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2015.04.30
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カテゴリ:読書
「どうしてこんなことになっちゃうのかねェ」

最近の、少年犯罪や事故、自殺の報道にふれるたび
こう呟かれるかたが多いのではないですか?

奥田英朗『沈黙の町で』も、まさに
「どうしてこんなことになっちゃうのかねェ」とため息が出るような話です。


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***
物語の舞台は、ある中学校。
あと少しで夏休みという7月1日の夜7時、
生徒の家族から問い合わせの電話が入る。
息子が家に帰っていないのだという。
携帯電話を鳴らしても出ない、
警察に届けたほうが良いのだろうかという相談だった。
電話を受け、念のため教師が校内を巡回したところ
本人を発見した。
所属するテニス部の部室棟の外、
銀杏の大木の下で冷たくなっていたのだ。
運動部の男子達がスリルを味わうために
部室棟の屋根から銀杏に飛び移り
地面に降りる姿はなんどか目撃されている。
これは事故なのか、それとも?

遺体検分で警察官達は色をなした。
亡くなった生徒の背中一面に、
指で強くつねったと見られる痣が無数にあったのだ。
亡くなったのは市内で手広く商売をしている呉服屋の一粒種、名倉祐一。
数名の男子生徒に使い走りをさせられていたことが、
本人の携帯電話のメールからすぐに読み取れた。
祐一を「いじめて」いた生徒4人の名前がすぐに浮上し、
取り調べが始まる……。
***


2004年に『空中ブランコ』で直木賞を受賞している奥田英朗。
受賞の前もあとも、面白く読ませてくれる作家さんだと思っていました。

ですが『沈黙の町で』は興味深くはあるけれど
とても「面白い」とは言えません。
重たいのです。何もかもが。

最初は、似たような事件が起こるたびに
「いじめ根絶」といいながら、
全くなくならない いじめによる事故、
あるいは殺人の話なのだと思っていました。

ところが「沈黙の町」は、そう単純ではありません。
「いじめた」生徒の親、
「いじめた」生徒本人、
「いじめた」生徒の弁護士、
子どもを亡くした親、
遺族側でなにやら企む親戚、
両者に振り回される学校、
事件を報道するマスコミ、
真実をつきとめようとする警察や検察、
そして事件の全容を遠巻きに見ていた生徒…と
さまざまな人間の視点を介して
少しずつ真相に近づいていくうちに
全員の気持ちが理解できるような気がしてきて
最後に思わず呟いてしまうのですよ。
「ああ、どうしてこんなことに」。

ある意味、救いのない話でした。

それともう一つ、ここが一番救いのない点だと思うのですが、
この物語はあるタブーに踏み込んでいます。
それは、いじめる側の生徒がよく言う
「いじめられる側にも問題がある」という言葉。

この小説を読んでいるうちに、
私が同級生だったとして、
亡くなった名倉祐一に心から同情できるか?と
なんども思いました。
登場人物の一人がいうように
「気の毒だけど仕方がない部分もある」と思うのではないか、と。

いじめはいけません。
これは本当のこと。
でも大人の目から見ても
「この子はもしかしたら いじめられやすいのでは」と
思わざるを得ない子がいるのも否定できないことではないでしょうか。
もちろん、たとえそうであったとしても、
「いじめて良い理由にはならない」と教育するべきなのだと思います。
このなんとも言えない部分に奥田英朗は思い切ってメスを入れており
息苦しい気持ちにさせられました。
とても面白がって読める小説ではありませんでした。

小説を読んでいるのか、
実際の事件のレポルタージュを読んでいるのか、
わからなくなるほど、
最近似たような事件が多いため、
いっそう辛いです。

それにしても、これまで中高生の凶悪な犯罪を耳にして
「なんということ?!」と憤慨していましたけど
真相はもっと複雑なものかも知れません。

同じ事件に関わっていても、
年齢によって扱いに差が出ることや、
被害者の個人情報が嫌という程さらされるのに
少年犯のプライバシーが守られることが本当に正義なのか、
また、善意の第三者が、犯人らしいと名指しされた人物について
すぐさま、ネット上に個人情報を流すことの危険性など
さまざまな問題提起を含んだ小説でした。


読み応えは十分です。
お読みになるときは、気持ちを強く持ってどうぞ。


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最終更新日  2015.04.30 15:08:21
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