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東京二期会さんの、2016−17シーズンラインナップ発表記者会見に行ってきました。 演目と内容は、二期会さんのサイトにアップされています。 http://www.nikikai.net/lineup/2016shusai.html 会見には、二期会の中山理事長、山口制作部長のほか、所属歌手の成田博之さん、木下美穂子さんが登場しました。成田さんは来年2月の「イル・トロヴァトーレ」でルーナ伯爵を、木下さんは再来年2月の「トスカ」でタイトルロールを歌います。 今回発表された6演目のうち、5演目が新制作。基本的にヨーロッパの歌劇場との共同制作で、プロダクションレンタルも含みますが、演出家が来日して「東京バージョン」を作るケースもあり、(「トロヴァトーレ」や「トリスタン」など)、力が入っています。指揮者もすべて海外から招聘し、しかも演目にふさわしい指揮者をちゃんと呼んでいる。この作品だからこのひと、というのが納得出来る人選です。 ラインナップの説明をきいて、二期会のいくつかの方向性、「色」がきちんと打ち出されているということを実感しました。 たとえば、(これは2012年の「ナブッコ」でバッティストーニと出会い、大好評だったことから始まったと思うのですが)、若手注目イタリア人指揮者が振るイタリア・オペラ。来年2月の「イル・トロヴァトーレ」はバッティストーニ、再来年2月の「トスカ」はルスティオーニの指揮です。2人はイタリア若手指揮者の有望株とされている「三羽烏」のうちの2人で、いずれもこれまで二期会との共演が成功している指揮者。(ちなみに「三羽烏」のもうひとりは、ミケーレ・マリオッティ)。オペラカンパニーのもう一方の雄である藤原歌劇団が、87歳のロッシーニの神様アルベルト・ゼッダの指導のもとでロッシーニに力を入れているのとは対照的に、若手指揮者でヴェルディ、プッチーニをやる、というのは、少なくとも現時点で二期会カラーになりつつあるのでしょうか。なれば面白いと思います。(まあ昨年、ベテランのガブリエーレ・フェッロで「ドン・カルロ」というのもありましたが) 一方で、これまでの「ドイツ・オペラの二期会」も健在。とりわけ得意のリヒャルト・シュトラウスに関しては、今年秋の「ダナエの愛」に続き、来年11月は「ナクソス島のアリアドネ」、再来年7月は「ばらの騎士」と、3年間連続して3作品を取り上げます。「ナクソス島」は、これが日本でのオペラデビューというシモーネ・ヤングが振るというのも注目です。女流指揮者として第一線で活躍しているヤング、現在はハンブルクが拠点で、「リング」なども大好評で、注目されています。 ドイツオペラとしては、来年の9月に「トリスタン」が登場しますが、なんと二期会初上演ときいて驚きました。それだけ時を待っていたということでもあるのでしょうか。こちらの指揮はベテランのヘスス・ロベス=コボス。私は知りませんでしたが、彼は「リング」がベルリンドイツオペラの来日公演で日本初演された時に振っていたのですね。演出はこれも大家のウィリー・デッカーです。 唯一の再演である「フィガロの結婚」は、「名作オペラ祭」と銘打って、S席1万円とお得な料金になっています。指揮が、ウィーンで活躍するサッシャ・ゲッツェルというのも楽しみ。彼の「フィガロ」はウィーン国立歌劇場でも好評だったそうで、ぜひ聴いてみたいと思いました。 記者会見の最後に、登壇した二人の歌手が、それぞれバッティストーニとルスティオーニについて触れていましたが、これが興味深かったので再録しておきます。 ルスティオーニ(二期会では「蝶々夫人」を指揮。木下さんは今度の「トスカ」が初共演)について、木下さん 「とてもチャーミングな方。いろいろエピソードがあるのですがちょっとここでは(笑)。 イタリア人ですから当然なのですが、イタリア語のテキストの読みが深い」 バッティストーニについて、今年2月の「リゴレット」でも共演した成田さん 「オペラの公演は、指揮者ありきの場合がけっこうあるのですが、彼は違います。常に歌手を見ている。歌手に目配せする中でやりとりしていると感じる。常に歌い手の目を見ていて、一緒になって演奏している。それがとても自然なのです。だから違和感なく演奏できるし、安心感がある。聴き手のほうでも心地よい」 共演者ならではのコメントですね。 バッティストーニは、音楽もそして人柄も「自然体」と言われますが、共演者の立場から見てもそうなのだなあ、と思わされた言葉でした。
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最終更新日
July 18, 2015 02:45:05 PM
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