の外観は以下のようになりました。 トロリ線および吊架線の断面は、頂点数が多くなるものの三角形としました。 これは下からでも横からでも、トロリ線および吊架線を見やすくするためです。 ジグザグ張られた架線は個人的に惚れ惚れしてしまいます。 構文は以下の通りです。 構文中、hanger.bmpは以下のものです。 径間15mから45mまで5m刻みで同様に7種類作りました。 続いては架線を張る作業です。 上で少し述べたとおり、架線はパンタグラフ舟板の磨り減りを抑えるため、 直線区間ではジグザグに張られています。 画像はほくほく線松代トンネルの上から撮ったものです。 左右にジグザグになって張られている様子がよく分かります。 軌道中心からの左右のズレを偏位といい、左右200mmまで許容されています。 また曲線区間では曲線引装置(下図)の箇所では曲線外方に250mm、 径間中央では反対方向に150mmの範囲で張られています(振子車両走行線区を除く)。 曲線引装置 曲線区間の架線の張り方 注意しなければならないのは曲線区間の軌道中心の扱いで、 BVEでは軌道中心が25mごとの直線となってしまうため、 軌道中心を自ら求めなければなりません。 また、FreeObj構文ではストラクチャのX軸回転ができないので、 縦曲線区間では架線を張るための他線を設定しなければなりません。 それでは具体的に張ってみましょう。 (1)直線区間 45m長の架線なので45m毎に以下の構文を繰り返しました。 .FreeObj 0;207;0.1;0;0.25 .FreeObj 0;207;-0.1;0;-0.25 至って単純です。 (2)曲線区間 予め「金太郎飴」で軌道中心から150mm,250mmの範囲がわかるものを作ります。 それをWall構文等で一時的に付随させ、架線を設置します。 範囲内に架線が収まるよう、Y軸回転させて調整します。 高さを元に戻して完成ですが、結構面倒でした。 (3)縦曲線区間 何もしないと上のようになり、目も当てられません。 そこで自線とは異なる勾配を持つダミーの線路を敷き、 その線路に架線のストラクチャを設定します。 関連した箇所の見抜きだした下の構文(上り線はRail 1)をご覧下さい。 FreeObjの206と207が架線のストラクチャ、Railの255はNull.csvです。 46.345KPまでは勾配が変わらないので自線とRail 1に架線を設定しましたが、 勾配の変わるそれ以降はダミーの線路、Rail 2とRail 3に架線を設定しました。 Rail 2とRail 3の高さは前後の架線の高さに合わせて調整したもので、 駅構内の配線同様に数値入力とF5キーの繰り返しです。 これも相当面倒な作業でした。やりたい方は頑張ってください。 結果はこのようになりました。 最後にジグザグにして完成です。 ※ここでのダミー線路は自線から上下方向には0.5m以上離して設定してください ※0.5m以下の場合、通過時にポイント通過音が流れてしまいます なお、今頃で恐縮ですが、第23講の架線柱、例1,2タイプは ここで作った架線に合わせて大きさを決めたり設置したりします。 次回は曲線引装置や碍子などを置こうかと考えてます。 参考文献:巽良知(1962)『電気鉄道ハンドブック』電気学会. お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 27, 2009 02:44:17 AM
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